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2 - 番外編 秘密のデートと二人の危機

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2023年04月16日

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パクリと晒しやめて


四月になって、クラス替え。そして、こめしょーと再会し付き合い始めた日からちょうど二年。今年も一緒のクラスになれた。だが……

「はぁ……」

ため息がこぼれた。隣の席のこめしょーが声をかけてくる。

「雨栗?どしたー?」

「いや、なんでもないよ?」

咄嗟に嘘を吐く。そう?ならいいけど、とすぐに諦めたこめしょーに感謝しながら、自分から一番遠い席にそっと目を向ける。

そこには、授業中にも関わらず友達と話し、男子を侍らす少し偉そうな美少女がいた。

そいつの名前は鈴宮愛花。周りからはあいちゃんとよばれている。私はその子に嫉妬していた。

理由は単純。鈴宮愛花がこめしょーに馴れ馴れしい。物凄く単純な理由だ。

そんなこと考える私の方がいけないのだ、と言い聞かせると、どういうことか、その時に限って鈴宮がこめしょーに馴れ馴れしい態度を取る。そしてそれの繰り返し。堂々巡りだ。

彼女の立場、ここを離れたくない。

最近は図書室に行って、そんな二人を目に入れないようにしていた。本を読むわけでもなく、ただ椅子に座って、なるべくポジティブ思考するように自分に言い聞かせる。チャイムがなったら教室に戻り、やり過ごす。これをずっとやる。だが、その成果が出たことは無い。

むっつりした顔はしないように意識し、できるだけこんな醜い感情がバレないよう蓋をする。「これで大丈夫」そう呟きながら図書室を出るのだ。


最近、彼女の雨栗の様子がおかしい。なんだか避けられている気がする。あと、溜め息が増えた。あくまでも“気がする”なので、確定した訳では無い。

クラス替えをした時からくらいだ。変わったことといえば、鈴宮愛花がやけに馴れ馴れしく接してくるようになったことくらい?

まさか嫉妬した?とか考えた。

嫉妬だったらちょっと嬉しい。俺のこと好きってことじゃん。

俺は鈴宮のことはうるさい子供だと思っているが、相手は思い込みが激しい鈴宮だ。きっと、毎回きちんと言葉を返す俺を、自分のことが好きな、タイプの男とかとでも思っているのだろう。

もし嫉妬だとしたら、雨栗が可哀想だ。あんな奴に振り回されて落ち込んでいるのだから。俺は、雨栗の誤解を解かないといけない。


「なあ雨栗、明日空いてる?」

「え?空いてるけど」

「一緒にどっか行かない?」

少し久しぶりにこめしょーから話しかけられた。もしかしたら、フラれるかもしれない。そんな被害妄想をしたが、無理くりポジティブ思考する。

「うん!行こう!」

久しぶりに心からとびきりの笑顔になる。こめしょーはそんな私を見て、どこかほっとしたような顔をした。

ーーーーそんな私は、気づいていなかった。鈴宮がこちらを刺し殺しそうな眼差しを向けていたことを。


約束の休日。私が待ち合わせ場所に行くと、こめしょーが待っていた。

「ごめん、待った?」

「いや、俺も今来たとこ。」

マンガとかでありそうな感じの言葉を交わし、こめしょーについて行く。

「どこ行くの?」

「秘密ー!」

えー、教えてよー、と騒ぐと、こめしょーが私の頭を拳でぐりぐりやった。

そうして着いたのはーーーー学校だった。

「え、なんで学校?」と聞くと、

「俺たちが再会して、付き合ったところだからね」

ぼっ、と顔を赤くしているであろう私を微笑ましそうに見つめてくるので、更に嬉しく、恥ずかしくなった。

「今日って学校入っていいの?」

わかんなーい、と適当に返事をするこめしょーにため息をついてしまった。

「今日、今日だけ!今日だけ見逃してくれ!」

なっ、とお願いしてくるこめしょー。可愛い。わかったわかったと返事をすると、目を輝かせた。

「よいしょっ…と」

学校の塀をよじ登り、侵入した。言葉を交わさなくても、私たちの足は自然と図工室に向かった。今でも授業で図工室に行く時は嬉しくなる。

図工室の鍵が奇跡的に開いていて、こめしょーと二人で喜んだ。

図工室の椅子に座る。一息ついたところで問題があることに気づいた。

「こめしょー?」

「うん?どした?」

「……図工室でなにするの?」

こめしょーがハッとした。やっべ、なんも考えてなかった、と慌てられて、少し申し訳なくなる。

「……なにしよっか」

最終的に二人で考えることにした。一応聞く。「なんか持ってきてない?」

「話のネタ」

さらっと面白い答えが返ってきた。笑おうとしたところで、冷ややかな声が聞こえた。

「ちょおっといいかしらぁ?」

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