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ワートリ【腐】

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ワートリ【腐】

36 - すれ違って、またすれ違って、そして結ばる。(あずにの)

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2023年03月11日

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私はなんとしても、新しい二宮匡貴の受けが書きたくなりました。ですが、今までのカプで二宮匡貴受けは全て無くなったと思ってたんです。

でも、私はひとつ忘れていました。

あずにのがあるじゃないか……!!!!

はい、あずにのです。こじらせてる東さんとキャラ崩壊気味の二宮さんです。題名の割にそんなすれ違ってません、てかクソ長くなったな……

◤◢◤◢ATTENTION◤◢◤◢

・全年齢

・三者視点







すれ違って、またすれ違って、そして結ばる。












「…はぁ、」

東春秋、25歳。東は恋煩いしていた。本来東の歳で恋煩いなど珍しいのだが、相手が悪い。

「あれ、悩める東さんはっけ〜ん。激レアじゃん」「…犬飼」

頭を抱える東に話し掛けたのは、パックジュースを片手にラウンジを練り歩く犬飼だった。どうやら暇だったようで、東に目をつけたらしい。

「東さんが悩み事って、ほんとに珍しい〜」「そうか?まぁ…いいや、座れよ」「わーい、お邪魔します」

東は犬飼が自分の前に座るのを見て、神妙な面持ちで犬飼の肩を掴んだ。ビックリして、パックジュースがストローの先から少し溢れる。

「…おまえの所の隊長、今…彼女とかいる?」「え、二宮さんの事ですか?」

東の言葉に目を丸くする犬飼だが、東は真剣そのものなので茶化す事も出来ない。目を泳がせたあと、東の手を降ろさせ冷静に話し始める。

「二宮さんに女出来たら流石におれら分かりますし…今はフリーだと思いますよ」「…そうか、なるほど…」

犬飼の話を聞いてホッとした様子だ。犬飼の頭はハテナでいっぱいだったが、安堵する東を見て察さない程、犬飼も察しが悪い訳では無い。

「…東さん、まさか二宮さんに、」「…まぁバレるよな…うん…好き…」

前髪をくしゃりとする東に、犬飼は一瞬固まる。そして、すぐに吹き出した。

「あっはは!まじですか!まさか、まさかの…!」「犬飼声が大きい…」

ゲラゲラ笑う犬飼に、東はまた顔を赤くした。恥ずかしいのだ。想い人の隊の隊員に知られるなんて。

「いやぁ、ボーダー内でもモテる東さんがウチの隊長を好きになりますか。はぁーびっくりした」

ひぃひぃ言いながら目元を擦る犬飼に、頼むから内密にしておいてくれ、と念押しする東。真剣な表情に犬飼も少しばかり真面目に対応する。

「は〜…誰にも言いませんって。でも東さんが恋煩いですか〜…」

ニヤニヤしながら話す犬飼に、東は溜め息をつく。犬飼だって、東がどんな人物なのかは知っているつもりだ。そんな彼が本気で惚れているのだから、これはもう応援するしかないだろう。

