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骨川家の離れの奥、厚いカーテンが月光を遮る一室で、二人は重なり合うようにして眠りに落ちていました。そこには、かつての空き地で見せていた子供らしい無邪気さは微塵もなく、ただ生々しい肉体の熱と、頽廃的な沈黙だけが支配していました。スネ夫の細い腕は、静香の肩を強く抱きしめたまま固まっています。それは愛情というよりも、自らが犯した罪の証を片時も離したくないという、執着に近い拒絶反応でした。静香の肌には、スネ夫が執拗に繰り返した行為の痕跡が、赤紫色の斑点となって無数に浮かび上がっています。
静香は、スネ夫の胸に顔を埋め、規則正しい呼吸を繰り返していました。彼女にとって、この全裸のまま他者の体温に浸る時間は、自分を「汚された被害者」から「共犯者」へと完全に作り替えるための儀式でした。スネ夫の心臓の鼓動が耳に響くたび、彼女は自分が彼の人生を道連れに、深い淵へと沈んでいく実感を噛み締めていたのです。
ふと、スネ夫が微かなうめき声を上げて目を覚ましました。暗闇の中で、隣で眠る静香の白い肢体が目に飛び込んできます。一瞬、彼はその光景の異常さに息を呑み、逃げ出したい衝動に駆られました。しかし、静香が眠りの中で、逃がさないと言わんばかりに彼の腰に足を絡めたとき、スネ夫の背筋にゾクりとした快楽と絶望が同時に走りました。
「……もう、逃げられないんだな、僕」
スネ夫は自嘲気味に呟き、再び静香の首筋に顔を寄せました。静香は眠ったふりをしながら、そのスネ夫の絶望を肌で感じ取り、口元に微かな、しかし残酷な微笑を浮かべました。
二人の裸体は、暗闇の中で一つの塊のように溶け合っていました。明日になれば、また「金持ちの御曹司」と「しとやかな優等生」という仮面を被って外に出る。しかし、この離れの冷たい空気の中では、二人は互いの傷を舐め合い、破壊し合うことだけでしか生を実感できない、孤独な獣に成り下がっていました。