少年がひとり、都市銀行の自動扉をくぐり抜ける。
ただし、顔はフェイスマスクで隠した状態で、
手にはサバイバルナイフと赤いスプレー缶が握られていた。
(よし…行くぞっ!)
少年銀行強盗の第一歩を踏み出した累(るい)は、
カウンターに小走りで駆け寄り、その上に飛び乗った。
「強盗だ!死にたくなかったら、俺の指示に従うんだ!」
「…へっ?」
「ね、ねぇ…銀行強盗だって。」
「もしかして防犯訓練とか…?」
カウンターの向こうに座る行員達が素っ頓狂な声をあげ、
待合席に座っていた年配の男性が首を傾げる。
まさか自分が強盗被害に遭うわけがない、
そんな危機意識の希薄さが行内に漂っていた。
「これは訓練じゃない!ケガしたくないなら、全員壁際までさがれ!」
スプレーを防犯カメラに吹きつける自分が、
映画や小説の世界の定番セリフを叫んでいる。
そのことに違和感を覚える暇も与**************
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