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❤️→💛(🩷💛付き合ってる設定)学パロ
高校3年生🩷💛
高校2年生❤️
***
舜太 side
3月になり、この学校は卒業式を迎えた。
卒業式には卒業生と代表の在校生だけが参加する。
卒業式に参加しない在校生は家にいてもいいし、先輩に会いに学校に来ても良い。
俺は誰もいない教室の窓から、卒業式を終えた3年生たちの様子を眺めていた。
在校生代表ではない俺が学校に来た理由は1人。
俺はその1人を眺める。
吉田仁人。
俺がこの学校に来て最初に仲良くなった人だった。
***
俺は2年生の時に転校してきた。
既に人間関係が形成されており、最初は友達を作るのが難しかった。
何もかも疲れていた俺は読書してリラックスしようと、図書室に入り面白そうな本を選んで読んでいた。
そんな俺に話しかけてきた人が、1個上の先輩、吉田仁人だった。
「それ、好きなの?」
「……んぇ?」
適当に選んだ本が思いのほか面白くて、熱中して読んでいると誰かに話しかけられた。
急な出来事で間抜けな声が出てしまう。
「その本、俺が1番好きな本なの。ごめん、熱心に読んでるから話しかけちゃった」
「あ、そうなんですね。初めて読んだけどおもしろくて夢中になっちゃいました」
「ふふ、だよね」
彼は俺の言葉に笑った。
その笑顔に少しドキッとする。
「名前、なんて言うの?」
「曽野舜太。2年生です」
「俺、3年の吉田仁人」
「1個上か。よろしくね仁ちゃん!」
「いや、年上に何でちゃん付けしてんの!?」
仁ちゃんは口では怒っていたが、表情はどこか嬉しそうだった。
だから俺は年上にもかかわらず仁ちゃんと呼んだ。
この学校に来て、最初に仲良くなったのが仁ちゃんだった。
まだあまり学校に馴染めていない俺には凄く嬉しいことだった。
仁ちゃんは図書委員らしく、基本木曜日に図書室にいるので、毎週木曜日に仁ちゃんに会いに図書室へ行った。
学校に馴染めるようになり、クラスに友達が出来てもそれは変わらなかった。
「お前、いつも図書室にいない?」
「俺、木曜しか来てないよ。仁ちゃんに会いに来てるから」
「………あっそう」
仁ちゃんは口では素っ気なくするが、少し顔が赤くなっていた。
素直じゃなくてかわいい。
素直じゃないけど感情が顔に出やすくて、実は優しくて、笑いかけてくれる。
そんな仁ちゃんが大好きだった。
それが恋愛的な意味だということもすぐ理解できた。
***
誰もいない教室から、校庭にいる卒業式を終えた仁ちゃんを眺める。
あーあ。気持ち伝えた方がいいのかな。
それとも伝えずに胸に閉まっておいた方が良いのかな。
どれだけ悩んでも答えは出なかった。
せっかく学校来たんだから、仁ちゃんに会いに行こう。
校庭に向かおうかな、なんて考えていると、誰かが仁ちゃんの近くに来たのが目に入った。
あれは佐野勇斗。
仁ちゃんと仲が良くて、よく図書室に仁ちゃんを迎えに来ていた。
2人の様子を見ていると、校庭で佐野勇斗が周りの人の目を盗んで仁ちゃんにキスをした。
仁ちゃんは驚いて、すぐに佐野勇斗を叩いた。
けど顔は真っ赤でどこか嬉しそうだった。
そっか。仁ちゃんは佐野勇斗と付き合ってたんだね。
胸がぎゅっと締め付けられる。
仁ちゃんに会いに行こうとしていた足が止まる。
今日で会えるのが最後かもしれないのに、さっきの光景を見て仁ちゃんに会うのがつらくなってしまった。
会わなければ後悔する。
それは分かってるのに、会いに行くのが怖い。
