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柚猫ゆう
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コメント
1件
**はる。だわ。** 第2話、めっちゃ面白かった! まず冒頭、襲と花ちゃんの距離感、ナイス先生のタイミング最高。 そこから一転、福無のスライディング→防球ネット襲来→焼きそばパン絶命の流れ、コメディのテンポが完璧すぎるw 雨草の「天気操る系不運男子」、空井の「光合成不足で意識飛ばす」とか、キャラのクセがしっかり刺さる。 襲の「花ちゃんのノート濡らすな」の圧、めっちゃ好き。 「僕は平凡」って言いながら周りがカオスすぎて、もう笑うしかない展開がたまらん🔥 続き、絶対読みたい!
「ちょっと、そこ。朝からイチャイチャしない。ほら水際も席に着く、予鈴鳴るぞ」
ガララ、と前方のドアが開いて入ってきた担任の気怠げな声が、僕たちの間に流れる奇妙な空気をピシャリと断ち切った。
ナイス先生。今度お中元でも贈りたい。
「ちぇ、邪魔が入っちゃった。じゃあね花ちゃん、また休み時間に」
襲はちっと舌を打ち、まるで名残惜しそうに(本当に惜しそうに)僕の机から離れて自分の席へと戻っていく。
その背中に向けられるクラスの女子たちの視線は、相変わらず羨望と困惑が半々だった。
……はぁ。
なんとかブレザーの強制奉納は阻止できたものの、朝一番から凄まじく体力を消耗してしまった。
僕は自分の席に深く腰掛け、これから始まる一限目の教科書をカバンから引っ張り出す。
窓の外を見上げれば、雲一つない、絵に描いたような五月晴れの青空が広がっていた。
今日もいつも通りの、なんてことのない平凡な一日が始まる。
……はずだった。
キーンコーンカーンコーン……。
一限目の終了を告げるチャイムが響き渡る。
先生が「じゃあ、ここまで」と教科書を閉じた瞬間、僕の第一の平穏は音を立てて崩れ去った。
ガラッ、と大きな音がなる。
「あ、危なーいッ! 累くん伏せて!!」
前のドアから滑り込んできたのは、前髪を盛大に跳ね上げた男子生徒。
僕の友人その2、歩く災害記念碑こと不運体質の男、福無涼だ。
廊下側からダイナミックなスライディングで教室に突入してきた彼の背後から、ぶおん、と不穏な風切り音が聞こえる。
見れば、野球部の巨大な防球ネットが、強風に煽られてそのまま廊下を凄まじいスピードで滑ってきていた。防球ネットってあれね、緑の縦に張った網みたいなのね、はいはい知ってる、じゃなくて。
ここ三階だぞ?
ガシャーーーン!!!
福無自身は教科書通りの綺麗な受け身で無傷だったが、勢い余って教室になだれ込んできたネットの支柱が、ピンポイントで僕の机の端を強打した。
ガタッと大きく傾く机。その上に置いてあった、僕が朝一番に命懸けで勝ち取ってきた150円の焼きそばパンが美しく宙を舞い、そのまま床へと肉転がりしていく。
⋯僕の……僕の焼きそばパンが……(絶句)。
「ご、ごめん累くん! いつも通り僕を狙ったはずの災難が、また君のほうに……! でも怪我がなくて本当に良かった!」
ペコペコ謝りながらも爽やかに微笑む福無。どういう神経してるんだ。
「よくねぇよ!! 花瀬の貴重な主食が消えただろ! っていうか何で3階の教室に野球部のネットが自動追尾で突っ込んでくるんだよ、おかしいだろ重力仕事しろよ!」
後ろのドアから入ってきて頭を抱えて叫んだのは、このクラスで唯一僕と「普通の会話」ができる親友柳本蓮。通称『胃痛仲間』。
「……あ、あの、みんなごめん……。僕が、さっき数学の小テストで赤点取って落ち込んじゃったから……風が強くなって、ネットが飛んできたのかも……」
胃痛仲間の背後からひょっこり顔を出したのは、友人その3、歩く気象バグこと雨男、雨草雨くんだ。
彼が激しく落ち込んだ瞬間、彼の頭上……というか、さっきまで五月晴れだったはずの窓の外から急速に暗雲が立ち込め、教室の天井からポツポツポツ……と本物の雨が降り始める。
当然、隣の席である僕の机にも不穏な湿気と水滴が飛んできた。
おい待て雨男! 教室の中でゲリラ豪雨を観測するな! あと僕の提出前のノートに水滴を飛ばすな!
「……あぁ……。お日様が……。雨雲で、遮られる……。僕の、光合成が……お腹空いた……」
窓際の席では、日照不足に陥った友人その4、絶食家こと空井湊がスウゥ……と白目を剥いて意識を飛ばしかけている。
空井! しっかりしろ、今カロリーメイトあげるから!!
ほら、襲も突っ立ってないで雨男を励ませ! 天気を回復させないと教室が水浸しになる!
僕がパニックになりながら指示を出すと、自分の席から一瞬で僕の元へステップを踏んできた襲が、冷え切った、しかし最高に綺麗な笑みを雨男に向けた。
「えー? おれは花ちゃんのノートが濡れるのは万死に値すると思うな。Heyアメクサ、今すぐ3秒以内にポジティブな気持ちになって快晴にして」
「ひぃ⋯アレクサと雨草を掛けないで⋯」
励ませっつってんだろ。
一限目終了からわずか3分。教室内で吹き荒れる局地的な暴風雨。転がるパン。白目を剥く絶食家。
もう一度言うが、僕自身は平凡そのものだ。
なのに、どうして僕の周りは毎日こうも変だろうか。
僕はクラスの女子たちの、本日最大級に冷ややかな視線を痛いほど浴びながら、今日何度目か分からない深いため息を吐いたのだった。