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「御待ちください、何時になったら辞めるんですか。このままだと若君の体が持たない」
伐採をしていたら後ろから声がした。12の春、師範のとこへ通い初めて2年が経過していた。何時迄経っても帰ってこない若君を心配してなのか、此処二年間色んな人が僕の元へ押し寄せた。
「まだ僕は強くなれません。もう少し掛かるでしょう、大丈夫です。僕は必ず強くなって趙家へと足を運びます」
「何時になったら…あの人の目線が僕に向かうまででしょう。僕は 何としても、あの人に認めて貰いたいんです」
僕の言葉を聞いて落ち込むように帰っていく、それが日常茶飯事へと変っていった。少し申し訳ない気持ちになるがお構いなしに僕は木を切っていた。
「若君。 」
「師範!」
名前を呼んでくれた事は一回もなかったが、若君と呼んでくれるのはとても嬉しかった。斧を手から落とし師範へと駆け寄ると直ぐ様避けられた。バランスを崩し地面へと顔をぶつけた
「調子に乗るな。」
「ぅ、ごめんなさい…」
おでこを擦り僕は立ち上がり胸を張って「師範に頼まれた事は全てやりました」と自慢したが師範は浮かない顔をしていた
ただ褒めて欲しくて僕は色んな事をしたが師範は一つも褒める事はなかった
「井戸の水は」
「っは」と口を抑えた。「今、します」とへらへらっと応えると師範は剣で僕の頭を軽く叩いた。
「痛っ」と声を出したが痛いよりも気になることがポンッと頭に浮かんだ
「剣…?師範の剣ですか?」
見た事のない剣を持っていた。師範はあまり剣を使わない、だからこそ師範が剣を持つ事に違和感を覚えた
「お前の剣だ。あの剣ではすぐ折れてしまう。趙家はお前を舐めているのか」
粒々と家の文句を言っていたがそれよりも師範からの贈り物が嬉しくてそれ所じゃなかった
「大切にします!」
「…嗚呼、そうしてくれ。」
剣を抱き締め一晩浮かれていたら、また剣でさっきよりも強く叩かれた
「理性を保て」と怒られても少し脳内は未だ御花畑だった