クロエさんといつもの様に別れて家に帰ってくると、家族で『食事会』があると告げられました
私は知っている
食事会は私関連の事であることを
『久しぶりだな
家族全員で食事会をするのも』
『そうですわねお父様
ざっと3年ぶりでしょうか……』
『あらやだ本当に久しぶりね、少しテンション上がっちゃいそうよ』
『みっともないですよ母様
僕達子供ですら弁えてます』
『冗談に決まってるでしょ、お母様がそんなことする訳ないじゃない。あんたほんとに馬鹿ね』
みんないつもと変わらない
だけど、手が震えて食べれない
『さて……何故食事会を開いたか、分かるな?』
『裏切り者の発生ですか?』
『そうだ、そして裏切り者は……』
「……私ですね」
『そうだ、分かってるじゃないか
分かっていて何故このような事をした』
「……あの人は、いい人です
私はそれを知っている」
「逆に魔貴族は腐っています。自己中心的で、傲慢で強欲……それでもあの人は私を信じてくれています」
「はっきり言います、貴方達はこの世界のクズ以下だ」
『「宵の火風網」!』
弟が魔法を使い出した
私も臨戦態勢に入る
「いきなり物騒ね 」
『姉様、流石にそれ以上は許容できません』
『ええそうよ、姉様みたいな崇高な魔貴族が言うべき言葉じゃないわ』
「部外者はすっこんでなさい
私は今、アロンドラ家当主の父と話してるの」
『ふむ、弟妹に対する態度は一流の魔族だな。だが先程の言葉は我が家らしからぬ
少しばかり『矯正』しようか』
「私と闘う気でございましょうか。 ですが私もアロンドラ家次女、負ける訳にはいかないのです」
『何、闘う気は無い。お前と正面で闘えば勝つ確率は低いであろう』
『だが、お前は精神魔法に弱い』
「っ!」
精神魔法と聞いて思い出した
アロンドラ家の女は代々精神魔法と得意とする
まぁ私は奇跡的にそれを受け継がなかったのだが
そして更に思い出した
今この場では少なくとも3人の精神魔法の使い手がいる
振り向いた時には遅かった
『洗脳』
「ほんっと……こういう時…に……」
私は操り人形にされた
洗脳は体の持ち主を封じ込ませ、従順な別人格を入れる
ここからは私と別人格の戦いだ
私はいつも通りアリーシャを待ってた
そして彼女は来た
だけど第一声はいつもと違った
「触るな」
「……えッ?」
いつもだったらにこやかに挨拶をするのに、今日発せられたのは拒絶の言葉だった
「人間が私に触るな」
「どうしたのアリーシャ?いつもと違_」
「下等生物である人間が私の名前を呼ぶんじゃない、そんなことも理解できないのか」
……おかしい、何かおかしい
普段こんなことは言わない
ならば普段と違う……まさか
「……私の名前分かる?」
『クロエ、クロエ・ガラッシ
そうお父様に答えていただいた』
「……ふーん」
「私に課せられたのは貴様と話を10分だけしてこいと言うことだけ」
「私とおしゃべりしにきたんじゃないの?」
「おしゃべり?笑わせるな。そんな幼児じみた事私がするわけないだろう。
大体何故私と貴様が喋るような仲なのだ。人間はこうも阿呆なのか?」
「酷い言い草ね」
「口には気を付けろ、私は貴様の事をどうにかできる立場にある。貴様を奴隷にする事だって_」
「帰れ」
「……は?」
「帰れと言った」
「何故だ、何故私が貴様に命令されなければならない」
「……私の前で奴隷の話をするな」
「何故?」
「それ以上深入りするなら帰れ」
「だから、貴様は命令出来る立場では_」
「『雷神天鼓』」
私の背後に次元を切り裂くような音と
全てを飲み込むような雷が降り注いだ
「次喋ったらこれをお前に叩き込む
されたくないのであれば帰れ」
「……ちっ」
アリーシャは帰っていった
「……さてと」
確実にアリーシャは精神魔法を受けている
どうせかけたのは魔貴族だろう
それか……
ま、いいわ
とりあえずアリーシャに魔法をかけたやつは
「……抹消、ね」
私の可愛い可愛い恋人に手をつけたこと
後悔させてあげる
アリーシャです
精神魔法を解除しました
だけど……
「……クロエお姉ちゃんに合わせる顔ががないよ…」
クロエさんの1番苦痛であろう言葉
『奴隷』
それを使って罵った私を許してくれるのか……恐らく答えはNOだろう
にしても……
「雷神天鼓、初めて見たけれど
あんなデタラメな技出すなんて……」
余程怒っていたのだろうな
《そりゃ怒ってるに決まってるじゃーん!》
「っ!?」
突然気配もなく部屋の影からやってきた少女
腰まで届く黒い髪
光り続ける紫色の目
身なりの良さそうな服
彼女の面影を見たことがある
「……クロエさん?」
《あは!半分せいかーい!》
容姿が似ているが、無邪気に笑う彼女はクロエさんとはかけ離れている
「半分正解って?」
《ん〜私はあいつの魔力から生まれた存在、『魔人』とでも言えばいいのかな?》
《まぁ似て非なる存在なんだよ!》
「……それで、魔人 」
《あ、魔人呼びなのね》
「……私の心を読んだのか?」
《え?》
「私が怒ってるだろうなとは言っていない。なのに貴女はそれをわかったようにして話した。心を読んだ以外分かる方法なんてない」
「でもどうやって?クロエさんは稲妻魔法、稲妻魔法の魔力から生まれた貴女にその術はないと思うのだけど」
《私は魔人、実体を持たない生物
体に収まりきらない魔法の種類でも私は収めることが出来る》
《つまり、私は学習して心理魔法を習得したってこと!》
「なるほど、魔法に制限がないって訳ね」
とんでもないチートじゃない
……まぁこれも読まれてるんだろうけど
《それよりも急いだ方がいいんじゃない?》
「どういうこと?」
《私はさっきここの当主に 「クロエがアリーシャを誑かした」と嘘の告げ口をした》
《今頃あいつ、死にかけてるんじゃない?》
「っ!それを早く言ってよ!!!」
私はすぐに駆け出した
雨の中、傘も持たず
母や姉、弟妹が止める声すら無視して
ぬかるんだ地面に少し足を取られながら向かう
あの人と出会った花畑へ
《……ふふっ、笑っちゃうほど健気ね》
《告げ口なんて、してないのに
まぁ今からするけど》
《せいぜいもがくんだね、アリーシャ・アロンドラ》
《その身が厄災に撃たれぬように》
コメント
3件
今回もめちゃくちゃ良かったよ!!!!! いや一旦、妄想してくるわ! ifルートのオリキャラ介入を…(おい) あー…でもさ、最高だね☆ クロエは◯んでしまい、 馬鹿な奴らはアリーシャちゃんが滅ぼす そんなエンドが見えた気が… いや、流石に気のせいかな。 次回も楽しみに待ってるね!!!!!
ウワァ…魔神滅べぇ…!!!! やっぱ魔貴族 (アリーシャちゃん以外)くそだね!!滅亡すれば良いのに!!
グォオオ…絶対ハッピーエンドにならないと思いつつも読む手が止まらない…ッッッッ 今回もめっっちゃ神でした…