はぁっ、はぁ、はぁっ、、、
肺が痛い。
口から入ってくる空気が棘みたいに喉と肺を突き刺す。足先なんて氷みたいで今にも砕けそうだ。涙が頬を伝って耳にかかるけれどその涙が目が乾いたからだと言い訳をつけるには無理のある量だった。
はぁっ、はっ、、ゲホッゲホ、
何で気がつかなっかったんだよ!
行ってきなっていうぺいんとの顔が寂しそうだったのをっ、 日記の入った紙袋を渡す時の切なそうな目をっ
どうしてっ、、
どうして、あの日記を見てから理解するんだよ!
…………………………………………………*
プルルルルル、
rd 「あ、もしもし?」
ーーー生きたい。
rd 「きょーさん?」
ーーーもっとらっだぁと生きたい。
rd 「もしもーし?何で黙ってんの」
ーーー二人で雪を眺めたい。
rd 「え、ばど?」
ーーーでも、
rd 「、、、あ、ぺいんとご飯食べれた?」
ーーーもう、
ky 「落ち着いて聞いてな。」
rd 「え、ちょっ、やめてよ。そういうの」
ky 「ぺんちゃんが、、、」
ガタガタッ
医師 「らっだぁ君!?」
ーーーだめかもしれない。
…………………………………………………*
××月××日
生きたい。
もっとらっだぁと生きたい。
二人で雪を眺めたい。
でもごめんね、俺もうだめかもしれない。
わかるんだ。熱が出ると体が縛り付けられてるみたいに動かなくなって、重力にすら押し潰されちゃうくらいに弱っていって、、、
そういう日には決まって夢を見るんだ。らっだぁがどこか遠くに歩いてっちゃうの。
俺は追いかけるんだけど追いつけなくて、走っても走っても距離はどんどん離れちゃって。
最近は筋力も落ちて、体も痛いし、息することもたまに辛いんだ。
大大大大、大大大大、大好きだよ
ありがとう
…………………………………………………*
ガシャンッ、ドタドタッ、
rd 「はぁっはぁっ、」ゲホッゲホ、、オ”ェッ、
ky 「ちょっ、おまえ、落ち着けっ」
rd 「ぺいんとは」ハァハァッ、
ky 「今はまだ弱いけど心音はある」
rd 「2分で整える。それまで目離さないでおいて」
静まった和室に微かにきこえる呼吸音。俺はそっと彼のそばにすわってオレンジ色の髪に触れる。
pn 「、、らっだぁ?」
rd 「ごめん遅くなった。」
pn 「外寒かったでしょ、手が冷たい」
そう言いながら今にも消えそうな蝋燭のように微笑む姿を見て涙をグッと堪えた。
きょーさんには二人にしてもらうように合図を送って、いつものようにふたりで外を眺めた。
rd 「あ、見てぺいんと。雪だよ」
pn 「ほんとだ、さむいねぇ」
pn 「ふたりで見れたね、やった。」
pn 「俺、ずっとこの景色が見たかったんだよね。」
rd 「きれい?」
pn 「うん、すっごく」
雪を見つめる瞳がつやつやと潤んでいるのがみえた。今まで何かを悟っているような目をしていたのに、見えた瞳が純粋であの日見つけた太陽のように感じて眼を離したくない
rd 「俺と雪どっちが好き?」
pn 「えー、なにその質問。」
pn 「、、、らっだぁかな」
rd 「珍しく素直じゃん」
pn 「うるさ、笑」
虫たちは深い眠りにつき、木々は色とりどりな衣を忘れて、雲の涙は結晶となって俺たちの世界を真っ白に染めていく
まるで二人だけで閉じ込められてしまったスノードームのように。
pn 「らっだぁ?」
rd 「ん、」
rd 「俺はここにいるよ」
俺のもとへ伸ばしたその手は枯れ木のように今にでも折れてしまいそうで、温もりを伝えるにはとても壊れてしまう気がしてかなわない。
pn 「俺、まだここにいる?」
rd 「、、大丈夫。ちゃんといるよ」
pn 「らっだぁ」
rd 「、ん」
pn 「大好き、愛してるよ」
rd 「、、、うん。俺も愛してるよ」
彼の髪を撫でて、頬に触れて、俺は冷たい唇を重ね合わせた。
この場に彼を留めさせようとさせても、砕けて消えてしまうであろうその体を強く抱きしめることはできずに、俺の嗚咽だけが微かに響いた
rd 「ぺんちゃん?」
rd 「、、ぺいんと」
どんなに声をかけてもその瞳が開くことはなくて、もう俺の太陽が顔を見せることはなかった。
時間をかけて完成するはずだった宝石は実は保つのが難しくなっていて、徐々に脆くなってしまっていた。
俺が繋ぎ止めていたと思って完成を目の前にした唯一の宝石はこうもあっけなく俺の手の中で崩れていってしまった。
いつも彼が抱きしめて眠ってくれたように俺の体温を分けるようにして彼の胸に顔をうずめた。
あぁ、さむいなぁ。
ーーートクン、トクンッ
俺の鼓動が鬱陶しく耳を震動させる。
この鼓動の暖かさを彼に分け与えられたらどんなに嬉しいことか。
コメント
1件
久しぶりにテラーで泣いちゃったかもしれないです😭