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彼は、美咲を連れて、あの“鍵”の場所へ向かった。白い扉。
かつて良規が通った、光の道。
『君も、行ける。ちゃんと、生まれ変われるよ。“誰かに愛されること”を、もう一度やり直せる』
美咲は静かに首を振る。
「怖い。またあんな風に、壊れてしまうかもしれない。また誰かを、傷つけてしまうかもしれない。」
『でも、また誰かを、愛せるかもしれない』
美咲は目を閉じる。
沈黙の中、長く長く、立ち尽くす。
やがて、美咲はそっと、良規の手を取った。
「……一緒には、いけないの?」
『うん。行き先は別なんだってさ。生まれ変わりは、それぞれ一人ずつ』
「そう……かぁ……」
彼女は、少しだけ笑った。
「じゃあさ、もしまたどこかで会えたら、今度は、わたしが先に“好き”って言うね」
『それ、約束?』
『うん。……絶対』
良規は、美咲の背をそっと押した。
『……いってらっしゃい、美咲さん。』
扉が開く。
光が彼女を包み込む。
振り返る最後の瞬間、美咲は涙を浮かべて微笑んだ。
「大好き、良規くん♡」
光が、世界を塗り替えた。
そして……
美咲さんは消えた……