そう考えているとポケットの中に入っていたスマホが揺れる。
画面を見ると、仁ちゃんから電話がかかってきていた。
「……もしもし」
『もしもし?舜太さ、いま学校いる?』
「……うん」
『ほんと!どこにいるの、会いたいんだけどさ』
「2年3組の教室。ここから仁ちゃん見てる」
『え、まじ?……あ、いた舜太』
仁ちゃんは校庭から俺がいる教室の方を見上げて、俺を見つけて微笑んだ。
あぁ、やっぱり好きだな。
『そっち行くよ』
「え、いいの?クラスの人たちと一緒にいたいんじゃ…」
『いいの。舜太に会いたいから』
そう言われて嬉しくなってしまう。
さっきまで悲しかったのに、仁ちゃんの言葉ひとつで俺の感情は変化する。
しばらくすると足音が聞こえた。
振り返ると、そこには胸元に花を付けた仁ちゃんがいた。
「卒業おめでとう。仁ちゃん」
「ありがと」
仁ちゃんは教室の中に入り、俺の隣に来る。
自分より低い身長。俺を見る時に上目遣いになるのが好きだった。
「いるなら早く言ってくれればよかったのに」
「ごめん。クラスの人と一緒にいたいかなとか思ってた」
「クラスの人たちはこの後のクラス会でも会うから別にいいよ。俺は舜太に会いたかった」
なにそれ。
いつもはツンツンしてるのに今日は会いたかったとか言うんだ。
やっぱ、好きだなぁ。
「仁ちゃん」
「ん?」
「俺さ、仁ちゃんに会えてよかった。転校してきたばっかの時、クラスに馴染めなくて学校行きたくないなとか考えてたんよ。でも、仁ちゃんと話すようになって学校楽しくなったし、仁ちゃんに会うのが嬉しかった」
「ありがと。俺も、仲良い後輩なんて舜太くらいしかいないし。毎週俺に会いに図書室に来て話すの楽しかったよ」
仁ちゃんがこんなに素直なのはやっぱり卒業するからなのかな。
もう図書室行っても仁ちゃんには会えないんだな。
「俺、来年も図書室行っちゃうかも」
「俺いないけどね」
「うん。寂しいよ仁ちゃん」
仁ちゃんは俺の頭を撫でてきた。
「高校は卒業するけど、もう一生会えない訳じゃないんだから。また、会って遊んだりしよ?」
「うん……」
また会えばいい。
それはその通りなんだけど、やっぱり学校に当たり前にあった仁ちゃんの存在が無くなるというのがきつい。
日常が日常じゃなくなってしまう。
仁ちゃんのスマホが震える。
画面には佐野勇斗という文字が見えた。
「ごめん、そろそろ戻らなくちゃ」
「……うん」
行かないで。そっちに行かないで俺のところにいて。
そう言いたかった。
けど、無理だった。
「じゃあね舜太。また会おう」
「ばいばい仁ちゃん」
仁ちゃんは校庭に戻るために教室を出ようとする。
「………仁ちゃん!」
「ん?なに?」
仁ちゃんは足を止め俺の方を振り返る。
「大好きだよ。……仁人先輩、卒業おめでとう」
「ふふ、舜太に先輩なんて初めて呼ばれたよ。俺も大好きだよ、ありがとう」
ちがうよ。
仁ちゃんの好きと俺の好きは違うんだよ。
でも、言えなかった。
ただ、俺から離れていく仁ちゃんの後ろ姿を見つめる。
さよなら、俺の初恋。
コメント
1件
あー、これ刺さるやつだわ……。転校してきた舜太が仁ちゃんと出会ってから卒業式までの流れ、めちゃくちゃ丁寧に描かれててグッときた。特に「仁ちゃんの好きと俺の好きは違うんだよ」ってとこ、胸がギュッてなった。好きな人が別に好きな人いるの分かってても会いたくなる気持ち、すごく分かる。仁ちゃんが舜太に会いに来てくれた時の嬉しさと切なさが混ざった感情、めちゃくちゃ伝わってきたよ。最後の「さよなら、俺の初恋」って言葉がずっしり響いた。みかんさんの作品、また読みたいです!