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「」せりふ ()こころ
桃 視点 .
学校から帰宅して、お風呂を済ませた後の自室。
俺はベッドの上で、なつの膝に頭を預けて横になっていた。
部屋の明かりは少し落とされていて、静かな空間になつの指が俺の髪を梳く心地よい音だけが響いている。
「らん、今日のサッカー、本当に頑張ってたね。怪我しなくてよかった」
「ん……なつがずっと守ってくれてたからね。ありがと」
なつはふんわりと微笑みながら、俺の前髪のピンク色を愛おしそうに指先で弄っている。
タメ口に戻ったなつの声は、耳元で聴くと頭の芯がとろけそうになるくらい甘い。
学校でのトゲトゲした雰囲気はすっかり消えて、今のなつは俺に甘々の、優しい執事そのものだった。
「ねぇ、なつ。今日のおねだり、怒らなかった?」
「怒るわけないじゃん。らんに膝枕して、って言われた時、嬉しすぎて心臓止まるかと思った。……らんは、俺以外の誰にもあんなこと言っちゃダメだよ?」
「言うわけないじゃん。なつだけだよ」
俺が微笑みながらなつの燕尾服を着崩したシャツの裾をきゅっと握ると、なつは愛おしさが爆発したように、俺の額に優しくキスを落とした。
なつの大きな手が、今度は俺の首元にそっと触れる。
脈打つところに指先を滑らせるなつの手は温かいけれど、どこか強固な鎖で俺を繋ぎ止めているような、不思議な強さがあった。
「ねぇ、らん。もしさ……」
なつが髪を梳く手を止め、少しだけ声を低くした。
その切れ味のある瞳が、暗がりのなかで怪しく光った気がした。
「もし、らんの両親や、百瀬家の偉い人たちが、俺たちの邪魔をしようとしたらどうする?」
「え……? 邪魔って?」
「例えば、らんに俺以外の誰かと結婚しろって言ったり、俺をらんの傍から追い出そうとしたり……俺たちの『当たり前の幸せ』を壊そうとする奴らが現れたら」
なつの言葉に、俺は少し胸が痛くなった。
滅多に家に帰ってこない両親。
俺を「百瀬家の次期当主」という記号としてしか見ていない彼らなら、将来、そんな冷酷な決定を下すかもしれない。
想像するだけで、なつを失う恐怖で背中が冷たくなる。
「そんなの嫌だ……。俺、なつがいなきゃ生きていけないもん。何があっても、なつの手を離さないよ」
俺が必死に訴えると、なつはゾクッとするほど美しい笑顔を浮かべた。
「うん。らんがそう言ってくれるなら、俺、何でもできる。……大丈夫だよ、らん。もしそんな邪魔者が現れても、俺が全部『お片付け』してあげるからね。らんの綺麗なおててを汚すような面倒な仕事は、全部俺の役目。らんはただ、俺の作った安全な場所で、笑って甘えててくれればいいの」
「お片付け」という言葉に、俺は「なつは本当に過保護だな」と小さく笑ってしまった。
百瀬家の当主としての面倒な手続きや、親戚との交渉を、なつが裏で全部引き受けて守ってくれるという意味だと、この時の俺は無邪気に信じ込んでいたのだ。
「あはは、頼りにしてるよ、なつ。でも、なつも無理しちゃダメだからね?」
「ふふ、無理なんてしないよ。らんのためだもん、全部楽しいよ」
なつは俺の身体を引き揚げ、今度は正面からぎゅっと抱きしめてきた。
金髪と赤の毛先が俺の首元に当たって少し痒い。
なつの心臓の音が、ドク、ドク、と少し速いリズムで俺の胸に伝わってくる。
「……らん、愛してる。世界で一番、俺だけのらん」
「おれも、なつのこと愛してるよ」
なつの歪んだ執着も、過保護すぎる「お片付け」の約束も、俺にとっては最高に甘くて安心できる檻だった。
この時の俺はまだ、なつの言う『安全な場所』が、血に染まった誰もいない静寂の世界だとは、夢にも思っていなかった。
【み】
episode . 5 end__
や っ た ね 。
他 く ら す の せ ん せ ~ に き に い ら れ た ぜ 。
ぜ ん か い 160 も あ り が と ~ ご ざ い ま し た !
ま じ う れ し 。
こ ん か い も 120 お ね が い し ま す !
ば い ち ゃ !
コメント
3件
🌾失っ おいしっ んもぉ美味しい… お片付けってもう、そんなん好きじゃん… うへへ((殴 やっぱ、主従っていいんだよ。 いいんだよね。 …おいしいんだよね。 神ぃぃぃぃぃぃ もぉししょぉぉぉぉぉぉぉぉ.ᐟ.ᐟ.ᐟ.ᐟ
うわあ…このエピソード、甘くて優しいシーンなのに、なつの「お片付け」って言葉がめちゃくちゃ怖く響いてきました。桃くんは無邪気に「過保護だな」って笑ってるけど、読んでるこっちは背筋がゾッとしましたね…。“血に染まった誰もいない静寂の世界”というラストの一文が効いてて、これから何かが動き出す予感がたまらないです。