「でも、このままだとランク戦とかにも影響出ますよ?」「うん…最近隊の会議で二宮の名前出しちゃった…」「あはは!立派な恋煩いじゃないですか!」

隊として支障が出るならどうにかしなければいけない。しかし、相手はあの二宮匡貴なのだ。男性の恋愛経験の無い東には荷が重い。

「てか、二宮さんのことなんで好きになったんです?元々交流あるのは知ってましたけど」

犬飼は気になっていたことを尋ねる。元々隊が同じだった二宮と東。それはもちろん知っているが、それのみで東が好きになるとは考えにくい。

「…あー、顔と性格の良さ、隊員を見る目とか。あとちゃんと隊員を大事にしてるところとか…」「うひゃあー!聞いてるこっちが恥ずかしくなりますよこれは」

照れ臭そうな東に、犬飼は頬杖をついて苦笑いを浮かべた。それと同時に、この人は本当に二宮に惚れ込んだな、と思うと微笑ましくもある。

「よし、じゃあその恋、おれがお手伝いしましょう!」「本当か?」「我らが隊長の為、そして常日頃 焼肉奢ってもらってる感謝としてです」

にっこりと笑う犬飼につられて、東の顔も緩む。持つべきものは可愛い後輩である。東は犬飼の手を強く握った。

「そうと決まれば、まずは作戦会議ですね」「作戦会議なぁ…」

犬飼の提案に頭を捻らせる東。そもそも、どうやって二宮を落とすのか、これが1番の問題だった。

「正直、二宮さんが恋してるとこなんて見たことないです。落とすなんてこと出来んのかって感じです」「まぁほとんど不可能だよな…」

二宮の性格上、色仕掛けなんて効かないのは目に見えていた。むしろ逆に落とされるのはこちらの方だろう。だとすれば、それ以外となる。余計にハードルが上がるのだ。

「とりあえず二人でどっか行くとか…焼肉屋は?」「何回も行ってるよ…二人で…」「そりゃダメですね」

犬飼の言葉に東は項垂れた。二宮との思い出と言えばやはり焼肉屋しか出てこない。それも二人きりではなく、必ず誰かしら一緒にいる為、なかなか良い雰囲気にはならない。それは二人きりでも然りだった。

「うーん…もういっそ告白してみたらどうです?玉砕覚悟で」

犬飼はパックジュースを飲み干し、ゴミ箱へ投げる。綺麗に弧を描いて入ったそれに満足そうに笑みをこぼす。東はそれを横目で見ながら、溜め息をついた。

「はぁ…俺みたいなおっさんに言われても困るだけだろ」「そうですかね?東さん若いじゃないですか」「もう25だぞ…」「なにを。二宮さんと五歳しか違うじゃないですか」「五歳も、だろ」

東の言葉に犬飼は少しだけムッとした表情を見せる。確かに東は二宮より年上で、犬飼から見たらおじさんかもしれない。しかし、

犬飼は東のことを尊敬しているし、東の実力や人柄を認めている。それを否定されるのは心外だった。

「おれが女の子とか二宮さんだったら、東さんに告白されたら嬉しいですけどね」「うそつけ…」

ずっと自信なさげな東にとうとう痺れを切らし、犬飼は東のでこにデコピンを仕掛けた。

「い、った、!」「自信無さすぎですよ!もっと自信持たないと二宮さん落とせませんからね!」

意外に痛いデコピンに額を抑え、悶える東に犬飼は喝を入れる。そうだ、自分は今恋をしているのだ。そして相手も自分に好意を寄せてくれているとは限らない、ならばこちらから行くしかないのだ。

「…うん、ありがとう犬飼」「いいえ。ようやくいつもの東さんになりましたね」

にっこりと笑う犬飼を見て、東もつられて笑顔になる。東の表情を見て安心したのか、犬飼はすぐ側の自販機でまたパックジュースを買い、東の元に戻る。犬飼が戻ってきたのを確認し、東は早速作戦を考え始める。

「…ランク戦の後とかどうだ?」「あーいいですね。特にアドレナリン出てますし」

犬飼の言う通り、ランク戦中は興奮状態になっている。それにその後もだいぶ続くものである。そんな時に誘われたら、少しくらい意識してくれるのではないか。

「よし、じゃあ誘うのは自分でやってくださいよ」「…も、もちろん」

***

「…あ、東さん」「あ、あぁ二宮」

あれから数日後、なかなか二宮と会う機会がなく、喋る暇もなかった。しかし、今日は二宮から話しかけてくれた。東にとっては大きな進歩である。

「…二宮、来週辺り時間空いてるか?久々にランク戦でもしないか」

緊張で声が震えてしまう。こんなに必死になって誘ったことなどない。二宮は黙ったまま俯いている。引かれたか、嫌だったか…ぐるぐると不安が募っていく。すると、二宮がゆっくりと顔を上げた。

