テラーノベル
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「私には、冗談を言っている暇はないの」
私がドアの前でそう言うと、早川希輔はゆっくりと手でソファーを指した。
「一ノ瀬邸、調べた」
リュックを先にソファーへ置いた私は、彼の言葉に顔を上げた。
「一ノ瀬菊名義だな」
「そうよ。それを売るのだから問題ないでしょ?」
コンコンコン…
「失礼します」
先ほどの受付さんが、お茶を持って来てくれたので
「ありがとうございます」
とお辞儀をしてから座る。
「空き家か?現状は?」
「……」
「査定に必要な情報だ」
「買ってくれるの?」
「どうしてそう急ぐ?」
「……」
「まだ取引前。しかも、そのネックレスを売るというような簡単な話でもない」
不用品売買のフリマでもないし、固定資産だと言いたいのだろう。
「反社や犯罪者との取引もできない」
「絶対に違うと誓えます」
「一ノ瀬菊本人確認書類は?」
そう言われて、私はリュックを開けると免許証を出し、その横に登記簿謄本を並べて置いた。
「本人な…23歳か」
「23でも、なんでも売れるでしょ?」
「金がないわけでもなく、どうしてそう急ぐ?うちも億単位を動かすのにリスクは負いたくない」
やはり彼は慎重だった。
簡単に、買います、とは言ってくれない。
仕事というのはそういうものなのだろう。
「…父が死んで、私の人生は急に重くなった。だから軽くする。それだけ」
コメント
3件

まぁさん。明けましておめでとうございます(*´∀`*)今年も楽しみにしています✨あんな親族達の物になるぐらいなら還したい。お父様や菊ちゃんの想いが歪められたりしませんように
希輔さん側としてはそうなるよね。 億単位のお金が動くし、一ノ瀬菊本人とわかったとしても慎重にならざるをお得ない。 菊ちゃん他あたる? でもただ早く売却したいのが見え見えだからいいようにやられて騙される可能性もあると思うよ。 もう少しなぜかを話をしてもいいんじゃなぁい?