テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
静寂。
機械仕掛けの空に、鈍く赤いコードラインが流れていく。
デジタル都市《CODE:LINE》
記録、記憶、魔力、意識——あらゆる情報がコードとして保存され、
管理される世界。
僕、ARKHE(アルケー)は、ここで“監視役”として働いている。
と言っても、僕の仕事は人の命を守ることじゃない。
壊れかけた情報を“切り捨てる”ことだ。
【✦】「最近ノイズ、増えてきたな」
端末のスクリーンに揺れる、異常コードの波形。
まるで、心臓の鼓動みたいに、妙にリアルで気味が悪い。
そして。
【✦¿?】『やっと、気づいた?』
画面の奥。
映るはずのない“それ”が、現れた。
モニタの中に、僕とまったく同じ顔。
まったく同じ声。まったく同じ目。
だけど、そこにあるのは僕じゃない。
【✦¿?】『ボクはきみ。きみはボク。違いなんて、ないはずでしょ?』
僕は、思わず立ち上がった。
呼吸が浅くなる。冷たい空気が、脳の奥に突き刺さるようだった。
【✦】「また……お前か……!」
そう。これが“最初”じゃない。
何度も、何度も、僕の前に現れては消えていくこの影。
誰に話しても、信じてもらえない。ログにも記録されない。
けれど——確かに、存在している。
【✦¿?】『きみが消えれば、ボクは完全になれる。』
静かな声だった。怒りも、悲しみも、感情すらない。
ただそこに在ることを正当化するために、僕を殺そうとしている。
【✦】「僕は——僕はお前なんかに、取って代わられたりしない」
端末を切り、通信を遮断しようと手を伸ばす。
だが、指先がコードに触れる前に——画面が、真っ赤に染まった。
”《緊急情報》”
《コードタワー第3層にて爆発事故》
《犯人:ARKHE(識別ID一致)》
【✦】「……は?」
思考が、止まる。
ほんの一瞬、時間が巻き戻るような錯覚。
現実が、壊れていく。
——僕じゃない。
——でも、証拠は全部、“僕”だった。
その時、僕の背後で扉が開いた。
姿を現したのは、れむだった。
【🧷】「……アルちゃん。今、話せる?」
その声は、疑っていた。信じようとしながら、迷っていた。
僕は、ただ、モニタに映る“もうひとりの僕”を見つめていた。
その偽物が、笑って、こう言った。
【✦¿?】『ね?これで、きみは一人ぼっちだ。』
コメント
3件
めっちゃおもろいんやが...もう一人の自分がドッペルゲンガーっていうんだっけ?