放課後だ 空き教室にそっと入る、そこには窓の外の夕焼けを見ている彼女の姿があった
「きたんだね…」
「もちろん」
この時がきたのかと言わんばかりに彼女は寂しそうな顔をする…いつもの彼女とはまるで別人みたいだ
〜最終章〜
「まず、僕と風香さんは中学も…小学校も幼稚園も一緒だったの?」
難しそうな顔をする やっぱり彼女には隠し事があったんだな…そう思っていると意を決して彼女は口を開けた
「うん、 まぁそうだね…」
心が落ち着いてなさそうだ 言い出すのがそんなに嫌なのだろうか
「君と…星宮知鶴くんと私は幼なじみだったんだよ それも結構仲良しなね」
「じゃあ僕がその事についてなにも知らなかったのは?」
「それは…えっと、驚かないでね?」
「もちろん」
「知鶴くんは高校に入る前に交通事故にあったんだよ」
「…え」
言葉がでなかった…僕が、交通事故?そんなことがあったのか 彼女が言いずらかったのがわかる
「もう!驚かないでって言ったじゃん! 」
「ごめん」
「まぁいいけど、それで記憶喪失になったんだよ…知鶴くんは」
「そうだったんだ…」
ショックと言うか…なんとも言えない感じ 難しいな。言葉で表せない感情が込み上げてくる…
「知鶴くんは驚かないんだね もっとびっくりしてくれてもいいのに」
「びっくりしてるよ、口にだしてないだけで…僕、中学の時どんなだった?」
過去の自分が知りたい 過去で彼女とどんな関係だったのか、記憶喪失と聞いて彼女は悲しかったのか…とても興味深い
「幼稚園、小学校は一緒に遊ぶぐらい仲良かったよ 1、2回ぐらい知鶴くんの家にも行ったし、知鶴くんも私の家に来てたんだよ?」
なるほど、彼女の家に行った時の既視感があったのはそうゆうことだったのか
「でも知鶴くんは変わったんだ…中学校に入って 真面目だったんだけど急にグレ始めてね…その時には彼女もいてさー」
「そっか…」
彼女…彼女?
「彼女いたの?僕に?ホントの話してる?」
「ほんとだよ!彼女作ってすぐ別れるを繰り返してたけど!」
嫌なやつだな…僕 そうゆう事してたから中学時代の女子達に今でも避けられてたのか
「僕ってモテてたの?それとも僕が手当り次第に告ってたとか?」
「ううん 好きな子には告ってたけど…普通にモテてた方だと思うよ たまに女子から告られてたし…まぁ振ってたけどね…」
本当に嫌な奴だな…記憶喪失になって昔よりマシになったなら事故にあってよかったってなるけど…
「誰から告られてたの?」
これは普通に気になる うん、知らない人でも一応同窓会とかで会った時のために知っておいた方がいいだろう
「それは…」
急に彼女が俯き始めた 聞いたらダメだったのだろうか
「ごめん、やっぱ言わなくてい」
「私だよ」
時が止まったような気がした 僕が霜月風香を振った…?いや、嘘だな彼女が僕を振ったんだ…絶対そうだ それしか考えられない
「本当に?」
嘘であってくれ…頼む…
「ほんとだよ 私昔からずっと好きだったの 中二ぐらいに付き合おうよって言ったら、ごめんって…」
泣いている彼女を見るのは辛い 昔の自分をぶん殴りたいぐらい腹が立つ… けど記憶喪失で好きなタイプが変わることがあるのか…?
「ごめん!急に泣き出したりして…」
「ううん、辛いのに言ってくれてありがとう」
「うん それじゃ帰ろっか…」
あれ…目が眩んで…意識が…ッ
「知鶴くん!?」
〜〜〜〜〜〜〜
[あははっやっぱ知鶴くんと一緒にいると楽しい!]
誰の声だろうか
[知鶴くん!中学校も一緒に登校しようね!絶対だよ?]
この声は…風香さんの小さい頃の声?
[知鶴くん!待ってよ!置いてかないで!]
[いや俺彼女いるから…浮気疑われたら困る]
この声は僕か…
[一緒に帰るだけだよ?そんぐらいで浮気ってなかなk]
[もう俺に付きまとわないでくれ!]
[…ごめん]
やめてくれ、もう嫌だ…なんでこんな性格が終わってるんだよ…
[知鶴くん今彼女いないよね?]
[まぁそうだけど…なに?]
[付き合ってほしいな〜なんて…]
[…]
[どう…かな…?]
[ごめん、風香とは付き合えない]
[そっか…そうだよね!ごめんね急に]
ここで振ったのか…振らなければ…僕は風香さんと恋人になっていたのに…
[別に…]
昔こうゆうことがあったのに風香さんは僕に優しく接してくれたんだ…なんで…
[じゃあまたね!]
[うん、また]
[…]
[本当は好きなのにな…だけど元カノの執着とかあるしあいつ結構悪口とか言うからそれで風香が悪く言われるのは嫌だし、ここは振っておいて正解かもな…]
え…これは…本心? そうだよな、記憶喪失だからって人が変わるわけじゃないし!
そうだ、俺は…俺も風香がずっと好きだったんだ!
〜〜〜〜〜〜
「知鶴く…」
風香の声が聞こえる…
「知鶴くん!しっかりして!」
「うーん…ここは?」
「保健室だよ 知鶴くん急に倒れて…」
「風香」
「え…知鶴くん?急に呼び捨て…どうしたの?まるであの時の知鶴くんみたいな…」
「風香…俺全部思い出したんだ! さっき倒れた時に、頭に記憶が流れ込んできて!」
「え?うそ…でしょ?」
あの時と立場が逆になっていてつい笑いそうになる けど今は笑っている場合じゃない
「嘘じゃない あと俺は風香が好きだったんだ!ずっと!ずっと前から!」
「え?いや、だってごめんって」
「その時は元カノに執着されてて!しかもそいつ、俺と関わっている人の悪口言うからなんだ!ごめん…ずっと辛い思いさせて…」
「なにそれ…そんな気にしなくていいのにさ…」
放課後の時に見せた涙とはまた違う涙だった なんだろう、呆れているかのような…そんな涙だった
「俺、2年前から…いや、中学も合わせたら5年前から好きだったんだ!だからその、付き合って欲しい」
「5年か…だったら私の方が好きの気持ちは強いね なんせ16年前から知鶴くんのことが好きだったからね!」
ドヤッと文字がでてきそうなぐらいドヤ顔をされてしまった
「それで返事は…」
「もちろん!これから恋人としてよろしくね!知鶴くん!」
「うん…!これらこそ」
「よし!それじゃ帰ろっか!」
「うん!」
自然と彼女といると笑顔になれる 過去の自分を乗り越えて今の自分がいる その事実は変わらない
「でさでさー…」
これから騒がしくなりそうだ
コメント
3件
あと題名が主人公視点じゃなくて風香ちゃん視点なのがいいなと思いました!
まさか記憶喪失になってるなんて思いませんでした!ものすごく面白かったです!これからも頑張ってください!
あとがき 最後まで読んで頂きありがとうございます!(´▽`)途中までは記憶喪失だったーだけで終わらせようと思ったんですけど、書いている最中に思いついてしまって…話の展開が適当になっちゃったと思うけれど頑張って書いたので多めに見てください! 本当に最後まで読んでくれてありがとうございましたm(_ _)m次の作品もぜひ見に来てください!