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ああ、第37話、読み終わりました。ニコラさんの登場、すごく良かったですね。ロルフの過去を知る人物が、優しくも厳しく「やりすぎ」と指摘するところに、長年の付き合いならではの温かさと真剣さを感じました。そして「強さより無理しないで」という言葉に、ロルフの内面が少しずつほぐれていく予感がして、じんと来ました。続きが気になります。
第36話
「じゃあ、また会えたらいいね」
「そんな寂しいこと言わないでください。ロルフさんだってもっと楽しみたいんじゃないのですか?」
そう言ってレーナが僕の肩を叩いた。
「そうだね」
「ロルフさん。もしも、記憶が邪魔しても僕は貫きます。周りの人と助け合いながら」
「ビタリは強いね。ふふっ」
「ロルフさんだって強い芯をもってますよ。待っている人がいるのなら、ここで立ち話はしないほうがいいと思います」
……そうだよね。
僕は笑顔で頷いてから馬に跨った。
「じゃあ、またね」
「「うん!」」
二人で仲良く返事をして見送られた。
二日後。
野営をしながら南東へ進んで二日するとセルフに着いた。夕方にも関わらずいつもと変わらずの活気で、息を飲んだ。
錬金術やガラス工芸、布物に食べ物の露店も豊富にあって、お客も沢山入っている。あの時から一つも変わらない。
僕が昔、ハマっていた焼肉屋も健在で、変わらないっていいなと思った。
「一つお願いします」
僕は焼肉屋の人に向かって指を一本立てた。
「はいよっ……ん? お前さんって……」
「久しぶりですね。色々とあって顔を出せていませんでしたね」
「ユラガ族だったのか?」
「いえ。普通の騎士です」
僕は微笑んで『深掘りは辞めて』と圧をかけた。
美味しい……やっぱりこれが十八番だな……
僕はお肉を頬張って幸せそうに食べた。
……今さらだけど、模範とは……
でも、うん。僕、カウントされて無いみたいだったから、聖騎士降格かな?
まぁ、無断欠席が十五年も続いたらね……
僕はお肉を食べきると昔、ロザンナと一緒に練習をした所へ向かった。
やっぱり、懐かしいな……
僕は唇を噛んだ。
「……あの……ここで何を……」
そう言う女性の声が聞こえた。
後を向くと二十代前半くらいのスラリとした女性が立っていた。白い肌はとてもロザンナとにていた。ブロンド髪も緑の瞳も綺麗で、華やかだった。
手には弓を持っててその弓が魔道具という事が直ぐに分かった。
「昔、大切な仲間に僕はここで鍛えて貰ったんです。懐かしくて……」
「それは……ここで、やる人なんて……」
……ん? 見たことあるな……誰だっけ…
僕は頭をフル回転させた。
……あ! ニコラ!
ニコラさんはロザンナの姉だ。この国で一番を争う弓使いで狙った獲物は逃さないで射る。
「……ん? それより、貴方って!」
「会ったのは二十年前ですよね。ニコラさん。久しぶりです」
「ロザンナと一緒に帰らぬ人になったというのは……」
「勝手に殺さないでください。一応、鉱山の中で十五年寝ていましたから」
僕は首を横に振りながらため息交じりに言った。
……まぁ、そう思われても仕方無いけど。
「色々とまだ分かってないけど……あ、姫様はどうなされているの?」
「黒いモヤの中で戦っています。僕は生物とか、化学とかは苦手だから何も分からないんですけど、大災厄の元というか……そいつを倒さない限り……」
魔獣は消えない。それにまた、大暴風みたいなが……
命を奪っていくんだから……
「でも、なんでここに?」
「このまま行っても、駄目なんです。気持ちだけが焦ったって、強くなかったら何も守れない……あ、ごめんなさい……僕の問題なのに……」
僕は当たってた事に気づいて俯いた。
「だから、鍛錬して欲しいって事ね。大体わかるよ。だけど、話を聞かせて貰わないとね」
りう。
39
#感動
こはる
917
上野文
6,439
#探偵
橘靖竜
5,392
そう言って笑顔の圧をかけてきた。
……ニコラさんの圧って強いんだよな……いつも負けちゃうからいつも、諦めるんだよね。
「……という事ですけど」
「という事ですけど、じゃないよ。もう、本当に会えないのかと思っちゃったじゃん」
「あはは……まぁ、ニコラさんも元気そうで良かったです」
「もう……私、五十超えたよ。子供はいないけど……」
「ふっ……変わりませんね」
僕は思わず吹き出してしまった。僕が三つか四つになった頃からの付き合いだからもう気にしないけど。
その頃も同じように見えた。
……ユラガ族って、ずっと若いんだもん。
「まだ、戻れないというか、戻らないというか、兎に角、勝てないと……」
「ロルフは、戦ったの? 戦う前に忠誠心が勝って、姫様に一つも傷をつけたくなくて、そうじゃない? 強さじゃなくない?」
……それは……そう。
「強くじゃなくなくもないかもしれないけど、私は、ロルフにね……無理だけはしてほしくない。だって前だって疲労困憊で魔物狩りに行って道中で倒れたり、雨に濡れて熱を出したり……そもそもなんだよ」
……倒れては姫様を守れない、か……付属護衛騎士になってから気をつけてはいたんだけど、付属護衛騎士になってからは会ってないもんな……
でも、合ってる。そもそもが無い。
強くても、途中で何かあったら守れない。
……家族を、両親を守れなかったからこんなになっちゃったのかな……
「だから、ロルフはやりすぎ。親を失ってからずっとそう。流れる噂も……強く無かったから守れなかったんじゃない。勿論、強くなかったら守れない。だけど、無闇矢鱈になってやるのは違うと思う」
「……確かに、ニコラさんの言う通りです。僕は、察しが悪いし、それは自分に対しても……今さら気がつきました」
その後、僕は二人で他愛ない会話を交わしてから宿屋で一晩過ごした。