テラーノベル
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「5000マルク」
この一言が、俺を地獄から解放した。
高級そうな馬車に乗せられ、三時間ほど揺られる。
何をされるのかは分からない。でも、痛いのも暗いのも狭いのも臭いのも慣れっこだ。今回も、どうせ同じだろうと思っていた。
向かいに座る“主人”は、窓の外を見ている。
透き通るような白い肌。整いすぎた顔立ち。ぽてっとした血色のいい唇だけが、その白さの中で妙に生々しい。
見入っていたら、気づかれた。
「……なに?」
「いや、奇麗だなと思って。」
「……」
やばい、口が滑った。
主人はそっぽを向いた。
「名前を言ってなかった。俺は仁人。そう呼べ。」
「様とかつけなくていいの?」
「好きにしろ。あと、敬語もやめろ。」
「じゃあ遠慮なく。仁人。」
笑うと、仁人は一瞬固まった。
「お前は?」
「ないよ。仁人が決めて。」
「……勇斗。」
「即答だな。」
「オークションで見た時から考えてた。」
「なにそれ。一目惚れじゃん。」
「……そうかもな。」
不意に見せた笑顔に、少しだけ見惚れる。
「かわいい。」
「……以後、気をつけろ。」
首まで赤くなっている。
「俺、見ての通り吸血鬼だ。」
「うんうん。」
ああ、やっぱり食料か。俺は仁人に気づかれない程度で身震いした。
馬車が止まる。
屋敷に連れて行かれ、最後に一室を見せられた。
「ここ、お前の部屋。」
思考が止まる。
「……は?」
「そんな驚くか?」
「俺、自分の部屋とか初めてなんだけど!」
思わずはしゃぐ。
「……そうか。気に入ったならいい。」
耳を赤くしながら言うな。
「この屋敷、他に誰かいないの?」
「いない。ずっと……独りだ。」
少しだけ、間があった。
「じゃあ俺が初めて?」
「……その聞き方やめろ。お前まだ17だろ。」
笑う。
「仁人は?」
「200年くらい生きてる。」
「なにそれおいちゃんじゃん。」
「なにおいちゃんって?!吸血鬼ならまだ若いほうだぞ!16、17くらいだ!」
「じゃあ同い年だ?」
わざと首を傾げる。自分の顔が良いのを自覚して。
仁人は、少しだけ言葉を詰まらせた。
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はじめまして、ひこです!今回は🩷💛(もしくは💛🩷)を書かせてもらいます。
毎週月曜と水曜、土曜に投稿する予定なので待っててください🥰(早まることもあり)
🐢さん投稿頻度ですみません
コメント
2件
きゃーー❣️めっちゃストーリーとか展開とか好き‼️早く水曜なって欲しい‼️神✨