テラーノベル
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「ぅ、ん……?」
まだまだ重い瞼に、毛布を掴んで離さない手。
石畳の冷たさも、硬さも無いその場所で、俺は安心と熱っぽさを感じていた。
重い瞼をそっと上げる。
俺の視界に入るのは、木の天井と、温かな陽の光だった。
床に寝そべったはずだったのに、どうやら俺はベッドの上に居る。そりゃ、硬さを感じなかったわけだ。
だが、誰が俺をベッドに乗せたんだ……?
寝ぼけ眼を擦りながら、まだまだ重く、辛い体を起こす。
そして、警戒を緩めないまま、そっと部屋を見回した。
相変わらず静かなこの部屋にのドア近くには、大きな木の机と椅子がある。
その椅子に、机と向かった大きな背中が見えた。
ソイツは相変わらず、黒のセーターを着ている。少しも気にしていなさそうな少し癖のついている深紅色の髪。
石像のように、その背中は一切動かない。
ただ手だけが動いているようで、カリカリとペンで字を書く音だけが聞こえる。
手元にあった毛布を握りしめる。
まだ胸の苦しさと熱は残っているが、激しい咳も、喘鳴は落ち着いている。
ハラリと額からまだ冷たさの残る濡れたタオルが落ちてきた。
矢張り、主炎が俺を運んだと言うのだろうか……?
疑問と、感謝と、屈辱と。
感情が混ざり合って、もう一言で表せる物では無くなった。
未だピクともしないその大きな背中を見つめる。
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