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いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

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いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

142 - 第142話*ハッピーエンドじゃなくていい*2

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2025年06月02日

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「俺は、目の届かないところでダメージ受けられてるほうが困るんだよ、いいか? 余計なこと考えるなよ」

「……はい」

「悪いと思うんなら、そうだな、関わらせといてくれ」


「わかったな?」と、念を押される。

返したい言葉はたくさんあるが、どれもうまくまとまらない。真衣香は曖昧に頷いた。


優しさは、じわりと胸に暖かく、そして少し痛いものだ。



「よし、じゃあFAX送ったらもう帰れ。俺はまだ帰れねーから」

「……総務の仕事じゃなくて、ですか?」


どこかは知らない八木の異動先を思い浮かべて、子供みたいに拗ねた声を出してしまった。


「おい、マメコ、ついでにもういっこ教えといてやる」

「え?」


親指と人差し指で両頬を摘まれた。

ぎゅう、っと力を込められて。真衣香は自分の顔の状態がひどく恐ろしい。

そんな顔を八木は真正面から直視するのだから、やはり意地悪だ。


「自分に気がある男の前でそんな顔すんなよ、アホ。ほら早く行け」


ポン、と背中を軽く押され、その勢いでコピー機の方へ小走りで向かった。


そのまま後ろは見ないで、急いでFAXを送る。


振り返ってしまうと、また、優しい笑顔が見えてしまうだろうから。

意地悪だけど、優しい人。




***


忘れたいと思う心、それを阻む記憶。

初めての経験がどれも真衣香の心に深く刻まれていて、消えてくれない。


八木に急かされ会社を出てすぐ、立ち止まり晴れた夜空を見上げた。


ぼんやりと、月明かりとともに映るのは、今もまだ囚われたままの、彼の顔。


(いい加減、しつこいなぁ……私)


あんなにひどい目にあって、今もまだ振り回されていて。それで、どうしてこんな状態のまま動き出せないのだろう。


はぁー、と自分に呆れて息を吐く。

白く漂って空に溶けていくようすを、ジッと眺めていると。


「おや、立花さん。お久しぶりですね」


聞こえた声に、振り返る。

そこにはシルバー縁のメガネを、街頭の効果により妖しく光らせる長身の男性がいた。


「た、高柳部長……」

「今帰りかな?よかった、ちょうど君と話したいと思っていたんです」

「わ、私とですか?」


高柳が自分を探す理由が全く見当たらない。

しかし、後ろめたさはなくとも。目の前でジッと見つめられると嫌に緊張をしてしまう。

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