「全然大丈夫ですよ」

ふっと微笑んだ二宮に、東は思わず赤面する。なんなんだこの生き物は、可愛すぎる。

「じゃあ来週の土曜日な」

東はそれを言い残し、足早に立ち去る。

***

「東さん、今日ですよ今日!今日が決戦の日ですからね」「大丈夫、分かってる…」

あの日から何度も脳内シミュレーションをした。焼肉屋に誘うことだって成功したし、誘う場所が焼肉屋からイルミネーションに変わっただけなのだ。

「東さん、行きましょう…って、犬飼。どうした?」「いえっ、なんでも!」

二宮が怪しげな目で犬飼を見つめる。二宮に睨まれたことなんて無いに等しい為、その視線が妙に刺さった。

「それじゃあ、ランク戦楽しんでくださいね〜」

ひらひらと手を振る犬飼に、二宮は小さく手を振り返す。

「…それじゃあ、やりましょうか」「…あぁ」

***

結果は東の勝利だった。10戦勝負で7勝3敗であった。犬飼の言う通り、二宮の脳内は今アドレナリンが放出されていた。

「二宮、この後時間あるか?」「…ありますけど」

まさかの返答に東は驚く。てっきり断られると思っていたからだ。少し言葉に詰まる。

「じゃ、じゃあ…イルミネーションでも見に行かないか、最近綺麗な所を見つけて…」

そこで東はハッとする。こんなのじゃ、遠回しにデートに誘っているものだ。しかし二宮は鈍感なのか、それとも分かっているのか。悩む余地なく頷いた。

「分かりました」

こくりと首を縦に振る二宮に、東の顔は緩む。嬉しくて仕方がない。やはり好きな人と一緒だと世界が変わる気がした。

「ボーダー前集合でお願いします」

そう言って隊室へ向かう二宮に手を振り、犬飼の元へ向かう。

「犬飼、誘えた…」「お〜!」

ラウンジでくつろいでいる犬飼の正面に座り、事の顛末を話す。二宮に断られたらどうしようと思っていたが、意外にもあっさりと了承してくれた事を話すと、犬飼は驚いた顔をした。

「断られなかったんですか!意外だな…」「俺もびっくりした…」「二宮さん待ってるんでしょ?行ってらっしゃい」

犬飼に背中を押され、東は急いで待ち合わせ場所に向かう。持つべきものは、優しく、仲のいい後輩であると再認識した東だった。

***

「二宮、待たせたか?」「いえ、俺も今来たところです」

二宮の言葉を聞き、安心すると同時に胸が高鳴った。これから、この男と二人きりでイルミネーションを見に行くのだ。普段の大人数ではなく、二人で。

「それじゃあ、行こうか」「はい」

遠くではなく、危険区域を抜けたすぐ側にイルミネーションが出来た。そこはカップルだけではなく、友人同士や親子連れなど幅広い層が訪れていた。そして、共に歩けるので近くを選んだ。

「東さん、近くなんですか?」「あぁ…結構近いんだ。歩いて二十分くらい」

夜、二十時の危険区域内。辺りは静まり返り、小さい光が道を照らしているだけだった。やけに言葉が反響するような気がして、小っ恥ずかしい。

「…あぁ、東さん、見えましたよ、イルミネーション」

考え事をしていた脳を、二宮の言葉で覚醒させる。顔を上げると、確かに遠くに光が見える。

「…本当だ」

キラキラとした電飾達が、夜の闇の中で輝いていた。思わず見惚れてしまう程美しい光景だ。もっと近くで見るために、二人は同時に歩みを進めた。一言も喋らないで進んでいると、

