コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「あらすじ」の部分をキャプションとして使用しております。
詳細はそちらに明記しておりますので、どうぞ一読のほうをお願いいたします。
※加筆修正いたしました。
−−−−−−−−−−−−−
「5日後の集まりに参加しろってさ。金とクスリ持って来いよ」
惨劇の3日後、誰もいない放課後の教室。
クラスメイトはナムギュに得意満面で命令をした。
瞬間、ナムギュの中でプツリと糸が切れた。
日々着実に擦り減りながらも自分という存在をギリギリのところで繋ぎ止めていた最後の糸が。
切れれば、あとは落ちて行くのみ。
落下した身体が地面に叩きつけられ、バラバラに砕け散る音が聴こえた。
レイプされるのは明らかである。
それだけでなく、今回は金銭まで要求された。
恐喝は死ぬまで続くのだろう。
悪辣な人間に握られた弱みの内容は目も当てられないほどにグロテスク。
悲観と絶望の未来しか見えなくなったナムギュの視界は光を失い、そのまま漆黒に染まり盲目となった。
(死ぬまでコレかぁ…ダリぃな…)
そう脳内で呟くと同時にナムギュは人生を放り捨て、命を簡単に手放した。
今生を頑張ることに価値を見出せなくなったのだ。
「騙される方にも問題がある、って言うだろ?まーアレだよ。お前に問題があったってこと」
クラスメイトは意地汚く笑いながらナムギュを嘲笑した。
それを黙って聞いていたナムギュは、
「へぇ…そうなんだ…」
小さく呟くとクラスメイトの胸倉を突然掴み、ゼロ距離まで顔を引き寄せた。
そのまま耳元で、
「てかお前、俺とヤりてぇの?」
ナムギュは妖艶な笑みで囁いた後、驚愕でポカンと開いてしまっているクラスメイトの口に舌を突っ込んで、貪るような深い口付けをかましてやった。
そのまま床に傾れ込み、制服の内側に手を入れる。
いかにもな手つきで身体をまさぐり、腰を押し付けながら、舌を絡め合う。
ぐちゅりと水音がするほどに激しい口付け。
すっかり火が付いたクラスメイトは先を急いだが、それを一瞥したナムギュの心は冷め切っていた。
というよりか、最初から冷め切っていた。
嫌がらせをしたいがために、ナムギュは性的誘惑をしただけである。
そこでナムギュは唐突に顔を離し、
「キッショいな。猿みてぇ」
冷淡な声で吐き捨てた。
たった今、近いうちに自殺しようと決めたのだ。
貞操観念など抜け落ちた。
「ヤらせねーよ、テメェらにだけはな」
今にも行為を始めようかという寸前でクラスメイトの身体を全力で突き飛ばし、愕然としている間抜け面を鼻で笑うと、そのままナムギュは帰路に着いた。
だが、自殺。
早合点が過ぎる決定だが、若いナムギュには知識が無かった。無さすぎた。
終わりだなとしか思えなかった。
それに、家族の迷惑を考えると胸が痛んだ。
今や自分という存在は、家族にとっての汚点でしかない。
生きているだけで恥をかかせてしまう。
だったら死ぬしか無い。
それだけが、家族を安心させられる唯一の実行可能な方法。
他に手段は無い。
あるわけない。
今のナムギュにとって自分の存在価値は燃えるゴミと同等にまで堕ちていた。
要は、無価値。
(燃えるゴミなら、燃えて灰になるのが正しい末路)
脳内で呟くナムギュは、もはや自分を人間と認識できなくなりつつあった。
だが少し、悪いこともしてみたかった。
年頃のナムギュには、悪い事をカッコいいと思う気持ちも少なからず芽生えていたのだ。
ましてや、優等生として生きて来たナムギュならば尚の事。
一種、憧れの感情すら抱いている部分もあった。
自身はキッチリと校則通りに制服を着ながら、派手な髪色に着崩した制服で闊歩する男子学生達を横目で見ていた。
何だか羨ましいな、と思いつつ。
飲酒、喫煙、クスリ、お遊びの性行為。
この際、死ぬ前に一度やってみることに決めた。
罪は全てクラスメイト含めたグループに擦り付けられる。
脅されている事実を逆手に取ってしまえばいい。
そうすれば、家族に迷惑をかけることもない。
苛烈な復讐もできるし、何なら憐れんですら貰えるかも知れない。
自殺って素晴らしいなと本気で思うナムギュは、随分と明るく社交的に振る舞うようになった。
実際は単なる狂人の開き直りなのだが。
ナムギュは盛られたクスリを買い込んで1日に何度も使った。
使うたび幸せだった。
ラムネのような見た目の錠剤をラムネのように食えば、簡単に幸せになれる。
死ぬ前に一生分の幸せを感じたいとナムギュは考えた。
幸せを使い切る前に死ぬのは勿体無いと思ったのだ。
なのでナムギュは程度の差はあれど、常時キマっている状態で過ごしていた。
そんなものは仮初の幸せに過ぎないのだが、ナムギュにとっては知ったことではない。
どうでも良かった。
それこそ死ぬほど、どうでも良かった。
ナムギュが自殺に関しての計画を立て終わるまで、殆ど時間はかからなかった。
脅しの道具を利用してしまえば、簡単なことだった。
「こんなん利用されるだろフツー、ほんっとバカだよな」
渡されたバックアップの内容を確認しながら、ナムギュはせせら笑った。
エゲツない復讐を果たせる完璧な計画。
完成したそれをナムギュはクスリを噛み潰しながら満足気に眺めた。
そこでふと、サノスを思い出した。
廊下ですれ違った時のことを。
そして最期にサノスとヤりたいと思った。
一発ヤってから死にたいと。
火遊びの相手はサノスがいいなと。
そこでナムギュは、サノスとヤるための方法を真剣に考え始めた。
自殺の計画より、ずっと真剣に。
声を我慢すれば、バックでヤる分には問題無いはず。
女と見紛うほどの背中だから。
レイプされている時に言われたし、脅しで使われた写真や動画を見る限り、その認識には納得できる。
実際ナムギュは後ろ姿で女性と間違えられた事もあった。
「俺の背中ってマジで女じゃん。しかもスゲー綺麗だし、抜けるかも」
ふと口に出した言葉でナムギュはヒントを得た。
もし自分で抜けたならば、他人は確実と言っても過言ではないはず。
そこで、物は試しとナムギュは自分がバックでレイプされている動画を使ってみたところ早々に抜けた。
これなら間違い無い。
大金を払って縋りつけば、そうやって嘆願すれば、一発ならイケるだろうとナムギュは結論付けた。
「アイロンどこに置いたっけ…?」
髪型を女に近づける必要があるなと、ナムギュは薄らぼんやりと考えていた。