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また、あの夏の向こうで。
第一章第一話 夏休みはまだ始まっていない
…夏の朝、七月二十一日、本格的な夏が始まろうとしている今日この頃、
「あっつ。」と、両手に扇風機を持ちながら、暑がっている芹梨(せりな)。
「その両手の扇風機はなんだよ」、私は芹梨の手を指さして小馬鹿にする。どう考えても涼しいだろ。万能道具に頼りすぎなぐらいだ。
「いやいや奥さん、コレ、生ぬるい風しか送られてこないんだよ。早く家帰って、クーラー浴びたいよぉ〜」
「ええ 」と私は顔をしかめる。
…私たち二人は、汗をびっしょりかきながら、放課後の教室で雑談を交わす。この時期は、夕方でもまだまだ蒸し暑い。湿気がえぐい。
これから、もっともっと暑くなるなんて信じられない。 いや、信じたくない。
「私からしたら羨ましいわっ!一個貸せぇ〜っ!」と、私が芹梨の扇風機に手をかける。芹梨はシュッと避けて、扇風機を抱き抱える。
「この命にかえても、この扇風機は守り抜く。」すかさず私は、
「扇風機にかける情熱あついな」と、ツッコミをいれる。
「草。ていうか、澪(れい)も扇風機買えばいいのに。」芹梨は私に見せつけるかのように、扇風機をわざとらしく振り回す。そんなに振り回したら風が来ないだろ、自分にっ……、そうツッコミたくなるが、ぐっと抑える。
「ぐぬっ、今月のお小遣い無くなったのよ
」
「そのくらいバイトしろや」芹梨がくしゃりと笑った。
あ、でも、と芹梨がつけたす。「ちなみに、お小遣い何円なの」
「五百円」と言った瞬間、芹梨が爆笑する。「小学生?」、と腹を抱えて笑う。確かに少ないが…くそっ。
私が、「バイトは面倒くさいんだもん、せっかくの休みが無くなるんじゃん」と頬をふくらませると、 芹梨が、「いやいや、バイト先の先輩と恋をする……みたいなこともあるわけじゃん?」と、目を輝かせながら語る。
「実体験は」
私がそう言うと、すかさずとも言うように、芹梨が「もちろん」と言う。
「え、マジ?」私が身を乗り出したとき、
「もちろんナッシング。」と、芹梨が人差し指を左右に揺らす。
「あると思ったか。純粋だなぁ」
「思ってないし」私が呆れたように笑ってみせる。
そのとき、芹梨が、「あ、ていうかさ!」
と話を切り替える。切り替えの早さ半端じゃないなあ…。
「最近、MBTI診断ってのが流行ってるんだって。」
ああ、あれか、と頭の中で思う。芹梨も知ってたんだ……。ちょっと嬉しくなって、心の中で舞い上がる。もちろん、表情筋は動かさない。
「…MBTI、なんだった?」
きらきらとした目で見つめてくる。芹梨のMBTIはなんだろう……とふと考える。
とりあえず、「私は、ISTP?ってやつだった。」そう口にすると、芹梨は「ドンッ」と机を叩く。「よっしゃっ!私、ENFPなんだ。相性ばっちしじゃん」ニコニコしながら、芹梨は嬉しそうに飛び跳ねた。
(主もENFPだお。みんなは?
今日低クオでごめん^^)