「少しずつ、優しく」
ー彼との食卓でー、
最近なんだか、ご飯を食べようとするたびに、
喉がぎゅっと締め付けられて上手く飲み込めない、
お腹は空いているのに、
食べ終わったらなぜか気持ち悪くなってしまう、
そんな日の夜に
狐さんがスリッパの足音をパタパタとならしながら
私にそっと声をかけてくれた
「〇〇さん?今日はは私の手料理を食べませんか?
お腹が空いていていても、食べるのが辛い時もありますよね、
それならと思い、できるだけ食べやすいものを作りました」
狐さんが用意してくれたのは、
お出汁がふわっと優しい香りにつつまれたとっても柔らかい和風おかゆと
ふんわりとした卵焼き
小さなすりおろし野菜のスープ
「どんな時にも〇〇さんが安心して食べられるようにしないとですからね」
と、暖かくにこっと笑って狐さんは椅子を引いてくれた
でも、やっぱり、スプーンを持つと少し怖くなってしまって手が震えた
そんな私に気がついたのか狐さんはそのスプーンを
私の手からとった
「もし、よろしければ」
と狐さんは暖かいお粥をとり
あーんと言いながらスプーンを差し出してくれた
少し照れちゃうけど優しい眼差しに背中を押され
私はぱくっと食べた
「飲み込めなかったら吐き出してもらって大丈夫です
自分のペースで焦らずに」
少しずつ食べれるようになってパクパクと食べた
「無理しなくていいんですよ?1口食べれたんですから
もう随分頑張れてますよ食べ終えて気持ち悪くなったらすぐ寄り添えますから、
安心して食べてもらって大丈夫ですよ」
私が食べ終えたのを見ると狐さんは
にっこりと目を細めて
「お疲れ様でした、偉いですね
今日はここまでで大丈夫ですよ
ここからは私はすぐ寄り添えるようにしてますから」
やっぱり胸がムカムカするなぁ、、と思っていたら
狐さんが優しく背中を撫でてくれた
そんな小さなひとつの行動だけでも
私は少しずつ救われていく気がした
―狐さんの手料理、静かな寄り添い。それだけで、明日もまた少しだけと
頑張ろうと思えた―
〜𝑒𝑛𝑑〜
♡50
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