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【20:08港倉庫地帯・作戦開始】
夜の港。ひと気のない倉庫街を、冷たい風が吹き抜ける。
海の匂いとともに、鈍い足音が響く。
楓は炎柄の羽織を翻しながら高所から敵の動きを監視していた。
一方、むつるは、港のクレーンの影に潜み、仲間への指示を飛ばす。
「……3人、北の倉庫へ。2人船の中だ。」
楓は、手のひらをかざし、小さな狐火を灯した。
その光が、空中に浮かぶ術式を照らす。
「《焔探し・九尾の環》……見つける」
術式が発動し、微細な熱反応を捉えて敵の位置が次々に視界に映る。
【21:10敵の罠】
「光流、右上からーー!」
楓の警告とともに、敵の投げた手裏剣が空を切る。
むつるは即座に《光閃・影分身》で回避。
分身の一つが敵の目をくらませた際に彼は背後から回り込みーー
「遅い」
鋭い蹴りで敵の背を地面に叩きつけた。
「お前たちの目的は、なんだ……?」
しかし敵は口を割らず、自爆符を取り出した。
「楓、下がれーー!」
とっさにむつるが覆いかぶさり、爆風を肩で受ける。
白いシャツが破れ、血が滲む。
「むつる……!」
「平気だ、今は任務に集中しろ」
【21:30敵幹部、出現】
倉庫の最奥。
そこに現れたのは、黒連の幹部「鴉刃」。
仮面をつけた男が、低い声で言う。
「炎熊と光流ーー名は聞いていたが、まだ子供か。
だが、火の力と光の力は……我らにとって忌まわしい因縁だ」
「因縁?関係ない……あなたたちのやってることは、ただのテロだ」
楓の言葉に、鴉刃は静かに手を振る。
その瞬間、影に広がり、五体の分身が出現。
「忍びとしての実力……試させてもらおう」
【激突】
むつるの《光刃・螺刃斬》が、敵の影を弾き飛ばす。
楓は《焔の陣・紅蓮花》で空間を包囲。
敵の分身が交差し、殴り、切りつけてくる。
二人は連携しながら、少しずつ本体の位置を絞り込む。
「次、右奥!本体は影が濃いーーあそこ!」
楓が炎の槍を生成、《焔槍・双牙》を放つ!
命中した瞬間、画面の男が呻いた。
「……ほう、悪くない」
【21:40戦闘終了】
鴉刃は退散。
港に残されたのは、燃え尽きた影の残滓だけだった。
むつるはその場にしゃがみ込み、肩を押える。
楓がすぐに駆け寄る。
「むつる、大丈夫……?!」
「……お前に炎があるなら、俺が灯になってやる。
その灯が消えそうな時は、何度でも点け直すから」
楓は涙をこらえ、彼の手を握る。
【その頃、学校の屋上】
紫藤先生は双眼鏡で遠くの港を見ながら、微笑んだ。
「……あの子たち、また強くなったな」
隣で保健室の先生がそっと言う。
「命を懸けてるのに、あなたは平気なんですか?」
紫藤は答えなかった。
だが、その瞳はどこか誇らしげだった。
この編は一旦休みます。
続くかもしれません!
By主