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「お名前は?」
「蛇珀だ、です!」
「珍しいお名前ね。苗字は?」
「苗字!? ……やべえ、考えてなかったぜ、もうお前と同じでいいんじゃねえ?」
「そ、そうですね、そうしましょう」
さゆりに聞こえないようにコソコソと打ち合わせする二人。
「いろりさんと同じ苗字で」
「——えっ!? 婿養子になってくれるの!? うちは一人娘だから嬉しいけど!」
「いろり! 婿養子ってなんだ!?」
「女性方の姓に入ることです、蛇珀様がいいならもうそういうことにしましょう」
「はい、大丈夫だ、です!」
今まで敬語というものを使ったことがないため、チグハグな言葉遣いをしながら答える蛇珀。
「あら、あなたの……蛇珀くんの家は大丈夫なの? 親御さんは?」
「親はいないです」
「えっ……?」
正しくは人間の親はいない、だが。
これを聞いたさゆりは見当違いな想像をし、切ない顔つきをした。
「……そう。いろいろ苦労したでしょうね。歳はいくつかしら? いろりより少し上?」
「さんびゃ——あ、いや、さん、に、いち」
「じゅっ、十八歳ですよ! ね!?」
「です!!」
とりあえずこの国で男性が婚姻できる年齢を急ぎ伝えるいろりと、それに乗る蛇珀。
「あらまあ、若いっていいわねぇ。じゃあまだ高校生? か、大学生かしら?」
「いや、神主をしてるです」
「神主!? もう働いているのね、若いのに関心だわあ。どちらの神社で?」
「近くにある狐神社で」
「……あら? あそこの神主さんはもっと歳がいっていたよう、な……」
話しながら、不意にぼんやり遠くを眺めるさゆり。
以前あったその記憶は、神々の力により塗り替えられる。