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Elu
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夏祭り会場に足を踏み入れた瞬間、にぎやかな喧騒が一気に耳へ流れ込んできた。
提灯のやわらかな灯りが辺りをを赤く染めている。
屋台から漂う甘い綿あめの香りや香ばしい焼きそばの匂いが風に乗って鼻をくすぐる。
色とりどりの浴衣が人波の中を揺れ、どこからか聞こえる祭囃子が俺の胸を高鳴らせた。
花「すごい賑わってるねー」
印「すごい人の数だな!」
朽「可愛い女の子いないかな〜」
並「紫苑☺️(圧)」
朽「は、は〜い汗」
百「あっちにかき氷あるけど、お前ら食べるか?」
朽「食べる〜。大我買ってきて〜」
百「何味がいいんだ?」
朽「ん〜、ソーダ!」
百「他の奴はいいのか?」
猫「俺はいらない」
印「大丈夫だ!」
無「遠慮しておく」
淀「いらねぇ」
並「じゃあ僕、メロンで」
花「俺いちご〜」
皇「俺もいちご」
百「一ノ瀬はどうする?」
四「俺は・・・いいや!いらない」
並「お金は後で渡すね」
百「あぁ」
夏祭りの喧騒の中、俺達は花火を見るために
河川敷に来た。
今は大我先輩がかき氷を買いに行ったまま戻ってくるのを待っているところだ。
月明かりを映した水面は静かに揺れている。
昼間の暑さが嘘かのように、潮風はひんやりと肌をかすめ、少し肌寒いくらいだ。
見渡す限りの闇の中で、海だけが淡い銀色に息づいている。
水平線は夜空へと溶け込み、その境界さえ曖昧だった。
祭りの喧騒が遠く背後へ置き去りになり、この場所だけが時間の流れから切り離されたように静かだった。
耳を澄ませば聞こえるのは波の音と後ろで賑わう祭りのささやきだけ。
そんな音に耳を澄ませ、四季は静かに揺れる
広大な海を見つめていた。
その横顔は月明かりに淡く照らされ、どこか遠くを見つめる瞳には、言葉にならない想いが滲んでいるようだった。
微かに伏せられたまつげが影を落とし、結ばれた唇は何かを飲み込むように動かない。
その表情は悲しそうというより、どうしようもない切なさを抱えているように感じる。
すぐ隣にいるはずなのに、手を伸ばいても届かないほど遠く感じられる。
潮風が前髪を揺らすたび、その横顔は今にも夜の闇へ溶けてしまいそうで、思わず名前を呼びたくなった。
花「四季君」
四「ん?どうしたん?」
花「えっあ、えっと・・・汗」
四「?」
花「そのヘッドフォン、大切な物って言ってたけど、誰かからのプレゼント?」
四「あぁ、うん。そうだよ・・・」
四季はふっと視線を落とした。
その表情には、笑顔でも涙でもない、胸の奥にしまい込んだ想いが静かに滲んでいた。
どこか寂しげに細められた瞳を見た瞬間、胸の奥がきゅっと締めつけられた。
月明かりに照らされた彼の表情は、ひどく儚かった。
その顔は、失くしたものを思い出しているようでもあり、届かない願いを見つめているようでもあった。
そんな四季の表情を見た花魁坂は話の話題を間違えたと思い、他の話題を振ろうとした。
だが、それよりも先に口を開いたのは─────
朽「誰から貰ったんだよ?」
花(紫苑のバカ〜汗)
淀(こいつまじか・・・)
並(呆れ)
朽「え、何この空気」
花「いや、別に・・・」
朽「え?聞いちゃダメだった感じ?」
並「はぁ・・・(呆れ)」
無「・・・」
何気ない質問だったはずなのに、その場の温度だけがすっと下がったようだ。
四季以外の人達は笑うべきか謝るべきか分からず、口元だけがぎこちなく動く。
