テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
翔太 side
この胸の高鳴り?
ドキドキは何処から来てるんだろう?
きっと亮平がキスなんかするからだ・・・
でも嫌じゃなかった。むしろ柔らかくて気持ちよかった・・・いやいや、ないだろっ。
亮平は何か悩みを抱えているようだ。
誰にでも秘密はある。
亮平が俺に相談できないように 俺にだって・・・
逃れられない苦痛も自分で選んだ事だと言い聞かせれば幾分心を落ち着かせる事が出来る。
〝お前が望んだんだろって〟 今思えば逃れたくて、亮平に助けてもらいたくて、泊めてしまったのかも知れない。
翔太💙『ねぇまた泊まりに来てよ?』
ベットに二人横になると〝おやすみ〟と言った亮平にそう告げた。亮平は少し嬉しそうに・・・俺には嬉しそうに聞こえた〝イイの?〟と言った。
翔太💙『来週の火曜日とか・・・どう?』
変に思われていないかな・・来週泊まる約束するとか変かな?
亮平💚『イイよ!次は晩ご飯何食べようか?』
二人で来週また泊まる約束交わした。亮平との話はすごく楽しかった。知識量が豊富で俺とは違う視点から見る亮平の世界を沢山教えてくれる。ついつい話に夢中になって夜更かししてしまった。
翔太💙『あのさぁ…秘密にしてねうちに泊まってる事。色々と面倒になると嫌だからさ』
亮平もそのつもりだったのだろうと思う。直ぐに〝もちろんだよ〟と返事が返ってきた。
来週一緒に買い物して焼肉食べてお泊まりする事に決まった。
亮平💚『サウナも連れてってよ』
翔太💙『おう』
亮平side
幸せすぎて明日死んでもイイ。いや来週の火曜日が終わるまでは死にたくない。目を閉じて眠ろうとすると翔太の携帯に着信が入る。こんな夜更けに誰だろう。薄暗い部屋では表情が読み取れないけど、声のトーンからしてあまり好意を抱いている相手ではない事が伝わってきた。
翔太💙『えっ?今から無理だよ。友達が泊まりにきてる…本当だって』
友達…まぁ間違いじゃない。彼女だろうか?付き合ってる子がいてもおかしくないよな。胸がチクリと痛む。でも・・・翔太のこんな声初めて聞く。何処となく怯えたような声をしている。翔太はベットから降りるとリビングの方で話し込み出した。
電話を終えた翔太が再びベットに入ってきた。
足が触れてドキッとした。夏だというのにすごく冷たい。
亮平💚『翔太・・・大丈夫?』
翔太💙『えっ?』
亮平💚『なんか・・・しんどそう』
翔太💙『うん・・・あぁ少しだけイイかな胸借りても?』
そう言うと翔太は俺の方を向いてシャツを握り締めると胸に顔を埋めた。
亮平💚『翔太?』
翔太💙『ごめん嫌だろうけど我慢してよ』
少し震えてる気がする。嫌なわけないでしょそう言いたいのに、大好きだよって言いたいのに好きな人が目の前で苦しそうにしているのに、臆病な俺は何も言えず翔太の背中を撫でてあげる事しかできなかった。暫くすると寝息を立てた翔太は俺のシャツを握りしめたまま、体を丸めて蹲っている。そっと首の下に腕を差し込んで腕枕すると小さな体ごと自分に引き寄せ目を閉じ、そのまま朝を迎えた。
亮平💚『おはよ』
一晩中俺にしがみ付いていた事が分かった翔太は顔を真っ赤にして謝った。
翔太💙『マジでごめん。なんか安心したら爆睡しちゃった』
亮平💚『いつでも貸しますよ阿部抱き枕』
翔太💙『ふはっ欲しい欲しい売ってよ!』
少しでも翔太の役に立てたのだと思うと嬉しかった。料理の苦手な2人は翔太の作るスムージーだけを飲むと〝じゃぁまた来週〟と言って家を後にした。
数時間後俺はまた、翔太の家のエントランスホールに立っている。今朝翔太と別れてすぐ携帯に康二からメッセージが来ていた。
康二📩『今日しょっぴーの家のエントランスに19:00集合』
どう言う事だろう。先程別れた翔太が〝また来週〟と言ったのを思い出す。きっと康二とは約束していないのだろう。案の定 返信を打つと〝来ればわかるしょっぴーには内緒やで〟と返事が来た。いったいどんなお願いなんだか。
約束の19時少し過ぎた頃康二が現れた。
