テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「Broooock、また寝てないでしょ」
「え、あ、ばれた?wさすがNakamu」
Nakamuはため息をつきながらも、ポケットからカフェインガムを出して、無言でBroooockに渡した。
いつからだろう。
互いに依存するようになったのは。
最初はただ、気が合うってだけだった。
つるんで、遊んで、動画撮って、バカやって。
でも、どこかで線を越えた。
他のやつといると、落ち着かない。
他のコラボを見ると、モヤモヤする。
通知が来なければ、焦る。
既読がつかないと、不安で吐きそうになる。
──これ、普通か?
「なぁ、もしさ、
俺が急に消えたらどうする?」
「消えないでよ。」
即答だった。
「そうじゃなくて、もしもの話。将来とか、
環境とかで、バラバラになったら──」
「バラバラにしないでよ、僕、nakamuが
いないと無理だから」
どこか笑って、どこか本気の目。
冗談めかした言葉に、本音が混じる。
ファンには見せない顔。
スタッフにも話さない本音。
誰にも渡せない、2人の世界。
共依存としての2人の関係でも
いいのかもしれない。
──配信中。
ふたりの笑い声が画面に響く。
コメント欄は「尊い」「仲良すぎ」「結婚しろ」で溢れていた。
でも、画面の向こうは知らない。
配信が終わったあとの沈黙を。
「……今日、あいつとまたコラボしてたね」
「ただの仕事だから」
「でも、なんか……俺だけ置いてかれてるみたいで、ムカついた」
Nakamuの声は低く、感情を押し殺していた。
Broooockは言い返さなかった。ただ、うつむいたまま。
「……言えよ。うざいって」
「言わないよ。むしろ……嬉しかった」
「は?」
「nakamuが僕のことだけ見てるの、わかるから。嫉妬するくらいには」
静かに、でも確かに歪んだ愛情。
互いの首を、じわじわと締めていくような依存。
「もっと、僕だけ見ててよ。
約束したでしょ?」
「……うん。大丈夫だよ。」
「えへ…ありがとう!」
部屋の空気は冷たいのに、
互いの距離は近すぎた。
その関係が健全じゃないことは、
二人とも知っている。
けれど、抜け出す気なんて
もうとっくになかった。