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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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夕方の気だるい熱気が残る、午後五時四十五分。
西日が都会のビル群の隙間に沈み、路地裏を群青色の影が侵食していた。
ピザ屋の古びた金属製の搬入口。
薄暗い通路の片隅で、エリオットは壁に背中を預け、退屈そうにスニーカーのつま先で床をトントンと叩いていた。
首からは、つい先ほどまで被っていた鮮やかな赤いバイザーがぶら下がっている。
額に張り付いた金髪を掻き揚げたとき、路地の奥から中折れ帽の長い影が近づいてきた。
サングラスの奥の瞳は見えないが、その佇まいだけで、エリオットの唇はいつもの挑発的な弧を描く。
「遅かったね。休憩時間、あと十五分しかないよ」
エリオットは一歩前へ踏み出し、チャンスの胸元へ自ら身体を寄せた。
白いシャツに、ゆるく結ばれた黒いネクタイ。
その感触を確かめるように指先で摘むと、自分の顔の方へと引き寄せる。
「お詫びに、何してもらおうかな」
吐息が触れ合うほどの至近距離。
エリオットの金髪がチャンスのジャケットの襟元に擦れ、甘く、どこか焦げたようなピザ生地の匂いが漂う。
いつもなら、ここで銀髪の男はフッと余裕のある笑みを返すはずだった。
だが、今日のチャンスは違った。
ネクタイを掴んでいたエリオットの手首が、ガチリと力強く捕らえられる。
驚きに目を見開く間もなく、エリオットの身体は強引に反転させられ、目の前の冷たい鉄製の扉へと叩きつけられた。
ドスン、と鈍い音が狭い通路に響く。
「……っ、あ……?」
気づいたときには、鉄の扉に両手を付かされた姿勢のまま、背後から完全に退路を断たれていた。
「……言葉が多いな、エリオット」
中折れ帽の影から漏れる声は、地を走るような圧を孕んでいた。
サングラスが外され、無防備なエリオットの背中を射抜く。
チャンスの掌がエリオットの制服のポロシャツを後ろから強引に捲り上げ、剥き出しになった腰へと滑り込んできた。
硬い指が、エリオットの柔らかい脇腹をじりじりと、容赦のない強さで掴む。
「ちょ…、チャンス、ここ、……だめ、……誰か、くるから……っ」
強がりの中に、本気の動揺が混じる。
十五分後には休憩が終わり、他の従業員がこの搬入口を通るかもしれない。その背徳感がエリオットの内側を熱くする。
しかし、チャンスはその制止を聞き入れる様子を見せなかった。
チャンスの手が衣服の隙間から滑り込み、容赦のない強引な愛撫がエリオットの肌を直接蹂躙し始めた。
「ん、んぅ……っ、……ぁ、……ふ、あ」
衣服の擦れる音と、背後から容赦なく与えられる熱量が、コンクリートの壁に反響する。
エリオットは逃げ場のない快感に、鉄の扉の冷たい表面を指先で強く掻きむしった。
大通りの喧騒がすぐそこまで迫っている。声を漏らせば、すべてが破滅する。
その恐怖を嘲笑うかのように、チャンスの愛撫はさらに深く、貪欲に、バックの体勢のままエリオットの奥深くの感情をじっくりと揺さぶり続けた。
「……っ、ん、んぅーっ、……そこ、……っ」
頭の中がじわじわと白く染まっていく。
チャンスは己の白シャツのボタンをいくつか押し外し、底なしの独占欲を剥き出しにしたまま、さらに深く身体を重ね、エリオットを完全に己の支配下へと組み伏せた。
「……ぁ、っ!! あ……、ん、んんっ……!」
手荒な愛撫によって徹底的に解きほぐされていた身体へ、さらなる激しい情熱が一気に注ぎ込まれた。
あまりの衝撃に、エリオットの喉から掠れた息がほとばしる。
背後から深く、逃げ場のない熱量で貫かれ、エリオットの身体は前方の鉄の扉に何度も強く押し付けられた。
「は……っ、あ、……ん、ぅ、……ちゃん、……っ」
チャンスはエリオットがその圧倒的な熱量に馴染む時間すら与えなかった。
エリオットの細い腰を大きな掌で砕かんばかりに掴んで完全に固定すると、背後からさらに深い快感の渦へと引きずり込んでいく激しい衝動をぶつけ始めた。
ガシャン、ガシャン、と、チャンスの激しい動きに合わせて鉄製の扉が不穏な音を立てる。
その音が外に漏れているのではないかという恐怖が、エリオットをさらに敏感にさせ、チャンスの身体を必死に求めるように縋り付かせた。
一撃ごとに、身体の芯の最も触れられたくない部分を深く揺さぶられるたびに、喉の奥から無意識に声が漏れ出る。
視界が急速に明滅し、夕闇の青が頭の中で真っ白に染まっていく。
エリオットは、ただ狂ったように目の前の鉄扉にしがみつき、表面を引っ掻くしかなかった。
息を吸うタイミングさえ掴めず、胸が苦しく上下する。
「……あ、……っ、ん、あ、っ……、ちゃん、す、……んんっ」
二人の昂ぶりは限界に達していた。
チャンスはエリオットの腰をさらに深く引き寄せ、最後の一撃をすべてを注ぎ込むように深くぶつけた。
「……ひぁ、っーーーー」
背中から駆け上る電流のような衝撃に、エリオットの身体がビクンと大きく慄え、甘い熱の中で完全に果てた。
それとほぼ同時に、チャンスもまたエリオットを背後から強く抱きしめたまま、その高まりにすべてを解放した。
「……は、……っ、 ……ふっ、ぅ……」
二人は限界を超えた衝撃の余韻のまま、荒い息で身体を震わせ続けていた。
エリオットは完全に脱力し、チャンスに背中から抱かれたまま、冷たい鉄の扉に額を預けていた。
チャンスはゆっくりと身体を引き離すと、エリオットの乱れた衣服を、後ろから静かに、愛おしむように整えていく。
エリオットの首元にぶら下がったままの赤いバイザーに指先が触れ、チャンスの低い、少しだけ満足気な吐息がうなじを掠めた。
「……十五分、ちょうどだな」
エリオットはまだガクガクと震える足元を必死に支え、鉄の扉に背中を預けてへたり込みながら、悔しそうに、だけど愛しさを隠せない目でチャンスを見上げ、
「……覚えてろよ」
と、かすれた声を漏らすのが精一杯だった。
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