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約束のスノードーム

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約束のスノードーム

18 - 第17話 欠片をあつめて

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2025年03月03日

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〈radao side〉


rd 「おはようございまーす」



こうして病院に通い始めてからしばらくして、今日は特に重要な日。



医師 「それじゃあさっそくだけどやっていこうか。ある程度の必要な知識はこの前まとめておいたのを送っておいたけど覚えてきてる?」


rd 「はい、もちろん。 詳細を書いてくださっていただいたので問題ないです」


医師 「さすがだね、今日は大体夕方くらいに終わる予定だよ。君の覚えの早さだともしかしたらお昼くらいには終わるかもしれないね」


rd 「頑張ります」


医師 「それじゃあまずは、、、」






これが終わればやっと、、、

今まで研究してきた事がやっと形になる。

そう思うと手元が震えてきた。これが責任によるものなのか明るい未来への期待なのかはわからないが、彼のことを想い続けての安堵が混じっているのは確かだった。


決して今行っていることはそんな抽象的で美しく表せるようなものではないけれど、散らばっていた欠片を噛み合わせるようにして俺の手が進むたび宝石の高い音色を奏でるようだった。


とても脆くて、繊細で、儚い。この手で触れるにはこちらが怯むようなほど神秘なもの


目の前にする模型を彼と重ねてそんな風に幻想を見ているあたり俺はもう見送る立場に留まることはできないようだった。





rd 「、、、ふぅ。 」


医師 「お疲れ様、さすがらっだぁ君。本当にお昼前に終わらせてしまうだなんて思わなかったよ」


rd 「先生の教え方が上手いんすよ」


医師 「そんなことないよ。らっだぁ君の方がはるかに早くて正確だ。不明な点とかはあるかな?」


rd 「いえ、特には。」


医師 「そしたらお昼休憩していいよ」


rd 「ありがとうございます」



ひとまずは目標が達成できたと安堵した。

院内に用意された食事スペースに腰かけては深く呼吸をする。



rd 「はあぁーーーー」



今頃ぺいんともお昼を食べてそろそろ昼寝し始めるところだろうか、、

そういえば、朝ぺいんとから何かを預かっているのを思い出した。

そそくさと荷物を取りに行っては紙袋の中身を覗く。そこには彼の日記帳が入っていた。体調を崩してから日記を書く姿はあまり目にしていなかったが、その紙袋の中には使い古されたように少し色褪せた本が2冊あった


いつもは頑なに嫌がって見せてくれないのにどういうことだろう


以前日記をのぞいてしまった時から全くと言っていいほど日記を見せてくれた試しはないのでかなりの月日分が溜まっている。

俺は食事を摂りながらひとつ一つをなぞるように見ていく。日記は毎日書いているわけではないようだけれど、それでも一日一日を味わうように書いてあるのが伝わってきた。


…………………………………………………*

〈10月 5日〉


昨夜少し早めの誕生日と、らっだぁがスノードームをプレゼントしてくれた。

俺たちの住んでいる家にキラキラと舞い散る銀色の宝石の粒が粉雪のように優しく降り注ぐ。身を寄せる俺たちを見て寒そうだけど暖かそうな、そんな小学生みたいな感想しか出ないくらい俺は雪に憧れていたんだ。

都会に住んでた頃は雪なんてあまり降らないし、降ったとしてもみんなが踏み潰して硬くて汚い雪しか見た事がないから、いつかふわふわで真っ白な雪を目にしたいと夢見ていたんだ。

でも俺はそれまでに生きているかわからないからと自分で諦めていたのだけれど、らっだぁは諦めるどころか俺といつまでもそばに居たいと言ってくれた。


ふーん、やっぱ俺あいつのこと好きだわ。


…………………………………………………*


真面目に書くところは真面目に書くけれどふざけるところはふざけるのが彼らしくて笑みが溢れた。


…………………………………………………*

〈10月 8日〉


今日は待ちに待った誕生日だー!

と喜んでいた中学生時代とは異なり、らっだぁとしっぽり飲みをしながら誕生日を迎えた。

それがあまりにも青臭さが抜けてて完全なる大人になった気がして可笑しくなっていつもよりテンションはすこし高まっていた。

この和室に合うようにとずいぶん前に買ったこの赤い盃。酔いのまわった俺はふざけてらっだぁに花魁風に盃を交わそうと話を始めると、彼もノリに乗って殿方を演じてきた。

二人でふざけ合いながらお酒を口にすると、急に俺を押し倒してきて、花魁が盃を交わすってどういう意味か知ってるの?と聞いてくる。

真面目にやると恥ずかしいから花魁風にやったのにこいつはほんとに、、、


そのあとは花魁になってと言われて恥ずかしい思いをしたのを俺は許してないからな。


…………………………………………………*


いや、ぺいんともノリノリだったくせに。


なんて彼に伝えたら顔を真っ赤にしながら言い訳を並べるんだろうなと想像できてこれまた面白い。


ぺいんとの書く日記からはその時の 音、感触、明暗、味、そして香りがした。彼の感じていたことが俺の記憶に溶け込んできて、それがより俺たちを繋ぎ止めている気がして心地よかった。


二冊目に手に取ったとき俺の携帯が鳴った。 俺は日記に釘付けで片手ながらで電話に出た。



医師 「らっだぁ君、そろそろ確認作業して帰r、、」

ーーーガタガタッ


医師 「らっだぁ君!?」






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