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『偽りの無能、真の覚醒〜転生皇女はすべてを奪い返す〜』
ダンジョンを無傷で、しかも一撃で攻略した私の噂は、
瞬く間にガルディニア帝国の宮廷内へと広まった。
「病弱の無能」と私を侮っていた一部の不届きな貴族たちは、
今や私の姿を遠くに見るだけで、恐怖に顔を青ざめさせて平伏するようになっていた。
足元を完全に掌握し、至高の居心地の良さを手に入れた私は、
アルベルトお兄様の執務室を訪れていた。
「よく来たね、ローゼマリー。ちょうど君に話したいことがあったんだ」
アルベルトは私を見るなり、
それまで見せていた冷徹な最高位魔導師の顔を消し、
とろけるような笑顔で私をソファーへと促した。
すぐにリンが、私の大好きな果実のタルトと温かい紅茶を手際よく並べてくれる。
「お兄様、お仕事中にお邪魔してしまってごめんなさい。
……何か、面白い情報でも入ったのですか?」
私が紅茶に口をつけながら尋ねると、アルベルトはフッと鼻で笑い、一枚の書状を机の上に放り投げた。
「面白い、というよりは滑稽な話さ。
例の南の弱小国――バロア王国から、我が帝国へ向けて
『公式の外交使節団』が派遣されることになってね。
数日後にはこの帝都に到着する予定だ」
『バロア王国からの使使節団』その言葉に、私の胸の奥が冷たく疼いた。「使節団、ですか。目的は何なのでしょう?」
「名目は帝国との親善だが、本音はただの『泣きつき』だよ。
あの大馬鹿なカイル王子と、偽聖女のエレンのせいで、バロア王国は周辺国からの信用を完全に失った。
さらに今年は深刻な大凶作だ。
国が破産寸前になり、我が帝国の圧倒的な資金力と食料援助を求めて、
必死に頭を下げにやってくるのさ」
アルベルトは心底くだらなそうに首を振った。
「我が帝国にとって、あんな弱小国を助けるメリットなど一つもない。
皇帝陛下も僕も、最初の謁見で突き放して、そのまま追い返すつもりだったのだが
……どうしたんだい? 君がそんなに冷たい目を。」
アルベルトが私の視線に気づき、不思議そうに首を傾げた。
私は、自分の瞳の奥に宿った復讐の灯火を隠すことなく、お兄様を見つめ返した。
「お兄様。その使節団……カイル王子や、その側近たちは来るのでしょうか?」
「いや、王位継承権を剥奪されたカイルは大人しく本国で謹慎中のはずだ。だが、今回の使使節団の団長は、
カイルの異母兄である第二王子が務めるらしい。
……ローゼマリー、もしかして君、あの国に何か思うところがあるのかい?」
鋭いお兄様の視線が私を射抜く。
私は一瞬、ためらった。
前世がシャルロットであることを話すべきか、否か。
しかし、この世界で私を誰よりも愛し、守ってくれると誓ってくれたお兄様だ。
すべてを話しても、私の味方でいてくれるという確信があった。
「お兄様、驚かずに聞いてくださいますか」
私はカップを置き、静かに語り始めた。
1年前、バロア王国で魔法無能と蔑まれ、婚約者と聖女の嘘によって無実の罪を着せられ、崖から身を投げたシャルロットという令嬢がいたこと。
そして、その魂が今、このローゼマリーの中に宿っているということ――。静かな室内に、私の声だけが響く。
隣で聞いていたリンは、ショックのあまり口元を押さえて涙を流していた。話し終えた後、アルベルトお兄様は、じっと拳を握りしめて俯いていた。
その身体からは、部屋の空気が一瞬で凍りつくほどの、
凄まじい殺気が溢れ出ていた。
「……そう、だったのか」
アルベルトはゆっくりと顔を上げると、その美しい瞳に激しい怒りと、
私への深い痛惜の念を浮かべていた。
「僕の大切な妹が眠り病に就いた瞬間、君の魂がここへ導かれた。
それは奇跡だが……バロア王国のその男どもは、僕の愛しい妹(シャルロット)をそこまで追い詰めたのか……!」
アルベルトは私の手を取り、包み込むように強く握った。
「許せない。生かしておけるはずがない。
ローゼマリー……いや、シャルロット。
君を傷つけたすべての者を、僕が今すぐこの世から消し去ってあげよう。
その国ごと、灰にしてやる」
「いいえ、お兄様。ありがとうございます」
私は首を振り、お兄様に極上の、そして冷徹な笑みを向けた。
「ただ殺すだけでは、私の気が済みません。
彼らには、自分たちがどれほど愚かな裏切りをしたのか、
骨の髄まで理解させたいのです。
だから、お兄様――あの使節団、帝国は『快く受け入れる』と言ってあげてください」
「受け入れる……? 援助をするということかい?」
「ええ。表向きは優しく手を差し伸べるふりをして、あの国をガルディニア帝国の経済の鎖でガチガチに縛り付けるのです。
そして、彼らが完全に帝国に依存し、もう逃げられなくなった瞬間に……」
私は手のひらをそっと握りしめた。
「私がシャルロットとして、彼らの前に現れます。
すべてを奪い尽くされた彼らが、一体どんな顔をするのか
……今からとても楽しみなのです」
私の言葉を聞いたアルベルトは、一瞬目を見張った後、実に愉快そうに、
狂おしいほどの愛を込めて微笑んだ。
「最高だ、ローゼマリー。君は本当に、美しく気高い帝国の薔薇だ。
分かった、君の望む通りに舞台を整えよう。
あの愚か者どもを、僕たちの手のひらの上で存分に踊らせてあげるといい」隣で涙を拭ったリンも、
「私も、精一杯ローゼマリー様をお支えします!」
と力強く頷いてくれた。
最高の理解者と、最強の権力を手に入れた。
バロア王国を破滅へと導く、甘く危険な蜘蛛の糸が、
今、帝都の空から南へと向かって音もなく伸びていくのだった。
#転生
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耀聖(ようせい)
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コメント
9件
やっぱプロいる、、!フォローしてくれてありがとね!?プロにフォローされるとは、、!
かっこいい、、、、 やっぱテラーノベルのプロだな(???)
お兄様に打ち明けるシーン、めっちゃエモかった…!😭💕 最初は涙ぐむリンちゃんも含めて、家族の絆が熱いね。そして「ただ♡♡♡だけじゃ済まない」って経済制裁フェーズに入ったローゼマリー、もうカッコよすぎるし、お兄様が「最高だ」って愛でるのも尊い…!タイトル通りの“蜘蛛の糸”、じわじわ仕掛けていく感じがゾクゾクするよ〜🕸️✨ 続きが待ちきれない!!