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迷惑、晒し行為おやめください。キャラ崩壊するかもです。
パクリやめてー!
[さんちゃんく!]を知らない方が見る時の注意ですが、雨栗さん、一人称が私ですが、男性です。
「ねぇねぇ!────、一緒に遊ぼう!」
「いいよー!」
あなたはにっこりと笑う。
その時、私は、あなたを、その笑顔を、守りたいと思った。
だけど、あなたは間もなく引っ越してしまった。
「はぁ……」
また思い出した。何千回目?と自問自答する。
「___!__谷!陽谷!陽谷雨栗!話聞いてんのか?!」
「は、はい!」
実際何も聞いてない。覚えてない。
「もう一回言うぞ、転校生が来るんだ!…
緑川!入ってこい!」
「はーい」
気だるげに返事をして入ってきたその子は、それはまあ整った容姿をしている男の子だった。綺麗な緑色の髪、それと同色の輝いた瞳。オーバーサイズのパーカーを着て、フードを軽く被っていた。
「えーと、緑川米将軍です。趣味はゲーム。よろしくです!」
自己紹介を終え、前を向いた緑川さんは、笑顔だった。黄色い悲鳴があがる。
「うわぁぁ!めっちゃイケメン!」
「神様今なら死んでもいいです……」
とかなんとか、ガヤガヤ言っている。男子は、
「趣味はゲームってとこは気が合いそう」
「性格良さそーだわ」
と、まあまあ好印象。
「じゃあ、緑川は、そうだな、陽谷!お前の隣!」
「!?はいっ!」
反射的に答えた私で陽谷が誰か分かったのか、こっちに歩いてくる。そのまま隣に座ると、「よろしく!」と挨拶してくる。「よろしくお願いします」と、私も挨拶した。
一時間目、二時間目とすぎ、中休みになった。緑川さんの机の周りを、クラス全員が取り囲んだ。
「ゲームってなにやってんの?」
「ス〇ラできる?」
「緑川さんって、彼女とかいますかっ?!!」
「好きな子とかいるんですか?!!」
熱がすごい。隣の席の私まで熱気が飛んでくる。正直に言う、うるさい。そして暑い。そうげんなりしてきた私だが、当の緑川さんは、
「ゲームはマイクラやってる!」
「ス〇ラ?あー、やってるやってる!今度一緒にやろうぜ!」
「彼女も、好きな子も、居ないな。」
と、質問に一つ一つ丁寧に答える。優しいんだな、と思った。そんなことをぼんやりと考えていると、緑川さんが話題を突然私に振ってきた。
「陽谷雨栗さん、だっけ?俺、あなたに会ったことある気がするんだけど……?」
「え?うーん」
思い出す限り、このイケメンは見た事がない。正直に答える。
「うーん、覚えてないので、人違いじゃないですかね?」
緑川さんは少し首を傾げながら、「そうですか…」と最後まで応答してくれた。
タイミングよく、チャイムがなる。みんなが慌てて席に着くと同時に、先生がスパーン!と扉を開けて入ってくる。授業が始まった。
それから、六時間目の終わり、みんなが帰りの支度をしている時に、先生が私を呼んだ。
「陽谷、今日の放課後、空いてるか?」
「?、空いてますけど、何かあるんですか?」
「あのな、お前に、緑川に学校を案内してやって欲しいんだが……頼めるか?」
「いいですよ」
「じゃ、頼んだぞ!」
帰りの会を終え、緑川さんに学校を案内する旨を伝え、早速案内した。地図だけじゃ分かりにくいのは私もわかる。
「えーと、ここが図書室。緑川さん、本は読む?」
「いや、本は嫌い。ちょっと嫌な思い出があるから」
「ふーん……」
なんて軽いやり取りをしながら進む。最後の図工室に向かう。会話をしていると、緑川さんが爆笑し始めた。なんだろう。変なこと言ったか?
「w、陽谷、緑川さんって、辞めてよw」
「え?じゃあ、なんて言えばいい?」
「んー、こめしょー!こめしょーって呼んで!俺も雨栗って呼んでいい?」
「うん、いいよ!」
「あとさ、やっぱ俺達、いつかどっかで会ったことないか?」
「?いつかって、具体的にいつ?」
聞き返すと、うーん、と唸りながら考えるこめしょー。立ち止まってしまったので、私も止まる。
「うーん、幼稚園ぐらい?」
私の脳内をあの子の笑顔が過ぎる。いやいや、違うでしょ、とか思うけど、なんとなくその可能性を捨てきれない。そういえば、あの子も綺麗な緑の髪をしていたような……。
そうだ、あの子も綺麗な緑の髪だった。あの子の名前、名前は……!
