通りにはソースの匂いが満ち、縁石の上には買ったばかりの食べ物を食べる人たちが腰を落としている。
日が完全に落ちた道沿いには、提灯の明かりが並んでいる。
いつもなら、こんな時間に子供だけで外にいることなんてないので、未知は特別な気持ちになる。
「みっちゃん、次どこ行くー?」
食べ終わったかき氷を手に、りっちゃんが言う。
「えっと、、どうしよっか。」
抽選まではまだ少し時間がある。
その時、人混みの中から声がする。
「あ!りつー!」
同じクラスの女子達がこっちに手を振っている。
「あ、おーい!」
りつも手を振り返す。
女子の一人がこっちに来た。
「あ。未知ちゃんも一緒だったんだね。」
「う、うん。」
未知は伏し目がちに答える。
「今からあっちに型抜きしに行くんだけど、りつ達も行こうよ。」
「あ、、えっと、、、」
りっちゃんが少し困ったようにこっちを見る。
「私、トイレに行くついでにこのゴミ捨ててくるから、りっちゃん先に行ってて。」
未知は手に持ったかき氷の空を見て言う。
「でも、、」
─「はやくいこー」
向こうで他の女子が言う。
「ほら、りっちゃん行ってきて。私もすぐに追いかけるから。」
と言って、未知は空いている方の手を出す。
「うん、じゃあ先行ってるね。」
りっちゃんは申し訳なさそうにカップを渡し、走っていった。
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