13 溶心。
「帰るか」
「雨酷いし、送ってく」
『……はい』
渡辺先生の車じゃなくて校長先生の車だった。
ちょっとタバコ臭い。
「どうぞ。」
『ありがとうございます…』
開けられたドアは助手席ではなく、後部座席だった。
「…家、誰かいるのか?」
『妹と母が』
「なら、安心だな。」
もし、2人がいなかったらどうなってたのかな。
・
それから、何事も無かったかのように、
時間が進み、時間だけが進み、
進みすぎのように、時間が過ぎ
渡辺先生と関わることは無かった。
・
そして、卒業式。
みんな、最後だからって渡辺先生にサイン貰いに行ったり、手紙あげたりしてた。
一応、手紙だって書いてきたけど、あげられないや。
けど、最後なんだから、話したい。
「○○ー!」
渡辺先生と仲良くなる前から居た、唯一の友達。紗英。(さえ)
『んー?』
「しょっぴーにサイン貰ってきた!?」
『貰ってないよ、ふふっ』
「えー!!もったな!行こ!」
『え?嫌だよ』
「なんでよ、前はあんなに仲良かったじゃん」
『それとこれとは別なのー』
「何それー。じゃあさ、一言だけ」
「名札に言葉書いてもらいなよ。」
『言葉?』
「書いてもらってるよみんな。」
『……じゃあ、貰おっかな、』
「よし!行くぞ!!」
『うん、ふふっ』
ありがとう。紗英。
先生から貰う、この言葉が、
きっと最後になるね。
・
『渡辺先生、!』
『言葉、ください。』
「ん、わかった。」
『ありがとう、、ですか』
「そう」
『ありがとうございました、』
「こっちこそ、今までありがとな。」
今まで、なんて。
ありがとう、なんて。
言わないでよ、さよならみたいじゃん、
いや、、さよなら。なのか、
さよなら。大好きだった、
まだ、好きな先生。
コメント
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こ っ か ら ど う す る の か な ? ま じ た の し み !
毎回最高すぎます!🤍