まずサンタクロースは西に向かいました。
途中で出会った商人に大きな星がどこかにないか尋ねてみると、商人は首をかしげたあとこう言いました。
「うーん。星ねぇ……そういや隣町の雑貨屋でそんなのを売ってると聞いたな」
すぐに隣町に向かったサンタは商人に聞いた雑貨屋に入りました。
事情を話すと、店主は売り物の星を持ってきてくれました。
「どうだい? これは使い物になりそうかい?」
ブリキで出来たその星は大きいものの輝きはなく、サンタクロースの探していた星ではないようでした。
「すまんが、これは違う星のようじゃ」
「そうかい……あ、ならあれはどうかな。ここからずっと東に進んだ街に、一際輝く星があると聞いたことがある」
サンタクロースは店主にお礼を言うとすぐに店を出て、ソリで東の街へ向かいました。
「これのことかしら?」
サンタクロースが訪ねた大きなお屋敷に住む夫婦の一人娘は、首元に美しく輝く星の形の宝石を身に着けていました。
「これはわたくしがお母様から頂いたもので、お母様はお祖母様から、お祖母様はひいお祖母様から代々頂いたものですの」
確かにそれは一際輝く星でしたが、指先に乗せてしまえるほどの大きさで、やはりサンタクロースの探していた星ではなさそうでした。
「それはとても素敵なものじゃ。これからも大事にしておくれ」
「えぇ、ありがとう。そういえば……ここから遥かずっと南の方に、輝かしくて立派な星があると聞いたことがありますわ」
娘にお礼を言ったサンタクロースはまたソリに乗り、今度は南を目指して空に飛び立ちました。
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