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家に連れ込むことに成功した、なんて言い方したら品がないけど、少しずつ距離を詰めていくつもりだった俺からしたら、仕事以外の2人きりの空間なんて嬉しい誤算すぎる
普段から片付けておいてよかったと思いながら、翔太を家に招く
「キレイにしてるんだね」
「一応、最低限はね」
「めめの家とか雑然としてるんだよね」
「そうなんだ」
翔太がめめの家によく行ってるのなんて今さらなのに、胸の奥がチリっとする
「お茶淹れようか」
「ん、ありがと」
お茶を準備している間も翔太はキョロキョロと部屋を見渡す
「すげー、本がいっぱい。俺に分かるやつ1つも無さそう」
「そんなことはないでしょ笑」
「いやあるよ。あ、でもこれとかキレイ」
「んー?それ世界遺産の写真集だよ」
「へぇー」
「はい、お茶どうぞ」
「あ!ありがと」
振り向いて、パッと笑顔になってソファに寄ってくる
その仕草1つでさえ、俺には可愛く映る
「どうする?何か観る?」
「YouTubeとか?」
「いいよ、見ようか」
過去の動画も見返したりなんてして昔話に花を咲かせていたら、いつのまにか結構な雨音が響いているのに気づく
ベランダの窓から外を覗けば、空が白むほどの雨が、風に煽られて横殴りに降っている
「翔太、これは帰れないかも」
「え、うそ。そんなに?」
水族館で解散かと思ってたから夜の天気までは確認してなかった
「うわーやばいね」
慌てて天気アプリを確認するも、延々と続く雨雲が映されるばかりだ
「朝まで止みそうになさそう」
「まじ?」
「翔太、明日の予定は?」
「仕事ある、昼からだけど」
「じゃあもう泊まっていって明日の朝に帰りな、俺も昼からだし」
「でも、迷惑じゃない?こんな急に」
「この雨の中を帰すわけにはいかないよ。家に誘ったのは俺だし、大丈夫だから遠慮しないで」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
さらなる誤算でお泊まりイベント発生に、否応なしに胸は高まる
「流石にこの大雨でデリバリーはね…ご飯、俺は簡単な炒め物くらいしか作れないけど」
「全然!俺なんて作れもしないし…、洗い物はさせて」
「ん、わかった」
こんな時は、めめや康二のように料理ができればと思う
「うまっ!」
「ほんとに?めめや康二の方が上手でしょ?」
「阿部ちゃんのご飯だって美味しいし」
「ありがとう」
それでも翔太はお馴染みの反応を見せながらご飯を頬張ってくれた
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
「おそまつ?」
そういいながらダンスのポーズをとる翔太
「ふふ笑 作った人が、ごちそうさまって言われたら、そうやって返すんだよ」
「へぇ…知らなかった……でも俺作らないから使うことないか…」
「覚えておいて損はないよ」
「それもそうか」
「翔太くんひとつ賢くなったね〜」
「どうせ、バカだし」
「ふふ、拗ねちゃってかわいいね〜」
「うるさい!」
「ふふふ」
「ほら!俺洗い物しとくから、今のうちに風呂入ってこいよ」
「いや、ここ俺の家な」