康二🧡『悪い阿部ちゃんちょっと遅れた』
亮平💚『で何?どう言う事?』
康二🧡『しょっぴーの家に泊まりたいんよね。手伝ってくれへん?全然家に入れてくれへんのよ』
亮平💚『はぁ?何でそんなに翔太の家に入りたいの?』
少し嬉しいと言うか、優越感みたいなそんな感情が胸の中にある。普通に家に入れてくれたし、泊まる事誘って来たのも翔太からだ。ましてや今朝まで一緒のベットに寝てた。考えてみれば誰も翔太の家に泊まったって話聞いた事ないかも。
康二🧡『もっと仲良くなりたいんよ。うちの家には来て泊まったりすんねんけど、肝心のしょっぴーの家には行った事ないんよね。阿部ちゃんいれば警戒せえへんでしょ』
康二がインターホンを押す。今朝まで一緒だった翔太の甘くて可愛い声が返ってきた。
翔太💙『はぁいだぁれ〜』
康二🧡『向井くんだよ!遊びに来たったで』
翔太💙『はぁ?帰れよ疲れて・・・』
〝 阿部ちゃんもおるで?しょっぴーに相談あんねん〟そこまで言うと翔太はエントランスの鍵を開けた。
康二🧡『やった大成功や。ほなノート返すな。もうええで阿部ちゃん帰って』
亮平💚『はぁ?でもさっき・・・分かったじゃぁ』
ノートは取り返せた。でも気分悪いな。 俺が翔太を騙したみたいじゃないか・・・
嬉しそうにスキップしながらエントランスホールを抜けエレベーター前で一度振り返るとニカッと歯を剥き出しにして笑った康二は下りてきたエレベーターに乗ると手を振りながら消えて行った。
まさか康二も翔太のことが好きなんだろうか?〝仲良くなりたい〟の仲良くって・・・まさかね。
一抹の不安を覚えながらも俺は顔を横に振りかぶって一掃すると家路へ向かって歩き出した。
自宅に着いて、自分の机の上にノートを置いた。
1週間分の想いをノートに記す。
翔太と二人きりで一晩過ごした。
薄くて柔らかいキスも、翔太の匂いも、腕に残る翔太の重みも全てを書き記してノートを閉じるとお風呂へと向かった。食事を済ませ寝ようと、いつものようにノートを片手にベットに上がると着信を知らせるランプにスマホを見ると、翔太から着信があって慌ててかけ直した。
亮平📲『あっ翔太?電話今気付いて・・翔太?』
翔太📲『どうして・・・さっき帰ったの?』
何て言うのが正解だろうか。本当のことは言えないし嘘も付きたくない・・・言いあぐねていると
翔太📲『ごめん・・・来週やっぱキャンセルで・・・ごめんね』
亮平📲『まっ待ってごめん・・・急に康二に呼び出されてね体調が優れなくて、帰っちゃって騙す形になっちゃってごめん』
翔太📲『そう・・・亮平もあいつらと同じかと思った・・・良かった。来週亮平の家に泊まってもいい?』
〝あいつら〟そう言った翔太の声からは冷たい軽蔑するようなそんな感情が読み取れた。どこか元気のない翔太の声が気掛かりだが、何とか二人でのお泊まりはキャンセルされずに済んだ。
部屋を片付けとかなきゃ。翔太は綺麗好きで部屋も凄く無駄がなく片付いている。これ以上悪印象は与えたくない。
いつものようにノートを開いて過去の想いに触れた。ふと自分の字ではない落書き?でもないその文字に背筋が凍った。おそらくそれは、康二の筆跡だろう。
🗒️『4/15偏頭痛で苦しそう。明日は気圧の変化も少ないからきっと良くなるよと告げると屈託ない笑顔で〝ありがとう〟が返ってきた。笑顔の一部になれただろうか?彼からの真っ直ぐな言葉は俺を元気付けるには十分すぎる』
〝しょっぴー?〟
鉛筆で書かれた消し忘れの文字
彼と書いてしまっている事に今更ながら後悔した。
慌てて他のページを確認するものの、すでに康二に見られているのだ。今更慌ててもどうする事も出来ない。ベッド脇の棚に仕舞い込んだ。もう外へは持ち出し禁止だ。
この頃の俺は翔太の抱える問題どころか自分の事でいっぱいいっぱいだった。自分勝手な感情ばかりを優先して翔太の抱える問題に全く気付いてあげられていなかった。
コメント
18件
なんで毎回康二🧡は待ち合わせに遅れてくるんだろう?意味あるのかな…🤔
んーもやもやするなあ。しょっぴーはなんであべちゃん💚に頼ってるんだろ…。
こーじは何を企んでいるんだろ😅😅