ミカエルの表情が変わった。先ほどの静かな葛藤はどこかに消え去り、純粋な闘争心に燃える瞳がタクトを見据えている。
「さぁ、タクト。これが俺の自由だ!」
叫びながら、ミカエルが空中に両手を広げた。その瞬間、彼の周囲に無数の光の粒が現れ、まるで小さな彗星のように空間を切り裂きながら飛び交う。
タクトは眉をひそめた。
「……戦闘狂かよ。まったく、面倒な相手だ。」
そう言いながらも、彼は冷静だった。胸元に手を当て、静かに「警告」の異能を発動させる。
ミカエルが突如姿を消す。動きは速すぎて、音すら追いつけない。だがタクトの目には、一瞬だけ彼の動きが見えた。ミカエルはすでに、タクトの背後に回り込んでいる。
「後ろだ!」
タクトは自身に警告を発動し、ギリギリで後方へ跳躍。その直後、ミカエルの放った光の刃が地面を深く切り裂いた。
タクトが着地するや否や、再び警告が彼の意識に飛び込んでくる。
「左上! 狙撃型攻撃!」
ミカエルが空中から放つ光の槍が、猛スピードでタクトに向かってきた。タクトはその場に身を伏せ、間一髪でかわす。光の槍が地面に突き刺さると、爆発的な衝撃波が発生し、周囲の瓦礫を吹き飛ばす。
「おいおい、どんだけ全力なんだよ!」
タクトは次の攻撃を予知し、目を細める。
「右前方、広範囲攻撃……!」
次の瞬間、ミカエルが空中で巨大な光の剣を振り下ろした。剣から放たれた衝撃波が、地面を切り裂きながらタクトに向かって進む。タクトはすかさず自分の警告を反転させ、攻撃のタイミングを逆転。
「行け!」
タクトが手を振りかざすと、ミカエルの攻撃が突然静止し、その刃のエネルギーが反転して彼の背後に跳ね返った。
「ふふっ、それでいい。それが俺の求めた戦いだ!」
ミカエルは嬉しそうに笑う。反射された攻撃を受けるどころか、軽々と回避し、さらに攻撃を仕掛ける準備を整える。
「まだまだ終わらせないぞ、タクト!」
ミカエルはテンションを上げ、あらゆる方向から攻撃を繰り出す。そのたびに「警告」が鳴り響き、彼の動きが鋭くなっていく。
「後ろから突進!」
「上からの爆撃!」
「地面を通しての振動攻撃!」
タクトは汗を流しながらも、次々と回避し、ミカエルの攻撃に対抗する。
「いい加減にしろ、ミカエル! こんな戦い、どれだけ続ける気だ!」
「お前が倒れるまでだ!」
ミカエルの叫びが響く。だがその声には、どこか楽しさすら感じられる。
「なら、これで終わらせる!」
タクトが深く息を吸い込み、異能を最大限に発動させる。その警告は、時空を超えて未来の可能性をすべて視覚化するものだった。彼の目には、次にミカエルが動く方向、攻撃のタイミング、すべてが鮮明に見えている。
「終わりだ、ミカエル!」
タクトが叫びながらミカエルの懐に飛び込み、その胸に手を突き出す。警告の力が炸裂し、ミカエルの動きを一瞬だけ封じた。
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