テラーノベル
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僕は、和歌山県白浜町に生まれた。
幼い頃から海が好きで、あこがれていた。
何より、飛行機や船が好きだった。
将来は、飛行機乗りに、軍監乗りになりたいと、そう願っていた。
だから必死に勉強した。
寝る間も、飯を食う暇も惜しんで。
それぐらいに、本気でなりたいと願っていたのだろう。
とはいえ、母は正直反対していた。
「確かに速中家は軍人一家だけれど、鳫まで行かれたら、誰がここの家を継ぐのよ」
と毎回言われた。
確かに僕の一家は軍人一家だ。
父も海軍の人だし、長男の晴は海軍で、次男の集一も陸軍である。末の僕が目指して受かってしまえば、確かに継ぐ奴がいない。
だが、僕はそんなで諦めるような人間ではなかった。
正直、何を言っているのだろう。と思った。僕が受けようとしているのは確かに兵学校ではある。が、その中でも士官学校を狙っている。
当時の士官学校の倍率は10倍だとかそんなの比にならなかった。
父によると、日露の時には既に倍率は30倍を超えていたらしい。
そんなところに受かる確証もないのに、受かる訳がないのに、
「鳫まで行かれたら、継ぐ奴がいない」?
…馬鹿馬鹿しい。寝言は寝て言え、笑わせるな。
…そう考えていたが。
…受かってしまったのである。
その後はもう大変だった。
父は歓喜で涙を流していた。「鬼の目にも涙」とはこういうことかと、しみじみ思った。
母は何故かしばらく不機嫌だった後、諦めたように、
「どうせ止まらないから行っていらっしゃい」
と言った。
僕は士官学校に入り、そこからは更に勉学に励んだ。
その功もあったのか、習うことが無くなり、僅か1年半で卒業してしまった。
勿論、士官学校を卒業すれば少尉という階級になれるのだが、少尉はあくまで士官の下っ端。勿論上官がいる。
だから上官がいることに対して、少し身構えていた。
我ながらに、上官のことが怖かったのだろう、と思う。
なので上官のことは自然に極力避けていた。
…避けていた、のだが。
あるよく晴れた、雲一つ無い日。
僕は建物の壁にもたれて珈琲を飲んでいた。
( 今日も出撃かな… )
そんなことを考えていると、後ろから声をかけられた。
「おや、少尉がこんなところに。珍しい」
と。
見ずも、声や気配からして年上ということを察した。
…年上。
………、…年上?
………………年上…。
………………待て。
いや、待て待て待て待て待て待て待て。
………………もしや…。
嘘だろう…?
自らの数秒の硬直と思考により、僕は一つの答を出して…。
―――悟った。
(あ、この人、上官だ)、と。
まぐろの旨味
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あずき
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コメント
3件
おお〜第2話、読んだよ!!✨ 主人公の鳫くん、めっちゃ努力家で意志強いね…!「寝る間も惜しんで勉強」って、もうガチでかっこよすぎる😭💕 母ちゃんとのやりとりもリアルで、「受かってしまった」後の家族の反応がそれぞれ違ってて面白かった〜。で、最後の上官を察知して「悟った」ってとこ、急に日常感が戻ってきて思わず笑ったよ😂 次、どうなるんだろ…!