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しめさば
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#ロマンスファンタジー
花月夜れん
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榎本くもり
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「ライト!」
「だいぶ魔法が上手くなったね」
「そうでしょ」
彼女は悪戯っぽく笑う。この笑顔がとても好きだ。
「あ、陛下だわ! じゃあ、またあとでね。邪魔しないでよ!」
手を振る彼女には、僕との契約の証の指輪がはまっている。その上にもう一つ、違う指輪も……。
この国は、僕達の加護を頼って出来ている。その代償としてか、贄として聖なる力が強い女を差し出して。
聖なる力は僕達が生まれ変わるために必要な力だ。ただ、魔法として使える人間はほとんどいない。強い力が必要だからだ。
ただ、一度だけ特別に強くなる瞬間がある。それは、死ぬ瞬間だ。だから、その瞬間を僕達に捧げるために、契約する。
加護を受けるかわりに魂を僕達に捧げると。
一緒に生まれ変わる約束。僕の花嫁。
ーーー
「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」
そんなに、彼といたいの? 魂まで一緒に、離れたくないと――。
僕との約束は――。
「私は、私は――――を愛しているの!」
「そっか――――」
こんな国なんて、滅びてしまえ。
僕の大好きな彼女は、僕じゃない人を愛してしまった。
その魂すらも、渡したくない……と。
ーーー
「ここは、何処だろう」
前も後ろも何もわからない。
「僕は、あの国を滅ぼす、絶対に――」
ただ、ただ、その事だけが頭の中を何度も何度も駆け巡る。
「彼女が愛した全てを――――」
コメント
1件
ああ、このエピソードは胸が締め付けられますね…。最初の悪戯っぽい笑顔のシーンがあまりに愛おしくて、後半の展開とのギャップにやられました。「彼女が愛した全てを――」という最後のセリフ、ここで途切れているのがまた切ない。精霊の「滅びてしまえ」という感情が、それまでの優しい口調から一変する瞬間の温度差がもう、堪らないです。それに、二つの指輪の描写――あれが伏線だったんですね。生まれ変わりシステムという世界観の仕組みも、贄という設定も含めて、歪だけど納得してしまう切なさがある…。読み応えありました。