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桃源暗鬼

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桃源暗鬼

18 - 第18話

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2024年08月15日

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校舎を出た無陀野と生徒達は、学校から約12キロ離れた場所にある”神羅の森”へとやって来た。

森を囲むように立っている金網状の柵には、侵入禁止と書かれた板やKEEP OUTのテープが貼られ、ご丁寧に鎖まで巻きつけてある。

そんないかにも入ってはいけなそうな森で、鬼による鬼ごっこが始まろとしていた。


第5話 成し遂げたいなら、勝ち続けろ


「ここは島の南にある”神羅の森”。学校まで直線で12キロ弱だ。鬼ごっこのルール説明をする前に、お前らに伝えておくことがある。…鳴海」

「! はぁい。」


突然名前を呼ばれ手招きされた鳴海は、驚きながらも小走りで無陀野の傍へ駆け寄る。

そうして隣に来た鳴海の肩に手を置き、無陀野は鳴海について話し始めた。


「こいつは現役の戦闘部隊のエースだ。今は訳あってリハビリ中でな。今回は、リハビリも兼ねて鳴海が鬼だ。俺はアシスタントとして動く。そこを頭に入れておけ。鳴海も、いいな?」

「いいの?」

「半壊しそうになったら止めるストッパー役だ」

「やったー!」

「そんなにやべぇの?」

「学生時代にテンションぶち上がっちゃって…森を能力で半壊させちゃったんだ!あれはハメを外し過ぎた!」


頬に手を添えきゃーっと恥ずかしそうにする鳴海に生徒はそうはならんやろ…とドン引きしていた。

無陀野はそれを無視して鬼ごっこの説明に入るのだった。


「1時間以内に、俺達に捕まらず学校へ戻れ。今から俺達は敵だ。」

「普通だな。」

「1つルールがある。ゴールするには、これが必要だ。」


そう言って無陀野はポケットからボールを2つ取り出すと鳴海に手渡した。鳴海はそれを森の中へ勢いよく投げ入れた。

遥か遠くへ飛んでいくそれを見ながら、”ボールを持ってないとゴールしても無効だ”と最後に付け加えた。

そんなに難しいルールではないのだが、一ノ瀬は途端に頭を抱え始める。


「(ヤバい…ルール覚えられるか不安だ…)」

「つまり先生から逃げつつ、同級生とも競うってことですね!」

「そう。ちなみに言っとくが…ゴールできなかった奴は”即退学”だ…1。」

「は!?退学!?」

「最低3人は退学になる…2。」

「んなすぐ退学ってわけわかんねぇよ!」

「わかれ。ここが普通の学校と思ってるなら1回死ぬか?この鬼ごっこは突発的なメンバーでも連携をとるための訓練だ。判断力・統率力・決断力を養う。こうやって戦いを学び、卒業後お前らはそれぞれの部隊に入り、最前線で桃太郎機関と戦うことになる。無論、命懸けだ。こんな所で躓く奴は消えてもらう。」


今日入学した生徒達に対しても、無陀野は容赦なく厳しい言葉を使う。

それほど鬼と桃太郎の戦争は激しく厳しいものであり、一度戦場に出れば常に死を覚悟しなければいけないのだ。

戦闘部隊エースの鳴海はそれを嫌という程知っておりそれなりの覚悟を持って仕事をしてきた。

前線に出れば五体満足で帰って来れないのも重々承知の上で前線でタメを張っている。

ルール説明も終わり、あとは組み分けをしてスタートを待つのみとなった。

いつもの筋トレをしながら、無陀野は最後に自身のハンデについて触れる。


「俺達は血を使わないが、お前らは好きにしろ。ただお前らが暴走したら、俺も鳴海も血を使う…1。」

「あんた達2人を殺しちまったら?」

「(いるんだよね〜こういう立場を弁えてない子。まあ痛い目をみれば大人しくなるか)」

「血ぃ使わない舐めプして向かってくるならそーなるぞ?」

「殺す…か。殺す気で構わない。もし殺せたら即卒業。希望の部隊に所属させてやる。」



その一言に、一ノ瀬以外の面々は色めき立つ。皆それぞれ目的があり、それに少しでも早く近づこうと思っているのだ。

鳴海の仕事は、そうやって前線に出て行く仲間を背中を押し引っ張っていくこと。

どの部隊に所属しても、戦っていることに変わりはない。


「お前らも目的があってここにいるんだもんな。成し遂げたいなら、勝ち続けろ。これから何回もお前らに壁をぶつける。乗り越えられない奴は散るだけだ。覚悟はできてるみたいだな、少年少女。」

「…」

「1人違うみたいだが…やめるか?」

「…ふざけんな!男が本気マジでぶつかってくるなら、こっちも本気マジでやるのが筋だろ…!」

「それじゃあ組み合わせを発表する。1組目は…」


そうして発表された組み合わせはこうだ。

1組目:屏風ヶ浦 帆稀、一ノ瀬 四季、皇后崎 迅

2組目:矢颪 碇、遊摺部 従児

3組目:手術岾 ロクロ、漣 水鶏

鳴海はここで初めて、生徒全員の名前を知ることができた。普通なら一番最初にやるはずの自己紹介すらしていないことに、改めてここが普通の学校じゃないことを痛感するのだった。

組が分かれれば、普通はそのメンバー同士で少し会話をするだろう。だがそれをしているのは、1組目の一ノ瀬と屏風ヶ浦だけだった。

2人が何だか楽しそうなやり取りをしている一方で、他の面々はいたって静かだ。そんな中、無陀野が鳴海に声をかけてくる。


「満足させるのは無理そうだな」

「相手が増えるだけでも結構難易度上がるよ?」

「だとしてもだ。」

「ふぅん。年頃の子ってもっとこう…ワイワイしてるものじゃないの?なんか静かだし」

「そういう奴らもいるんだ。」

「俺は友達全然いないからな〜。初めての友達が無人くんだから普通ってのは分かんないや」


鳴海は生徒達を少し寂しそうな目で見つめた。

中学すら満足に行けておらず友達は全然いなかった鳴海。羅刹に来て初めて出来た友達が無陀野たちなのだ



「お前らが入った15分後に俺が入る。鳴海!壊すなよ」

「任せちゃって〜☆」

「それではスタート!」


その声を合図に、1組目の鬼ごっこが始まった。

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