小学校の裏門を出て少し進むと小さな神社がある。
いつもは通り過ぎるだけのそこが、今日だけはたくさんの人が集まってにぎやかになる。
─ちょっと遅くなっちゃった。
美知は、なかなか上手くまとまらなかったお団子を気にしながら慣れない下駄で急ぐ。
夕日の色に染まった神社の前には、すでに浴衣姿の人がたくさん歩いている。
毎年夏になると、ここの神社とその周りの通行止めになった道で「ゆかたまつり」が行われる。
その日に浴衣を着ていくと、番号の書かれたうちわがもらえて、抽選で当たると景品がもらえたりする。
それほど大きな祭りではないが、それなりに屋台が出るし、浴衣も着れるので、美知は毎年楽しみにしていた。
「みっちゃーん!こっちこっちー」
ピンク色でリボンがついた浴衣を着たりっちゃんが、美知に手を降っている。
りっちゃんは美知と1番仲がいい友達で、今日も未知を祭りに誘ってくれた。
「りっちゃん、ごめんね。なかなかお団子が上手く出来なくて、、、」
「いいよー気にしないで。それよりみっちゃん、その水色の浴衣かわいいね!」
「ありがとう。」
この日のためにお母さんに買ってもらった朝顔柄の浴衣を褒めてもらえて、美知は内心とっても嬉しかった。
「りっちゃんもそれ、すごく似合ってるね!」
「でしょー」
りっちゃんはその場でくるっと回ってみせる。