髪の話2
青井らだおの髪
夜勤明けにエナジードリンク。
大量の書類を気合いで片す。
少し寝ていたら特殊の苦情がこれでもかと溜まっているんで、つぼ浦には先程グレを3発プレゼントしてやった。
はあ……疲れたな。
椅子にもたれ掛かり、天井を見上げる。
書類仕事にヘルメットは視界が良くないので、先程から外している。
ふと、視界に入る前髪の存在が気になった。
そういえばしばらく切っていない。
「らだちゃん先輩お疲れっす!」
パトロール帰りのひのらんがやってきた。
「おかえりぃひのらん……。」
「お疲れっすねぇ……wなんか飲みます?ジュース買ってきたっすよ!」
「あー、貰う。ありがとうね。」
グレープサイダーの缶を貰い、少し休憩するとしよう。
「らだおおはよー。夜勤?」
「なるせおはよ。そだよ、明け。」「おつかれ。」
成瀬にわしゃわしゃと頭を撫でられる。
存外優しく撫でるので痛くは無いが、髪が乱れるのでやめて頂きたい。
「らだお髪伸びた?」
「やっぱ分かる?前髪が視界に入んのよね。」
撫でる手を止め、顔を覗き込まれた。
細かいとこに気付くやつだ。流石ロスサントスの彼氏(w)。
「アタシの髪留め貸しましょうか?こう、パッチン!てするやつ!」
「あー前髪留めるか。いいねひのらん、貸して。」
「いや要らんて。後で切りいくよ。」
「大型来るかもしれんやん。」「……。」
絶対こいつ悪いこと考えてる。
にやにやしちゃってるもん。にやけ抑えられてないもん。
パタパタと小走りでひのらんが戻ってきた。
自分のデスクに仕舞っていたらしい。
「持ってきましたよー!」
ひのらんの手のひらには可愛らしいヘアクリップ。
1つはピンクのハートの飾りがついたもの、1つは猫の顔の飾りがデカデカとついている。
「どう考えても31のおっさんがつけていいやつじゃないだろ……。」
「いいから、ほららだおデコ出せ。」
「いーやーだー……。」
もう色々疲れてしまっていて、抵抗する気力が起きず。
大人しく成瀬に髪を触らせる。
「……よし、出来た。」
「ンハッw可愛いっすよらだちゃん先輩……w」
「写真撮って見してやろうか。」
「いい、いい、いらんいらん。こんなおっさんのデコられた姿とか見る気にもならん。」
カシャ
「……あ?おい撮ったな?」
「いーじゃん減るもんじゃねぇんだから。」
「減るよ。俺のプライドがすり減るよ。」
「え!アタシも撮りたい!」
「何がいいんだよ……。まあいいけどさ…。」
ただおじさんが前髪をクリップ(激カワ)で留めてるだけの写真がどんどん撮られていく。
「お前らこれSNSに流すなよ?」
「…………。」
「…………。」
「おい。」
写真を撮らせた時点で流出は抑えられないだろう。
溜息をつき、諦めて書類に向き直る。
まあ確かに視界に邪魔が無いのでとても快適だ。
「らだちゃん先輩次これ着けてください!」
「らだおこれも着けろ。」
「いや着けんが?俺はお前らの着せ替え人形じゃ無いんだよ。」
「いいじゃんちょっとくらい。」
「やだって。書類があるの。……まあ手伝ってくれたら少しはいいようにされてやるけど?」
「アタシ手伝います!らだちゃん先輩にカチューシャ着けて欲しい!」
「しょうがないから手伝ったるかあ。」
そんなに俺を飾り付けたいのかこいつら。
後日、カチューシャにヘアクリップ、なんならイヤリングまで着けた青井の写真がSNSにあがったことで、ギャング共は阿鼻叫喚。
署内ではタコスとペンギンを追いかけ回す青鬼が目撃されたとか。
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