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ポテトは眉をひそめながら言った。
「でも、トリックはわかったけど、犯猫が映っていないと誰なのかわからないよね。」
ワトリーは少し考え込み、静かに答えた。
「犯猫はエイミーがシオンの携帯を持って逃げることを予想していなかったはずなのだ。
シオンから何か言われたに違いないと思い、ジョージに電話して子供を誘拐するよう指示した。
問題は、エイミーが携帯を持って出て行くのを見て、
エイミーを犯猫だと仕立て上げることができたということなのだ」
ポテト「犯猫がその様子を影から見ていたということ?」
ワトリー「そうなのだ、犯猫はその様子をしっかり見ていたのだ」
ワトリーは防犯カメラの映像を巻き戻し「ポテトこれをみて」
映像には、エイミーが警備室の前を走り抜け、裏口のドアを開けて外へ出ていく様子が映し出されている。
ポテトはふと疑問を感じ、
「デイビスさんはエイミーが出て行く姿を見たって言ってたよ」
ワトリーがポテトをじっと見つめ、さらに問いかける。「おかしいと思わないか、ポテト?」
ポテトは一瞬きょとんとしたが、ワトリーの指摘の意味に気づき、目を見開いた。
「…ここから裏口を出るには、カードキーが必要だ。
もしくは、デイビスに頼まないと開かないのだ」
その場の空気が緊張に包まれた。ポテトが唖然とする中、ワトリーは
「つまり、エイミーがあの裏口から出て行ったのは、デイビスが許可したということになるのだ」
「デ、デイビスさんが犯猫だって!?」ポテトが驚いた声をあげた。
「シーッ!声が大きいのだ。」ワトリーが慌ててポテトを制した。
「ちょっと待って、じゃあルーカスは共犯者ってこと?」ポテトが混乱した表情で尋ねた。
ワトリーは首を振りながらきっぱりと答えた。「違うのだ。デイビスとルーカスは同一猫なのだ。」
「同じ猫!?」ポテトの目が驚きで丸くなった。「なぜ気が付かなかったんだ……」
「デイビスは警備員として巡回といって姿を消すことがあったのだ。
その間に着替えてルーカスに変装していたのだ。」ワトリーの声には確信がこもっていた。
「そういえば、最初に警備室に行ったとき、デイビスはいなかったよね。」ポテトが思い出したように言う。
「その通りなのだ。」ワトリーはうなずいた。
「デイビスはルーカスとして犯行の準備を進め、警備員としては捜査の進展を探っていたのだ。
状況に応じてルーカスとデイビスを使い分けていた。」
「……なるほど、確かにそれなら全て辻褄が合う!」ポテトが感心したように頷いた。
ポテトは小声で続ける。「でも、どうするの?証拠がないと逮捕できないよ!」
ワトリーは冷静に首を振った。「わかってるのだ。ここで止めなければ、手遅れになるのだ。」
「どうしよう……デイビス、もうすぐ戻ってきちゃうよ。」ポテトの声には焦りが滲んでいた。
「大丈夫なのだ。ジムとカオリが、何とかして時間を稼いでくれている。」
ワトリーが安心させるように言ったが、その目は真剣だった。
ポテトが少し考えて提案する。「先輩に報告して、応援を呼ぶのはどう?」
ワトリーは首を横に振った。
「デイビスはすぐにでも
シオンの子供に会いに行く準備をしているはず。」
ワトリーがポテトの耳元にそっと何かを囁いた。
ポテトは目を見開き、震える手で携帯電話を取り出すと、ある番号を押した。
「……」
静まり返った警備室に、ブー、ブー、と低いバイブ音が響き渡る。その音に二匹の耳がピンと立った。
「どこから……?」ポテトが声をひそめて音の出所を探る。
ワトリーは目を細め、音の方向を指さした。「ロッカーなのだ。」
二匹はおそるおそるロッカーに近づいた。振動音はどんどん大きくなる。
ポテトがゴクリと唾を飲み込む音まで聞こえそうな静寂の中、
ワトリーがロッカーの取っ手に手をかけた。
「開けるのだ。」
ポテトは目をつむり、身を縮めた。ワトリーが勢いよく扉を開けると――
中から現れたのは、ひっそりと響き続ける携帯電話だった。
ワトリーは息を飲み込み、さらに奥を覗き込んだ。
その瞬間、彼の目に飛び込んできたのは、凶器と緑のレインコートが入った袋だった。
「ポテト、これ!」ワトリーはゆっくりと手を伸ばし、袋を引き寄せた。
緑色の布地が光に反射し、まるで犯人の存在を示すかのようだった。
「君たち、何をやってるんだい?」不気味な声が後ろから響いた。