「笹中、米将軍……?」
呟くように言ったその名前。こめしょーはみるみる表情を明るくした。
「そうだよ!笹中米将軍!!俺だよ、俺!苗字は、変わったけど」
そう嬉しそうに言うこめしょーを見ていたら、ああ、あの子だったんだ、みたいな感じになって、嬉しくて、泣けてきてしまった。涙が自分の頬を伝う。
「え!?ちょ、雨栗?大丈夫か?!」
こめしょーの心配そうな顔が覗き込んできた。
「だい、じょうぶ。あり、がとっ……!」
心配してくれる彼に、泣いてるので歪だが、笑顔を見せる。すると、彼も笑った。
だが、少し真剣な顔にすぐ変わった。言う。「雨栗、こんな泣いてる時にごめん。話したいことがあってさ、いいか?」
いいよ、と返す。ありがとな、と少し笑ってくれた。
「あのな……」そう前置き、話し始めた。
俺は今、雨栗にとんでもないことを話そうとしている。そう思うと、やっぱやめようかな、と思ってしまうので、考えないことにした。
「あのな……」
そう前置いてから、俺は話した。俺の過去を。
俺は、そこそこ裕福な家庭に生まれた。だが、俺はあそこでは人として扱われなかった。家に帰れば父に叱られ、母に殴られ、兄に嘲笑され、妹には可哀想な子を見る目で見られた。
兄は出来が良かったから、父も母も溺愛した。結果、自意識過剰な我儘男になってしまったのだ。
そんな兄がいたから、俺も当然、出来がいいのだろうと、父も母も俺に小さい頃から勉強させた。幼稚園の受験をするためらしかった。
だが、俺は出来が悪かった。頭も悪く、父も母も俺を見放し、奴隷のように扱う。やれ掃除しろだの、洗濯しろだの。飯を作らされたこともあったが、酷い出来だったので、飯は作らなくてよかった。
父も母も、俺ではなく兄にお金をかけたので、髪も切って貰えず、女の子と見紛うようなロングヘアになっていた。だから雨栗にも間違われたのだろうな、と思った。
ロングヘアは別に良くても、前髪も伸びる。俺は前髪をかき分けないと、前が見えなくなっていた。そのせいか、俺の周りには暗い空気が流れ、みんなが怖がって俺に近づかなかった。
だけど、ある日現れたのだ。この俺にも対等な扱いをしてくれて、世話を焼き、優しくしてくれたあなたが。
気づけば俺はその子を好きになっていたのだ。
「とまあ、こんな感じかな」
気づけば、雨栗はまた泣いている。さっきと同じように拭ってやると、笑った。それが、俺の幸せになっていたのだ。
こめしょーの話す過去は残酷で、私はこめしょーの父と母を憎んだ。強く。
気づけばまた泣いていた。また、こめしょーが拭ってくれる。嬉しかった。笑うと、こめしょーも笑う。
「それでさ、」
またこめしょーが言う。このあとこめしょーが話した言葉は、私の胸に生涯残ることとなる。
「俺はその子……雨栗を好きになってたんだ」
「っ、え……?うそ……」
言葉が出ない。
「冗談……」
「んなわけないだろ」
そう言って、ニッと笑った。
「はっきり言う、俺は雨栗が好き。どうしようもなく、大好きだよ。」
「っ……!」
また泣く私を、こめしょーが今度は抱きしめた。私も勢いで、秘めていた思いを吐露する。
「私っ、私も、こめしょーのことっ、好きだったんだよ。大好きだった。」
今度はこめしょーが泣く。私はこめしょーを強く抱きしめた。強く、強く。離さないというように。
「わかる?私たち、両思いだったんだって」
「っうん。わかる、わかるよ……!」
二人は笑いあって、甘い、甘いキスをした。
あとがき
はい!こんなに長いような短いような物語を読んでくれて、どうもありがとう!人気があれば続編出します!
ありがとうございました!!