友に垢バレして暗い話をかけと言われたので
ピーン⤴︎︎︎⤴︎︎ポーン⤵︎ ︎パーン⤴︎ ⤴︎⤴︎ポーン↓
⚠️注意⚠️
・暗いお話
・死ネタ(夢)
・バットエンド
・名前固定
・三者目線
「ん…?」「悠一…?」
最近、猫奈がボーダーを休む。理由は体調不良らしいが、玉狛支部の自室にずっと籠り、誰とも会おうとしない。そう、恋人の俺でさえもだ。
「猫奈!いつ出てきてたの?」「…今さっき。宇佐美先輩に起こしてもらった。」「よかった…部屋出たなら連絡入れなよ…」「あっ…ごめん。今、スマホの充電ないんだ…」
なんとなく、元気がない。いつもにこにこしていて、走ってくる猫奈はいない。
「猫奈…?どうしたの?」「……何が」「元気ないから。ねぇ、顔見せてよ…」
サイドエフェクトに侵されている迅は、なんとなく、未来が視ないと気が済まない。自身でも可笑しいのはわかっている。でもやっぱり、落ち着かないのだ。
「…なんで」「目が見たいからだよ」「未来、見たいから?」「……は、?」
顔を隠していたパーカーのフードをさらに深く被る。
「え…っと」「……あはは。悠一らしくないや。」
偽笑のような笑いを見せてみる。
「それは、お互い様だろ?何かあったんでしょ。教えてよ。恋人なんだから。」「恋人、かぁ…じゃあ見ても引かないでね」
ぱさっとフードを下ろす。そこには、いつもの猫奈の顔はなかった。右目はえぐれていて、所々身体からトリオン漏れがある。
「なに…そ、れ」「あはは…引いた?」「……引いてなんかない…けど疑問なだけ」「起きたらこうなってて…もう右目、殆ど見えないや…」
よく見たら、後ろに隠している左手も、えぐれてトリオン漏れが見える。
「起きたらって…心当たりはないの?」「ん?あるよ。てか悠一達にも関係あるけど。」「俺達…?」
「黒トリガーは仮の身体。私の本当の身体は封印されていて、トリオンはどんどん消費されて、いつかは尽きる。その時、私の命は朽ち果てる。」
手を握ってみる。その時、花弁のようにぱらぱらと散っていった。
「頭のいい悠一なら…ここまで言えば分かるよね」「…し、ッぬ、?」
迅らしくない焦り方をして、猫奈を見つめる。
碧色の目には、涙が溜まっていた。が、翠色の目は一切揺れていなかった。
「そう。もうすぐお別れだから、会いたくなかったのに…」
フードを被り直す。なぜ迅はこんなに焦っているかと言うと、猫奈の最悪な未来が視えてしまったからだ。
「猫奈ッ…お前…ッ」「ねぇ…あと、何日…?」
心臓があるだろう位置に迅の手を置く。
「いち、…にち」「わっ…意外と早いなぁ…」
明日が自分の余命なのに本人は焦りすらない。
「はぁ、…はぁッ、…」「ねぇ…」
少し小さめの声で呼ぶ。
「私を殺してよ」
次の日
「もう1時間くらいかな…」
支部へ戻った時、事情を知っている宇佐美に屋上へ行くように言われた。そこには、朝からずっと屋上で待っていた猫奈がいた。猫奈と話ができるのはたったの1時間。
「て事は…」「そう。私がこの世から消え去るのは、10月3日の9時ピッタリだよ。」
屋上の淵に座り、足をぶらぶらさせる。
「…本当にいいのか…?」「うん。だって悠一に殺されたいもん。」
かち、かち、と時計の音がする。
スコーピオンを出す。
「刺殺でいいの?銃殺でもいいけど…」「いや、こわ。…うん。あぁ…ランク戦を思い出すなぁ…」
そんな呑気なことを言う。
「そっか…ポロッ」「泣かないでよ。笑顔で見送って…?」
無理な話だ。だって、恋人が、目の前で、死ぬのだから。
「うん…ニコッ」「うん。その笑顔で…」「…?」「私を忘れないでね」
そう言って笑う。
「誰が忘れるもんか…!」「ありがとう…」
ザシュッ
──コトンッ
「本当にあいつは…最後の最後まで…」
猫奈は黒トリガーになったのだ。
「ずっと一緒にいような…?」
ヒュウ…
もちろん。とでも言ったように風が吹いた。
END