そんな中四季は首にかけているヘッドフォンを取り、口を開いた。
四「これは・・・」
誰も口を開かないまま、視線だけが四季へ降り注ぐ。
四「俺にとって世界で一番大切だった人達から貰った物なんだ・・・」
四季はヘッドフォンに視線を落とす。
四季以外もヘッドフォンに目を向ける。
四季は手の中にあるヘッドフォンを懐かしむように目を細めた。
その姿はとても愛おしくて・・・
痛々しかった・・・
四季はハッとして、自分の口元を手で押さえた。
やべっ、喋りすぎた。
世界一とか言われたらみんな引くよな・・・
四「お、俺大我先輩場所分かんないと思うから迎えに行ってくるわ!」
猫「・・・(世界で一番大切 “だった“ 人・・・?)」
四「そろそろ花火始まるな✨」
花「そうだね笑」
淀「はしゃぎすぎだろ」
四「だって花火って綺麗じゃん!」
皇「ハッ笑 ガキみたいな理由だな笑」
四「何だと皇后崎💢!」
並「まぁまぁ汗 大我かき氷ありがとね☺️」
百「おう!」
印「花火が始まるみたいだぞ!」
四「まじ⁉︎✨」
辺りは一斉に静まり返った。
その静寂を破る一発の音が夜に響き、漆黒の空へ鮮やかな花が開く。
それまで騒いでいた四季も別人のように喋るのをやめて、花火だけをじっと見ている。
次から次へと花火が夜空に咲き誇る。
幾重もの光が夜空を彩り、大輪の花が次々と咲いては散っていった。
花火の光が隣にいる四季の横顔を何度も照らしては消えていく。
みんなの視線は花火ではなく、四季に釘付けになる。
触れば壊れてしましそうな顔なのに、なぜか全員が四季から目を離せなかった。
最後の閃光が闇へ吸い込まれ、残されたのは煙の匂いと静かな余韻だけになった時、
四季はやっと言葉を取り戻した。
四「すげぇ」
その横顔があまりにも儚く見えて、花魁坂は「帰ろうと」と言おうとしたが、その言葉は喉の奥で消えてしまった。
暗い夜空に溶けてしまいそうな横顔を見つめていると、胸の奥がわずかに痛んだ。
もう少しこの横顔を見ていたい。
そんな思いを飲み込み、花魁坂は小さく呟いた
無「・・・」
花「・・・帰ろっか・・・」
四「うん・・・」
もう花火は終わったのに、その瞬間を終わらせたくないように、皆ゆっくりと歩いていた。
四季はそんなみんなに視線を向けたまま、後ろ歩きで距離を空けていく。
四「花火めっちゃ綺麗だったな!」
並「そうだね☺️」
皇「あぁ」
笑顔でそう言うみんなの表情を見た四季は、前を向き、弾むように大股で歩く。
あぁ
楽しかったなぁ
花火もめちゃくちゃ綺麗だったし
あぁ
帰りたくないなぁ
まだこの人達と居たい
でもそんなわがままを言ったら罰が当たる
あの人達に不幸が起きちまう
そんなのは絶対に嫌だから
潔く諦める
でもやっぱりもっと
この人達と色んなことしたかったなぁ
四季は目を閉じたまま、静かにそんなことを考えていた。
だからだろう。
横から滑り込むように近づいてきた、ながら自転車に、四季はまるで気づいていなかった。
また、四季を少し離れたところから見ていた他の者も自転車には気付いていなかった。
ただ一人を除いて─────
無「・・・」
チリンチリン🚲
無「‼︎ 四季❗️」
無陀野が道路へ踏み出した。迷いのない一歩だった。
次の瞬間、無陀野は四季の細く壊れてしましそうな腕を自分の方へ思いっきり引いた。
そのせいで道路真ん中には無陀野の上に四季が乗っている形になった。
四季は突然の出来事に理解が追いついていないようだった。
花「二人とも大丈夫⁉︎」
淀「チッあいつ、謝りもせず行ったぞ」
並「最低ですね」
猫「怪我はないですか?」
無「俺は大丈夫だ。四季、怪我はないか?」
