テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「東京へ来て売ることも、家を探すこともなくホテルのスイートルーム滞在なことも【それだけ】と済ませるには不十分」
「言い値でいいわ」
不動産会社を探す時間は省けたと思いたい。
寄付先を選ぶ作業をしたい。
じっと私を見ていた彼は
「査定に行く」
と短く告げた。
「ありがとう。お願いします」
「いつ行く?」
「えっ⁉」
「行かないのか?」
「私…?」
聞き直した私を不思議そうに見つめてから、早川さんは
「帰りたくないのか?」
と聞いた。
「そうね。こっちで急ぎの用事があるの。鍵を渡すから査定に行ってください」
そう言って躊躇うことなく、私は彼の前に鍵を置く。
「急ぎの用事とは?」
「……この取引に関係ある?」
「直接的にはない。だが、連絡の取れる時間帯などは知りたい。例えば、専門学校へ行くとか考えられるだろう?ここに連絡先の番号を書いて」
私は用事の質問はスルーして電話番号を書き始め、数字をみっつ書いて手を止めた。
――東京に着いて買ったスマホの番号を覚えていない
ガサガサとスマホをリュックから出して、画面を見ながら電話番号を書いた私に
「いろいろと…心配しかないな」
早川さんは同情するかのように言った。
「ご心配なく、ちゃんと通じる番号ですっ!」
コメント
4件

査定に行ったら親戚が誰かしらいるよね😅💦
ほんとに いろいろと…心配しかないな なの〜! 希輔さん査定に行ってあの木野山親子と叔父と顔を合わせるだろうなぁ。 菊ちゃん言っておかなくていいの? そこまでする必要ないと思ってると思うけど、体のこととかも考えると…1人だし、ぁーん難しい😥 あ…希輔さん病気のこと耳にする可能性あるね。それからでもいいから力になってあげて欲しいね。

早川さん、菊ちゃんの強い味方になってくれたらいいなぁ。いくらしっかりしていても一人で闘うのは荷が重すぎる