テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「……ふ。嫌なはずがなかろう。お主のその不遜な唇が、これからわしの熱に侵され、泣き言を漏らすようになるのだと思うと……堪らぬ」
「なっ……、何言って……っんん!?」
文句を言おうと開いた唇は、即座に熱い塊によって塞がれた。
ガチリと当たる歯の衝撃に構うことなく、朱雀の舌が、まるで自分の領土を主張するように煌の口腔内へ深く侵入する。
強引に割り込んできた熱い舌が歯列を割って、逃げる隙も与えず絡め取ってくる。しっとりと唇を吸われ、くちゅ、と湿った音が耳元で鳴るたび、鼻先をくすぐる朱雀の甘い神気に頭の芯がじんと痺れた。
(……っ、ん、んぅ……ッ!)
驚きで硬直したままの煌の口内を、ゆっくりと味わうようになぞり、奥に縮こまっていた舌を強引に引きずり出されて絡め合う。その粘膜の接触が火種となり、煌の内に眠る霊力が、まるで導火線に火がついたかのように爆発した。
意識では「やめろ」と叫んでいるのに、ガイドの本能は主の制止を振り切り、飢えた「汚染されたセンチネル」を救おうと激しくのたうつ。
煌の唇から、眩いほどの光が朱雀の体内へと直接注ぎ込まれた。
それが朱雀の核に触れた瞬間、彼の中に渦巻いていたドロドロとした黒いノイズが、濁流に呑み込まれるように一気に「白」く塗りつぶされていく。
数百年もの間、誰にも触れられず積もり重なってきた漆黒の孤独が、煌の熱い霊力によって強引に溶かされ、鮮やかな色彩で上書きされていく。
ただの「洗浄」ではない。煌の存在そのものが朱雀の深淵まで侵食し、彼の魂を強制的に書き換えていくような、暴力的で甘美な衝撃。
「……あ、……あぁ……っ……」
真っ赤に上り詰めた顔を誤魔化すように、煌はギュッと目を閉じたが、唇から伝わってくる朱雀の熱い吐息と、耳元で響く艶っぽい吐息が、逃げ場を完全に塞いでいた。
(クソ……っ、見んじゃねぇよ、そんな顔で……ッ。調子狂うだろ……!)
煌は、自分の心臓の音が朱雀にまで伝わっているんじゃないかと気が気ではなくなりながら、暴走するときめきを必死に抑え込もうと、震える拳を握りしめた。
信じられない光景だった。実質ただのキスのはずなのに、目の前で起こっている出来事や、体内に流れてくる不思議な感覚は言葉では表しがたい。
(……っ、なんだよ。……マジで、どうなってんだよ……!)
朱雀の熱い吐息が触れるたび、ぞくりとした快感が全身を駆け巡る。
男に、それもこんな傲慢な神様にキスされて、あろうことか気持ち良くなってしまっている自分への情けなさと、朱雀の舌使いに翻弄される熱い痺れがごっちゃになって、煌の思考回路は今にもショートしそうだった。
自分の好みは胸の大きなスレンダーな女性のはず。そんなヤンキーとしてのプライドを必死にかき集めて堤防を築こうとするが、熱い舌が口腔内を蹂躙するたびに身体が勝手に反応してしまいそうになる。
静まり返った寝所に、布地が擦れる衣擦れの音や、混じり合う熱い吐息が生々しく反響していく。信じたくない。
男にキスされて、こんなにも頭が真っ白になるほど、おかしくなってしまうなんて。
「ん……ぅ、……っんん」
角度を変えて何度も深く貪られ、酸素を求めて僅かに開いた隙間から、再び朱雀の熱い塊が入り込んでくる。くちゅ、と湿った音を立てて舌を吸い上げられるたび、腰が抜けそうなほどの甘い痺れが爪先まで駆け抜けた。
ドクンドクンと早鐘を打つ自分の心音さえも、朱雀にすべて伝わっているのではないかと、居た堪れない羞恥に襲われる。それなのに、首筋の脈打つ場所に朱雀の指先が触れるたび、腰が抜けそうになるほどの甘い痺れが、熱い奔流となって全身を駆け抜けていった。
(……やめろ、……っ。こんなの、絶対におかしい……ッ!)
頭では必死に否定しているのに、朱雀の指先から伝わる体温が肌に触れるたび、そこからじわじわと火を付けられたかのような熱が広がっていく。
角度を変えて何度も深く貪られ、くちゅ、と湿った音を立てて舌を吸い上げられるたび、抗えない快楽に思考回路まで溶かされていくようだ。煌の抵抗はいつしか、朱雀の衣類を掴んで縋るような力のないものへと変わっていき、完全に腰が抜けて崩れ落ちそうになった。
朱雀がその華奢な腰をさらに強く引き寄せ、逃がさぬようにその熱を押し付けようとした、その時――。