青春、というと何が思い浮かぶだろう。
真っ先に思い浮かぶのは2つ。
部活動、そして恋愛だ。
学生時代、誰もが1度は経験する恋。
思い思われ、振り振られ。
傷だらけの恋愛だが、
どこかほんのり酸っぱくて、
甘くて、
手放せない人が多かっただろう。
俺の名前は日比谷 蓮。
レンとでも読んでくれ。
そして俺も、現在恋をしている…訳もなく、
好きな人はいない。
俺のクラスには、
歩くだけで女子をざわつかせる者がいた。
彼…いや彼女の名は白柿 柊といった。
シューもしくは、しゅーちゃんと呼ぶ者が多い。
誰が見ても、イケメンだった。
でも彼女は、圧倒的に塩である。
俺はシューの幼なじみだから、それを1番上手く扱ってる自信はあった。
「よっ。」
「なに。」
「帰ろうぜ。」
「いいけど。」
「相変わらず塩だなぁw」
「別に。いつもの事。」
「うんwいつものことだなw」
「帰るよ。」
「ちょっw待てよw」
「待たない。」
いつもこんな感じだ。
良い奴なんだけどな。
そして電車に揺られながらいつもの質問をする。
「シュー今日も俺ん家来る?」
「行く。」
「了解wゲームする?」
「レンがやりたいやつなら。」
「りょーかいw俺コンビニ寄ってお菓子買ってくわ。」
このセリフを言えば、シューはいつも俺を見つめてくる。
それがなんの合図なのか、俺以外は知らない。
「わかってるってw買っとくよ。」
「ん。」
「じゃ、またあとでな。先家入ってて。」
「ん。」
彼女と別れたらいつも通り、俺は遠回りをする。
彼女の好物はからあげちゃんだから、
あのコンビニでしか買えないのだ。
「お会計1384円になります。」
僕は財布をあさって金銭をカルトンの上に置いた。
「丁度ですね。お預かりします。レシートはどうしますか?」
「要らないです。」
「ありがとうございました。」
「母さんただいまー。シューいる?」
「おかえりなさい。もうあんたの部屋にいるわよ。」
「あざす。」
「私これから仕事だから帰るの明日の朝になるかも。夕飯適当にお願いね。」
「うぃ。あ、シュー泊めてもいい?」
「いいけどご飯は自分たちで何とかするのよ。」
「へい。」
「じゃあ行ってきます。」
「行ってら。」
俺は自分の部屋の前に立った。
ガチャッ
「ただいまー。」
「おかえり。」
俺の家にいるシューは、外にいる時よりも塩が引く。
「あれ買ってきた?」
「もちろんw食べるか?」
「うん、食べる。」
「へい。」
嬉しそうだな。
やっぱこいつの笑顔独占できんのいいよなぁ。
幼なじみの特権ってやつか。
「よし、じゃあ食べながらやっか。」
「何すんの?」
「前のあのゲームの続き。今日こそ勝つ!」
「あーあれか。今回も負けんよw」
「必勝法調べたから今日はマジでいける。」
「どうかなw」
「ボコボコにすんなし。」
余裕で負けた。
「私に勝つには100億年はやいよ。」
「地球なくなってるやんw」
「確かにw」
「ちょっと休憩すっか〜」
「私も疲れた。」
ゲームを中断して、2人して天井を見つめる。
「ねぇ、レン。」
「んー?なんだ。」
たまにシューから話しかけてくれる。
ちょっと嬉しい。
「好きな人、いる?」
「ふっははwまたその質問w」
シューは定期的にその質問をする。
理由はよくわからんけどw
「そろそろ出来たかなって。」
「好きな人ねぇ…」
「いるの?」
「いないね。」
「なーんだwいつもいないじゃん。」
「だって俺恋しねぇし。」
「モテるのに。」
「恋嫌いだしw」
「なんで?」
「なんでか、ねぇ。」
「幼なじみに隠し事はやめてよ。」
彼女の真剣な眼差しがこちらに向いている。
あいつの目はやっぱ、いつ見ても美しかった。
「お前ってやつはほんとにずるいよな。」
俺はひとつため息をついて、
今まで誰にも話していなかったことを、シューに話すことにした。
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