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鷲尾は冷酷な声で命令を下した。「撃て!」
その瞬間、部隊の銃口が一斉に火を吹いた。激しい銃撃が魔獣に降り注ぐ。
メイは目を閉じ、恐怖に震えながらも魔獣の声が再び心に響くのを感じた。
メイの周りで戦場が沸き立っていた。銃声が耳をつんざき、黒煙が立ちこめる中、
彼女は恐怖と混乱の中にいた。魔獣はその巨大な体で彼女を守るように覆い
「導かれし者よ、我らの呪いを解いて解放してくれ…」
メイは必死にその意味を理解しようとした。「呪いを解く?どうすればいいの?」
しかし、銃の煙が濃くなるにつれ、魔獣の姿は次第に見えなくなっていった。
周囲の銃声と煙の中、やがて、銃撃が止み、戦場に一瞬の静寂が訪れた。
煙が次第に晴れ、視界が開けてきたとき、メイは恐る恐る目を開けた。
そこには信じられない光景が広がっていた。魔獣の巨大な体は地面に倒れ、
その首は無惨にも切り落とされていた。鷲尾は冷ややかな笑みを浮かべ、血まみれの剣を手にして立っていた。
「やったぞ、國光より先に討伐した」鷲尾は言い放った。
しかし、首のない魔獣がゆっくりと立ち上がる、その光景を見て鷲尾の顔色が変わった。
恐怖と驚愕が交錯する中、彼はメイの腕を強く引っ張り、メイを盾にして後ろに後ずさりする。
「撃て!」と号令をかけると、彩の地部隊は再び銃を構え、魔獣に向かって一斉射撃を始めた。
銃弾の嵐が魔獣を襲うが、それでも魔獣は立ち止まることなく、
怒りともに彩の地の部隊を薙ぎ払っていく。
その光景にメイは絶望と焦燥を感じながら叫んだ。「やめて!呪いを解かなきゃ!」
鷲尾はその言葉に一瞬動揺し、「呪いを解くだと?」と眉をひそめた
「やめて!!」メイは必死に叫び続けるが攻撃は止まらず
鷲尾は苛立ちを露わにし、メイに銃を突きつけた。「貴様、魔獣の言葉が分かるのか?」
メイは震える声で答えた。「言葉は分からない、でもそう感じたの。」
鷲尾の目は冷たく光り、「貴様、魔獣か?!」と言い放ち、引き金を引こうとした瞬間
部隊全体が青い光に包まれた。
「なんだ?」鷲尾が驚きの声を上げたその時、大きな音とともに魔獣が一発の銃弾で倒れた。
國光の部隊が到着し、状況を一変させたのだ。
國光は激しい怒りを顔に浮かべて鷲尾たちに近づいてきた。蓮は、その冷たい銃口を鷲尾に向けている。
「これは一体、何のつもりだ?」國光が声を張り上げると
鷲尾は即座に応じ、「何を言っているんだ、こいつは魔獣だ。人間のふりをしているんだぞ!」
だが、國光の憤りは一向に和らぐことはなかった。
「お前たちには、我が部隊の者に手を出したら許さないと警告したはずだ!!」
國光は、静かなる怒りの中で刀を抜き、「殺す」という言葉を冷たく吐き出し、
その刃を空高く振り上げた。その瞬間、
鷲尾は恐怖に顔を歪め、「ひぃ!ゆ、許してくれー!!頼む」と哀願したが、
國光の目は冷酷なまま変わらなかった。
その時、メイが鷲尾の前に立ちはだかり、「國光様、どうか冷静に考えてください。」と訴えた。
しかし國光は「どけ!」と一喝した。だがメイは動じず、
「國光様、私なら平気です。どうか、人を殺めないで。この人達も同志のはずです!」と。
彼女の言葉は、國光の凍てついた心に静かに響き、その一瞬の沈黙が場の緊張を和らげた。
メイの言葉を聞いた光圀の目に、ようやく冷静さが戻る。
彼は刀を鞘に収め、後ろを向き、「さ、帰ろうか」とあっけらかんと声を上げた。
そして、「あ、リディアちゃんにお土産もっていかなきゃね」と言いながら、
魔獣の死骸を拾うよう指示を出した。
蓮はメイを連れ、部隊と共に山を下りていった。その場に残された凌は、
鷲尾に問いかける。「人間の振りをしている魔獣とはどうゆうことですか?」
鷲尾は答えた。「あいつは魔獣の言葉がわかるんだ。呪いを解くとかなんとか」
凌は「呪いを解く?」と言いながら、眉をひそめた。
「なあ、俺はこれからどうなる?」鷲尾が不安げに尋ねると、
凌は冷静に答えた。「今回の行為は部隊の秩序を乱すものであり、
軍法会議にかけられることになるでしょう。國光様に逆らう行為は、
総帥に逆らうことに等しく、その罪の重さを十分に味わうことになるだろう」
鷲尾「そ、そんな」
「では、失礼します」と言い残し、凌は部隊に戻っていった。
光圀の部隊が去った後の静寂が、戦場に残された者たちの間に重くのしかかる。
副司令官の大和は、その静けさを破るかのように鷲尾のもとへと歩み寄り、
彼の肩を優しく掴んだ。「さあ立って、軍法会議のことでしたら私に任せてください」と、彼は力強く言った
鷲尾は動揺を隠せずに声を震わせながら
「そ、そうだ、これはお前が全部やったことだ、お前が会議にかけられればいい」
大和は微笑みながら、
「その通り、司令官は何も心配いりません、さあこちらへ、手当します」と言いながら、
倒れた木の上に鷲尾を座らせ、辺りを見回しながら、大和は淡々とした声で言った。
「それにしても多くの犠牲が出ましたね」
鷲尾はため息をつきながら、「ああ、しかしあの國光の隊員は魔獣なのか?」と尋ねた。
大和は静かに答える。「もうそれも気にする必要はありません」
鷲尾が混乱の中で「なんだって?どういう意味だ」と問いただしたその時、
大和は突如として銃を鷲尾に突きつけた。「あなたは終わりです」という言葉と共に、銃声が響き渡る。
バーンという一発の銃声が、周囲の静寂を破壊した。彩の地部隊の隊員たちは驚きながら音のする方へと駆け寄ってくる。
大和は冷静に隊員たちに告げた。「司令官は責任をとり自害した」
その瞬間、隊員たちの間には動揺と不安が広がった。だが、大和はその場を支配する冷徹な瞳で
一人一人を見つめ、力強い声で続けた。
「これより、我々が新たな道を切り開いていく。
犠牲を無駄にするな、全員、覚悟を決めろ。我らが未来を勝ち取る!」
驚愕と悲しみの中で、それでも希望の灯火を見つけた隊員たちは、再び立ち上がり、前進を誓った。