安堵よりも先に恐怖が押し寄せたのだろう。
四季は青ざめたまま震える目で無陀野を見つめていた。
四「む、無陀先・・・ごめん、俺のせいで、本当にごめん・・・(震)」
今にも泣きそうな顔で、手をかすかに震わせながら、四季は何度も「ごめん」と繰り返した。
必死に涙をこらえる姿が痛々しくて、見ているこちらまで苦しくなる。
震える手と白く青ざめた表情が、何より雄弁に四季の後悔を語っていた。
その姿があまりにも切なくて、胸の奥が鈍く痛んだ。
そんな顔をさせたかったわけじゃない。
そう思うと、無陀野は自然と手が伸びていた。
無「四季、俺は大丈夫だ。だから安心しろ」
そんな言葉も今の四季にはもう届くことはなかった。
ごめんなさい・・・
ごめんなさい・・・
俺のせいで
俺のせいで・・・っ
あの時
俺が
「もう少し」なんて
言ったから
罰が当たったんだ・・・
分かってたのに
俺と一緒にいたらこの人達が危ない目に遭うって
分かってたのに
幸せを求めてしまったから
危うく無陀先が怪我するところだった
俺のせいで
俺のせいで
また
失うところだった
花「四季君大丈夫?」
無「四季、俺は大丈夫だ。どこも怪我なんてしていない」
朽「そうだぜ、四季。無陀野先輩は運動神経
めちゃくちゃいいからな」
四「・・・でも・・・最悪、無陀先死んでたかもしれない・・・」
並「いや、そんなことは・・・」
淀「大袈裟だろ」
四「大袈裟なんかじゃ・・・ない・・・」
猫「・・・」
印「少年・・・」
そうだよ
本当に最悪、無陀先は死んでた
俺なんかと一緒にいたから・・・
猫「おい、四季。お前がそんなになってんのは、中学のことが関係してんのか?」
その問いがされた瞬間、四季から表情が奪われた。
四「・・・っ」
花「え?何で?」
猫「いや、なんとなく。やけに中学の話すると四季が苦しそうな顔するから・・・」
嫌だ
嫌だ
この人達には知られたくない
知られたら
もう一緒に居られなくなる
嫌われる
・・・・・・
いや、
それでいいじゃん
俺と一緒にいなければ
この人達は危ない目に遭わなくて済む
俺なんかとは居ない方がいい
百「四季?」
四「・・・」
四季は俯いたまま、立ち上がった。
四「みんな、もう俺には関わらないで・・・」
皇「は?いきなり何言ってんだ、お前」
四「俺といたらみんな、危ない目に遭っちまうから・・・」
淀「アぁ?さっきのは10-0であいつが悪いだろ」
四「違う・・・俺のせいだ。俺となんかといたから・・・」
朽「んな訳ねぇだろ」
無「四季」
四「ごめん、無陀先・・・本当にごめん・・・」
四季は俯いたまま、静かに背を向けて歩き出した 。
遠ざかる背中には、言葉にできない寂しさが滲んでいた。
追いかけなきゃいけない。
分かっているのに、全員が小さなその背中を見送ることしか出来なかった。
皆さん、こんにちは!
★HOSI★です!
第六話「花火の終わりに咲く悲劇」をご視聴いただきありがとうございます!
今回はだいぶ話が長くなってしまいました汗
読みにくくなってしまってすみません。
次回も頑張って書くので、ぜひご覧ください!
→次回
「遠くなった距離」
コメント
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チャリ乗ってたヤツを!逆にチャリで轢き〇したいア゙ア゙ア゙ア゙ア゙(°Д°)でも、私チャリ乗れない…(°ロ°)四季くんだいぶ闇が深いですね…何があったのかめっちゃ気になります!続き楽しみです!
自転車のやつタヒねばいいのにね だったってのが気になるわ… 続き待ってます!!