あっという間に辺りが騒がしくなり、眩しいくらいに辺りが明るくなる。

「…綺麗だ」

二宮の口から漏れた素直な感想に、東の心は揺れ動く。この男は、こんなに可愛らしい表情をするのか。なにせイルミネーションなんて興味が無いと思っていたのだ。

「…あぁ、そうだな…すごく綺麗だよ」

この瞬間、二宮といる時間がとても愛おしくなった。こんな気持ちは初めてだった。今までの恋とは違う、暖かく、優しい感情に包まれていくような感覚が心地よかった。ならもう、玉砕覚悟で気持ちをぶつけたいと思った。

「…二宮」「はい?」

振り返った二宮に、東は意を決して口を開く。

「好きだ」

東の声が、響いて消える。時が止まったかのように、辺りはしんとしている。

「っ…え、」

二宮の戸惑う声を聞いて、東は後悔する。やはり、言うべきではなかったのかもしれない。

だが、ここで言わないと一生言えずに終わる気がした。この心地の良い関係を終わらせたくない気持ちと同時に、それ以上の関係になりたいと望んでしまった。

「俺は…二宮が、お前が好きなんだ…それは、もちろん恋愛対象として…」

二宮の顔を見れない。嫌悪感を抱いている顔かもしれない、それとも、喜んでいてくれてるのだろうか、なんてありもしないことを考える。すると、二宮の足音が東に近づく。思わず目を瞑ってしまった。

「東さん」

声が近くに聞こえて、そっと顔をあげて、目を開けてみた。目の前には、二宮の顔があった。

「ッ、…!」

驚いて後ずさると、二宮はくすりと笑った。その笑顔を見て、心臓が跳ね上がる。二宮は東の手を取った。

「…俺も、あなたが好きです」

その言葉を聞いた途端、東の視界が歪む。頬に暖かいものが伝っていくのを感じた。思いっきり目を袖で擦る。

「ほん、とうか…?」「…俺だって、好きでもない人とイルミネーションなんて来ません」

照れくさそうに、二宮はそっぽを向いた。そんな二宮がいやでも愛しくて、可愛くて、東は勢いよく抱きしめる。

「っ、わ…」

素で出た声も、全てが愛しくて、東はずっと抱きしめたくなる衝動に駆られる。

「東さん、苦しいですよ」

そう言われても離そうとしない東に、二宮はため息をつく。仕方ない、と言うようなため息だ。二宮は東の背中に手を回す。

「っ…二宮…」

東の目からは涙が止まらなかった。幸せすぎるのだ。こんなにも幸せなことがあっていいのかと思うくらい、東にとって最高の日になった。

「…これ、夢じゃないよな?」「違いますよ」

二宮は呆れたように笑う。その顔は、どこか嬉しそうな顔をしていた。

「なら、改めて言いましょうか、?俺も好きなんですよ、東さんが」「…あぁ…夢じゃないなぁ…」

やっと落ち着いた東は、二宮から離れる。少し名残惜しかったが、これ以上くっついているとどうにかなりそうだった。

「…二宮、一生離せないかもよ」「どうぞ」「束縛とか、激しかったら?」「好きな人にされるなら喜んで」

即答する二宮に驚きながらも、ふと思い出したことを口に出す。

「じゃ、じゃあ…付き合うってことで、いい…んだよ、な?」「何を今更。…はい、俺でよければ、付き合ってください」

東の脳は今にもショート寸前だった。まさか、本当に自分が二宮と恋人同士になれるとは思っていなかったからだ。

しかも、こんなにかっこ良くて、可愛い男の恋人だ。もう死んでもいいくらい嬉しい出来事だった。

「……あぁ、こちらこそ、これからよろしくな」

この日が、東にとって最高の日となった。

[𝑒𝑛𝑑]

*あとがき*

「」! ? 、 。を変えて書いてみました。どっちがいいか聞かせて欲しいです…!

それと、最近おせっせシーンがマンネリ気味で書けてないです…申し訳ない…リハビリしてます…

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