「じゃあご飯食べよっか」
「えっ、オレ的にはご飯よりこのまま透子の方が食べたいんだけど」
まだオレ的にはそういう部分収まってはいないんだけど。
「バーカ。私はお腹空いたからご飯食べる。樹いらないならもちろんカレーもあげないけど」
「いやっ!ごめん!カレーいるっ!」
「なら仕方ない。樹の分まで用意してあげよう」
「カレー食べたら次透子食べれる?」
「うーん。カレー食べたら私は食べれないかなー」
「えっ、なんで?」
「そうだねー。もっと君の本気を見せてくれたら考えてあげよう」
「えっ、今?」
これ以上本気とかヤバいよ?透子。
てかまだ信じられないの?
なんなら今から本気見せても全然構わないけど。
「違うよ。これから~。じっくり君の本気を見せてもらうから」
でも多分透子はそうやってじっくりゆっくりオレとの関係を進めて行きたいのはちゃんとわかってるから。
オレほど気持ちが大きくもないのもわかってるし、まだきっと自分でもオレとの関係や距離感、もしかしたらオレへの気持ちも少しずつ確かめていってる状態なのかもね。
だからオレも焦らずに透子に合わせるから。
「まぁオレの本気はまだまだこんなもんじゃないけどね。オレが本気全部出したらマジ透子オレから離れられなくなるほど惚れちゃうから覚悟しといて」
透子がちゃんとオレと同じ気持ちになったら、その時は本気で全力で気持ち抑えずにいくから。
「はいはーい。覚悟しとく~」
「うわっ軽っ!オレの本気そんな軽くないんだけど」
「わかってるよ~。ハイ出来た出来た。ご飯食べよ~」
「まぁ、じっくり本気見せてくからいいけど・・・」
今だけはそうやって軽く考えてくれてて構わないよ。
オレにハマっていけば、そんなこと言ってられないから。
「はい。いただきま~す」
「いただきます!」
「はい。召し上がれ~」
そしてテーブルに置かれたカレーを口にする。
「んまっ!透子のカレー超ウマい!」
「そっ。よかった」
うん。今はこうやって透子が作った料理食べれるだけで幸せ。
「あっ、そうだ。二人の時は仕事の話したくないってオレが言ったんだけど、これ食べたらちょっと仕事の話いい?」
そして食べながら、あることを思い出して透子に声をかける。
「うん。私は別に全然家で話してくれても大丈夫だけど。週一だけじゃ話せないこともスケジュール的にあるだろうし」
「サンキュー」
「基本、樹、会社ではあんまり会えるイメージないし。なんかいつも訪ねたらいない」
「あぁ。まぁいろいろ外回りも多いしね。オレ的には会社で偶然でも透子に会いたいけど、なかなかそれも忙しくて」
「ちょうどいいよ。そんなくらいで」
ん?それどういう意味?
「え?なんで?オレに会いたくないの?」
すかさず透子に尋ねる。
オレはいつだって透子に会いたいのに。
「いやっ、ほら、会社で会えない分はこうやって家では会えるワケだし、終わってからゆっくり会う方が、その分嬉しい、っていうか・・ねぇ」
「そう?オレは会社でも家でも透子に会いたいけどな~」
なんか少し誤魔化し気味の透子の言い方。
だけど顔を見ると少し照れている感じの表情。
えっ、もしかしてそれって恋愛絡むと仕事に集中出来ないってこと?
なら、透子の中でオレの存在が少しずつ大きくなってきてるってこと?
まぁいつか、そんなこと言ってられないくらい、会社でも家でもオレが恋しくて仕方なくさせるから覚悟してて。
そしてその後、ご飯の後にソファーへ移動してコーヒー片手にまたさっきの話を進める。
「で、仕事の話って?」
「あぁ。プロジェクトの話なんだけど」
「うん」
「透子、REIジュエリーは知ってるよね?」
「もちろん」
「今進めてるプロジェクトで今度そこと一緒にしようかなって思ってて」
まだ今はそのプロジェクトの詳しいことは言えないけど。
「そうなんだ!私あそこのジュエリー好きでファンなんだよね!社長もすごく素敵だしホント憧れ」
「へぇ~そうなんだ? 透子あのブランドそんな好きなんだ?」
偶然とはいえ、透子がファンだと知って、つい反応して尋ねる。
「もちろん!女性なら皆憧れのブランドだよ~。すごいね、うちのプロジェクトで一緒にやるなんて」
「あぁ。ちょっと知り合いがいてさ。で、実はそこ今度新しいブランド立ち上げるみたいでさ」
「へ~、新しいブランドなんて今までなかったよね?」
「今まではね。それであのジュエリー今年創立20周年で、今度その記念パーティーがあるからって誘われてて。で、透子も良ければ一緒に行かない?」
「えっ、いいの!?」
「新ブランドの立ち上げもプロジェクトも今はまだ準備中だし後々の予定ではあるんだけど、透子もプロジェクトのリーダーだし、今後そことも付き合っていくことになるから、透子も一緒に行ってほしいなと思って」
「行きたい!でも、私がそんなとこ行っても大丈夫?」
「もちろん。せっかくなら、透子をパートナーとして連れて行きたいし」
「それは嬉しい」
「よかった」
後に透子にも関わってくることだから、最初から透子に立ち会ってほしかったから、逆に透子も喜んでくれて乗り気で安心する。
「実は私初めて自分で買ったネックレスがそこのネックレスなんだよね。あと自分への頑張ったご褒美で買ったネックレスがすごくお気に入りで」
「へ~まさかのここのジュエリーだったんだ」
驚いた。
透子とまさかオレと出会ってない時から、そこでも繋がりがあったなんて。
それがまたすごく嬉しくて。
透子にその喜びを言いたかったのをグッとこらえる。
「うん。だから私には特別なネックレスで。それつけていこかな・・」
「いいねそれ。喜ぶと思うよ」
きっとそれを見たら、あの人は喜んでくれるはず。
きっとあの人はそれに気づいてくれるよ。
「なんかそれ縁感じるね」
オレの知らないところで、もしかしたら繋がっていたかもしれない縁。
オレじゃないところで、オレとも繋がっていた縁。
オレはこの時彼女との縁が深いモノに感じる予感がして、少しワクワクした。
「また日程わかったら伝える。一応今からその予定だけしといて」
「うん。了解」
そしてそのパーティーにこのタイミングで連れて行ける喜び。
あの人に紹介出来る喜びを、彼女にはまだ今は隠して、そしてまた彼女と過ごす待ち遠しい時間が増えて、更にオレの心は満たされた。
少しずつ彼女と過ごしていける時間。
少しずつ重ねていける二人の想い出。
彼女がゆっくりオレとの関係を楽しんでくれたらいい。
オレは少しずつあなたとの距離を縮めていくから。
そしていつか、あなたと同じ歩幅で歩いて行けることを夢見て・・。
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