テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「私って何の種族だと思う?」双子の竜人少女、姉のアズールと妹のイグニスが来てから早くも三ヶ月。三ヶ月前の私は自分の生活がこんなにも明るく、楽しい物になるなんて想像もしていなかったのに……。 そう、全ては2人に会う前の暑い初夏の日から始まったのだ。
三ヶ月前 △△町の脇道 ───
ミーンミンミンとまるで蝉たちが夏だ夏だと笑っているように元気いっぱいの声が私の耳に届いて来る。ま、私からしたら蝉のミンミン言う声だなんて迷惑極まりないのだけれどね。
そんな事を思いながら、私は初夏の蒸し暑い中、脇道をどんどん進んで行く。私の家は山脈の森の奥の奥の奥。この1番近い町に来ようとしたって1週間以上はかかる。山のふもとの村に行くだけで余裕で3日は超えてしまうのだ。まったく…もう少し便利な所にあったら良かったもののそんなに人生は簡単ではないのだ。だから、せっかく来たんだしと観光している。
「それにしても…都会いや、町の中は暑いな。 もし、もしもなんだけど私がアイスだったら溶けちゃうくらいだよ。」
額をつたっていく汗をハンカチで拭き取る。流石に休憩がしたくなった頃に運が良いのかアイスクリーム屋さんが見えて来た。多分、神様は私の頑張りを見ているのだろう。
「すみません、抹茶アイス一つください。」
「抹茶アイス一つですね? 120円になります。」
120円か…ずっと森に籠りっきりだった私はその値段がアイス一つの相場よりも高いのか、安いのか分からなかった。にこやかに笑う優しげな女性の店員さんは9歳の私を見て、お金は持っているかと心配してくれた。そんな中でもお財布を出して120円をはらう。店員はほっとしたように胸を撫で下ろした。 確かに平日にも関わらずに交通量の多い大通りの脇道を9歳の子供が親も連れずに手ぶらで歩いていたら不自然だ。 なんで手ぶらで1週間旅が出来るかって?秘密に決まってる。
そんな事を考えている内に店員さんがおまけで抹茶アイスの上に白玉をのせてくれた。内緒だと付け加えて。 私はその親切さに太陽のように明るい笑顔で答えておきながら白玉付きの抹茶アイスを受け取る。店員は私の笑顔を見てとろけるような笑みを見せながら見送ってくれた。なぜ、あんな顔になったのかは分からないが、何となくまた来ようと思えた。
「ありがとうございます。また来ますね♪」
「ふふっ、またのご来店をお待ちしています。」
コメント
1件
読み終わりました! 「私って何の種族だと思う?」という双子の竜人少女の台詞から始まるプロローグ、惹きつけられますね。そこから三ヶ月前に戻って、9歳の主人公がひとりで町を訪れ、アイス屋さんで抹茶アイスに白玉をサービスしてもらう……この何気ない日常の温かさが、これから始まる物語との対比を予感させて、とても良い導入だと思いました。特に、店員さんが「とろけるような笑み」を見せる理由が主人公には分からない、という描写に、何か特別な雰囲気を感じます。続きが気になります!