テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
琴葉
それから1週間後
大飛はいつものように病院に向かっていた。
手には今日の花。
赤い花だった。
「サザンカ」
大飛は歩きながら小さく呟いた。
「花言葉は…困難に打ち勝つ」
スマホで調べた時
この花が今日の優太にいい気がした。
「元気になれよ。」
そんな事を思いながら、病室の前まで来た。
でも、いつもと様子が違った。
病室の前に看護師が何人も集まっている。
大飛 「え……? 」
大飛の足が止まる。
中から慌ただしい声が聞こえた。
「血圧下がってます…!!」
「酸素上げて!」
「先生呼んで!」
大飛は嫌な予感がした。
ドアの隙間から中を見る。
ベッドの周りに沢山の看護師がいた。
その中心に
優太が横になっている。
酸素マスクが付いていて、
機会の音が鳴っていた。
大飛 「…え?」
その時、先生が大飛に気づいた。
先生 「鈴木さん」
大飛 「…はい」
先生 「佐藤さん、さっき様態が急変して」
大飛 「急変…?」
先生 「今処置しています」
大飛は何も言えなかった。
ドアの前で立ち尽くす。
手にはサザンカの花。
大飛 「…優太。」
小さく呟く。
するとその時、
ベッドの上で優太の指が少し動いた。
先生 「反応あります!」
先生 「佐藤さん、聞こえますか!?」
優太の瞼が少し震えた。
ぼんやりと目が開く。
視界の端に、大飛が見えた。
優太 「…大飛。」
!?
大飛 「優太!!」
優太は笑った。
優太 「……今日の花。」
大飛は一瞬言葉が出なかった。
そして震える手で花を見せた。
大飛 「…サザンカ。」
優太 「花言葉…は、?」
大飛 「…困難に打ち勝つ。」
優太 「…いいじゃん。」
優太は少しだけ笑った。
そしてゆっくりと目を閉じた。
優太は手術を受けた。
長い時間の手術だった。
目を覚ました時、
天井の白い光がぼんやり見えた。
先生 「…佐藤さん、聞こえますか?」
先生 「手術、無事終わりましたよ。」
優太はゆっくり瞬きをした。
体は重いけど
苦しくない。息がちゃんと出来てる。
それから数日して、
優太はまた元の病室に戻った。
前と同じベッド。
前と同じ窓。
そして
1つの花瓶には、赤い花が入っていた。
優太 「…サザンカ。」
優太は小さく呟いた。
花言葉は、
困難に打ち勝つ。
(大飛が入れてくれたんだろうな。)
きっと手術の時、来てくれたんだ。
そう思うと少し嬉しかった。
でも
そらから大飛は来なかった。
優太 「…来ないな、もう2週間。」
少しだけ寂しい気持ちがあったけど、
大飛にも事情あるしな、そう思う事にした。
その間、先生とよく話すようになった。
先生 「今日は、歩いてみますか?」
優太 「はい。」
まだ体は少しふらつくけど、
先生が横で支えてくれていた。
先生 「だいぶ回復してますね。」
先生 「鈴木さんが見たら喜びますよ。」
優太 「…ですね。」
優太はサザンカの花を思い出した。
困難に打ち勝つ。
そして
優太は小さく呟いた。
「大飛、見たら褒めてくれるかな。 」
コメント
2件

最高です👍