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後悔
⚠️注意⚠️
ご本人様には関係ありません。
BAD END
桃くん病み、嫌われ
自傷行為あり
死ネタ
「いれいすってさ、ないこさん以外、なんか微妙ですよね」
休憩室で、何気なく投げられたその一言。
新入社員の笑い混じりの声が、俺の胸を鋭くえぐった。
「……は?」
耳を疑った。
自分の大切な仲間を侮辱され、怒りが一瞬で込み上げる。
「お前、何言ってんだよ! ふざけんな!」
反射的に怒鳴っていた。
机が震え、空気が凍りつく。
新入社員は怯えた顔で後ずさる。
その時、ドアが開いた。
「ないこ、さすがに言い過ぎやろ」
関西弁の声。まろが眉を寄せて立っていた。
「俺、別に……ただ、あんな侮辱許せなくて!」
「でもなあ、怒鳴るんはリーダーとしてどうなん?」
後ろからあにきも加わる。低く響く声が俺の胸を突き刺す。
「ないくん、落ち着いて」
りうらの静かな言葉。
その優しさですら、今は責められているように聞こえた。
「僕も、正直びっくりした…」
いむの困った顔。
「……ないちゃん、ちょっと怖かったわ」
初兎の視線は床に落ちたまま。
気づけば、自分だけが悪者になっていた。
「俺は……間違ってるのか?」
胸の奥に黒い影が生まれる瞬間だった。
それからの日々。
笑っているはずのステージが、どこか遠くに感じられた。
ファンの歓声も、メンバーの笑顔も、心に届かない。
楽屋では皆が談笑している。
「なあ、あにき、この前さ〜」
「ははっ、何やそれ!」
まろとあにきの笑い声。
その輪の中に、俺の席はなかった。
「……俺は、もう必要ないのか」
声に出すことはできない。
ただ心の奥で繰り返す。
夜、部屋に戻ると机の上に薬瓶が置いてある。
「これ飲めば、少しは楽になるのかな…」
最初は一粒だった。
眠れない夜をやり過ごすため。
けれど、気づけば数は増えていた。
頭がぼんやりして、現実から切り離される感覚。
それが心地よかった。
鏡に映る自分の顔は、日に日にやつれていく。
「リーダー失格だな……」
口元が勝手に歪んだ。
その夜、俺は大量の薬を手のひらに乗せていた。
「もう、耐えられない」
胸の奥に溜まった後悔と孤独が、重すぎて息ができなかった。
薬を飲み込むと、意識がふわふわと宙に浮く。
景色が歪み、頭が霞んでいく。
気づけば夜の街を見下ろしていた。
高い場所から見える光は、やけに綺麗だった。
「……俺、もう、いらないよね」
最後に浮かんだのは、仲間たちの笑顔。
舞台袖で肩を叩いてくれた手。
「大丈夫だよ」って笑ってくれた声。
涙が一粒、頬を伝う。
そのまま――俺は闇に溶けた。
ないこが亡くなったことを聞いたメンバーは言葉を失った。
楽屋に置きっぱなしのマイク。
そこにもう、リーダーの声は戻らなかった。